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2018/06/20

不動産業者の倒産が拡大|原因と対策を伝授

はじめに

2020年に東京オリンピックが控えた今、不動産業者の倒産が拡大しているというニュースが報じられました。
去年はオリンピックの影響による海外からの観光客向けにホテルや新築マンションの建設ラッシュが続き、建設業界は一時的に好景気の時を迎えていたにもかかわらず、
今年に入って間もなく不動産業者を取り巻く環境は一変してしまいました。それではなぜそのような事態が起こってしまっているのでしょうか。

この記事では不動産業者の倒産が拡大する原因を分析し、それに伴う対策について解説します。
特に富裕層とも言われる高年収の方たちであれば、金融機関から営業をかけられ不動産投資の話を持ちかけられることもしばしばあるかもしれません。
ただ不動産投資ではリスクヘッジが特に重要となるため、自身の資産を守るためにも最低限の知識を身につけておきましょう。

 

1「かぼちゃの馬車」スマートデイズ倒産

この章では「かぼちゃの馬車」を主戦力として運営していたスマートデイズの倒産について簡単にですが解説していきます。
知名度が高い不動産業者として有名だったスマートデイズがなぜ倒産するに至ったのか、まずはその衝撃的なニュースの概要から確認しておきましょう。

 

1ー1 スマートデイズの事業内容

スマートデイズとはそもそも2001年に創業した会社なのですが、この章のタイトルでもある女性向けシェアハウスの「かぼちゃの馬車」を中心として、それ以外にも寄宿舎型シェアハウスの販売および管理やサブリースなどを展開しました。

このサブリースの仕組みについて簡単に説明すると、まず物件のオーナーが金融機関からの融資を受けたら、次に運営会社が該当する物件を一括で借り上げてしまいます。
そして各物件のオーナーは家賃収入を保証されており、この家賃収入を元手にして借入金の返済に充てるというのがサブリースの返済となっています。

 

サブリースのビジネスモデルを手がける不動産業者はスマートデイズ以外にも多数ありましたが、スマートデイズの倒産によってそうした業者が余波を受けているとされています。
このサブリースが不動産投資の一環として人気を集めたのにはある訳があります。

長期の家賃保証があるためにそうしたアパート、マンション経営は借り入れによる節税、あるいは相続税対策として富裕層だけでなく地方の高齢者からも人気を博しました。
マイナス金利の利下げでお金の貸出先に悩む金融機関が、担保を取りやすいものとしても不動産投資の人気が上昇しています。

 

1ー2 サブリースの意外なデメリット

不動産投資の一環として人気の高いサブリースでしたが、いくつかのデメリットがあることも指摘されています。
家賃の相場が定期的に更新されてしまうせいで、空室および老朽化を余儀なくされることもあれば、物件のメンテナンスや補修の費用がかさむこともあります。

こうしたデメリットも存在するサブリースですが、それ以外の不動産投資も同様に投資すれば必ずしも稼げるとは限りません。
同じく不動産投資の一環としてサイドビジネスである「サラリーマン大家」という言葉が注目を集めたものの、そうした投資家への融資が認可されにくくなっているというのが現状です。

 

1ー3 スマートデイズの倒産の背景

建設事業の売り上げに後押しされる形で、2017年度3月期には317億9,600万円を計上したこともありました。
ただ昨年10月頃から提携していた金融機関の契約状況が変化したために、これまで手がけていた寄宿舎型シェアハウスの販売が難しくなってしまったとされています。
そうした不況に煽られた結果として、今年1月にはオーナーに対する家賃収入の支払いを止めることになりました。
対応に納得できなかった一部のオーナーがスマートデイズを相手取り損害賠償請求を求める訴訟を起こしており、スマートデイズの倒産による問題は社会問題にまで発展していました。

そして損害賠償請求の論点ともなったスマートデイズが抱える負債は、オーナーへの負債を含めて今年3月時点で60億3,500万円にまで膨らんでいると発表されました。
特にオーナー675人に対しての負債はおよそ23億円にまで上るとされています。

 

