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2019/05/31

米中貿易による日本への影響と懸念される余波とは

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はじめに

去年の2018年に度々ニュースで目にしたのが「米中貿易」という一つの言葉でした。これは文字通り経済大国であるアメリカと中国との貿易について指す言葉なのですが、近年では米中関係で微妙な摩擦が起こり結果的にその関係性にヒビが入ってしまうまでに至りました。表面的にはアメリカと中国との間で起こる貿易摩擦という様相にも見えますが、実際には米中貿易の摩擦により日本のみならず世界的な均衡が今まさに崩れ始めようとしています。

この記事ではそんな米中貿易による日本への影響と、それに伴うであろう深刻な余波について解説します。「米中貿易だったら日本は関係ないだろう」と高をくくっていられるのも今のうちだけかもしれません。時事的なニュースについて無知というのも一国民としてまずい対応ではあるので、断片的にでも米中貿易がどういったものであるかについて知っておくべきでしょう。

1.米中貿易の概要

そもそもこの記事を読んでいる方の中には、米中貿易がどういった状況を指し示す言葉であるかを理解していない方もいるかもしれません。この章ではまず米中貿易の概要について改めて確認していきましょう。

1-1.人民元安の状況をアメリカが看過できなかった

そもそも米中貿易について摩擦が起こったのは、追加関税が本来のきっかけではありません。それ以前にアメリカは中国が経済的な急成長を遂げたことにある不満を抱いていました。それが「中国は自国の通貨である人民元の為替レートを操作し、適正値よりも不正に安く値下げしていた」というものです。

まずここで、人民元が安いとどういうメリットが中国側にあるかについて確認しておきます。人民元が安いということはつまり他国よりも価格競争力のある商品を輸出できることに他なりません。言い換えれば買い手である消費者はより安い商品へと手を伸ばしたくなるものです。中国は自国の通貨である人民元を不正に安く操作することで、他国への輸出量を急速に増大させたとされています。これは中国における2000年以降の貿易輸出額の推移を見ても明らかです。

また人民元が安いということは国内産業により製造された商品を保護する役割を果たしてくれます。人民元が