スマートデイズの倒産に端を発する不動産業者の変調の兆しに、一部ではバブル期の不動産の動きと類似性があるとも囁かれています。
その詳しい情報については次章にて解説します。

 

 

2 近年の市場とバブル期の比較

前章では不動産業者の好景気に沸く最中に起こったスマートデイズの倒産について解説しましたが、不動産業者の景気は未だに特筆するような警戒水準には達していないとも言われています。
それでも近年の市場とバブル期の不動産の価格の値動きに類似性があるとされ、バブル期から近年の市場動向を学べるものがあります。
この章では近年の市場とバブル期との不動産情報に関する比較をします。

 

2ー1 バブル期になぜ不動産業者が倒産したか

かつて日本国内はバブル期という空前絶後の好景気に沸きましたが、1990年代のバブル崩壊直後にも数多くの不動産業者が倒産しました。
そしてその時期には不動産投資をしていた個人投資家もまた破綻していったと言います。
両者ともに立場は違いますが、不動産の価格が高騰している時期に多額の借り入れをあえて行い、転売目的で物件の転売を繰り返した末に破綻を招いたことは共通しています。

かつてバブル期に値上がりした不動産を割高で転売することで、不動産業者ならびに不動産投資をしていた個人投資家は短期間にもかかわらずかなりの金額を稼いでいたそうです。
そして不動産の転売でさらに稼ごうと欲を働かせた彼らは多額の借り入れにより不動産を購入する元手をかき集めましたが、バブル期が弾けた途端に状況は一変します。

 

結果としてバブル期に想定していた金額で不動産が売却できなくなり、借入金の返済が滞った結果として不動産業者は倒産し、不動産投資をしていた個人投資家は破綻していきました。
つまりバブル崩壊までに不動産を転売しきれなかった者が多額の負債を背負う羽目になった訳です。

 

 

2ー2 不動産投資で稼ぐ仕組み

ここで不動産投資によって稼ぐ仕組みを改めて解説しておきます。

 

不動産投資として不動産を購入することを前提として、金融機関は高収入の富裕層に対して融資することを提案してきます。
不動産投資で稼ぐためには家賃収入があること、そして不動産の資産価値が下がらないあるいは上がることが条件となります。
ただし銀行同士で不動産の競り合いが起こると不動産の価格に対するローン比率が高くなりやすい傾向があり、よほど運に恵まれた状況での購入でもなければ不動産投資で稼ぐことは難しくなっています。

不動産投資における融資資金と不動産の取引価格とは常に連動しており、マンションの取引価格としての資産額が上がるにつれて不動産の負債額そのものも上がってしまいます。
そして都心部における高騰した分譲マンションおよび一戸建ては現状売れ残っており、不動産の高値のせいで手が届かなくなった消費者層が結果的に離れてしまっている状況です。
そうした現状であればこそ、不動産業者の倒産が相次ぐ土台が完成してしまったことになります。

 

2ー3 倒産した不動産業者の規模

2016年度には帝国データバンクが「不動産代理・仲介業者の倒産動向調査」の情報を開示しましたが、その年度の倒産件数は前年度比24%増となる93件を記録しました。
不動産の供給過多が指摘される今だからこそ、仲介業を手がける不動産業者が苦戦を強いられています。

同調査によれば不動産代理・仲介業者の倒産件数が3年ぶり増加していることが発表されており、リーマンショック以降も不動産業者の倒産件数に関してのみ高水準を維持したままだとされています。
また負債総額についても3年ぶりに増額しており、67億1,400万円となりました。
ただ2000年度から考えると100億円もの負債総額が記録された年も何度かあるため、負債総額については以前よりは低水準へと落ちたことが分かっています。

 

不動産代理・仲介業者の中でもとりわけ負債総額5,000万円以下での小規模な倒産が増加しています。
2016年度の調査では小規模での倒産件数が68件となり、その割合は全体の7割超を占めるとされています。
インターネットによる物件検索の利便性の高さから消費者が自ら物件を検索するようになったことで、仲介業で主に収益を得ていた不動産業者の優位性がなくなりました。
さらには不動産の売買件数の減少とも相まって中小規模の不動産業者の倒産が相次ぐ結果となったと推測されます。

 

2ー4 節税対策としての不動産投資の余波

近年になり税率の引き上げや年金の受給年齢の引き上げといったお金に関する問題が浮上している状況であればこそ、節税に対する関心が高まっています。
2015年に相続税の法定控除が引き下げられた結果として、節税対策としての賃貸物件の建設が増加しており、節税対策として不動産投資を利用する個人投資家が現にいます。

そうした経緯もあり2016年度の国土交通省による「住宅着工統計」ではその45%である43万戸が新築の賃貸向け住宅となっていました。
また2016年度に日本銀行が調べた「不動産貸付残高」についても同年度に過去最高の数値が記録され、中でも個人向けの住宅融資が高位につけました。

 

2ー5 バブル期に類似する近年の市場動向

バブル崩壊の直後に不動産業者が倒産したのは、不動産の転売による収益が得られなくなったことによると前述しました。
バブル期が進行するにつれ不動産の売買が激化し、それに伴う形で不動産価格は高値圏まで値上がりしていきました。
そして天井に届いた価格帯で消費者がわざわざ不動産を購入する訳もなく、そこから一転して不動産の売買の勢いが衰えていきます。
これがバブル崩壊に見る不動産の資産価値の暴落です。

そして言及すべきは建設ラッシュが深まる不動産業者を取り巻く状況こそが、バブル期に起こった不動産の極端な値動きの流れと類似性があるとも言えます。
もしもこのまま不動産の価格が値上がりした状態が続き不動産の売買が衰えてしまえば、不動産価格の暴落というバブル崩壊の様相が再び垣間見える可能性もないとは言い切れません。

 

こうした現状の中、マイナス金利を踏まえて融資の機会を増やしてきた金融機関でしたが不動産融資の総額としては減少しているとの発表もありました。
なぜ今になって融資総額が減少しているのでしょうか。

3 融資手段

2016年度にマイナス金利政策が導入されたことで、同年には不動産融資の総額が増加しました。
ただ2017年度では新規融資額が前年比5.2%減である11兆7,143億円に減額することになりました。
この減額に大きく響いたのがアパートローンの減額であり、不動産向けの個人融資のうちアパートローンの賃貸業については前年比14.2%減である3兆3,202億円まで大幅に減少しました。
2016年度まで2年連続の増加が続いたにもかかわらず、2017年度では2桁台の減少へと一転しました。

東京オリンピックに向けて建設ラッシュが続き建設業界の景気が良いことは分かりますが、そこに需要が追いついていないことを銀行側が疑ったことから、特に不動産を個人向けに貸し出す賃貸業への融資が鈍ったとされています。

 

不動産投資をする上で銀行側が慎重を期すようになり融資手段がなくなったかのように思えますが、実際には商社や親会社が不動産投資のために融資してくれる場合があります。
一部では銀行の存在意義が希薄化しているとも報じられていますが、個人投資家が融資手段として頼るべきは銀行ではなくなりつつあるのかもしれません。

年収が高い、医者や弁護士といった社会的地位の高い職業に就いている方ほど注意してほしいのが、不動産業者に勧められるがままに不動産を購入してしまうと思わぬ形で損を被ることにもなりかねません。
不動産投資についてきちんと勉強した上で物件を選別するようにし、また金融機関からの提案通りに物件を購入してしまわないよう注意が必要です。
それなりの資金額を要する不動産投資だからこそリスクコントロールが大切であり、自らが知識を身につけることの重要性が増してきています。

 

 

まとめ

不動産業者の倒産が相次ぐ事態になり、一種のバブル崩壊にも近しい現状が続いています。
不動産投資では6年以内に物件を売却するのが最も収益が得られやすいと言われていますが、先行きが不透明な状況では6年後を見越しての投資というのもいささか無理があります。
不動産投資ではスマートデイズのように業者から裏切られる場合も往々にしてあるため、投資するのであれば十分用心しておくに越したことはありません。

原因や対策を理解して用心しても、いざ決断するとなると足踏みしてしまう方も多いでしょう。独断に不安がある、専門家の意見を聞きたい方は、ぜひ資金調達マスターの無料相談サービスをご利用ください。 

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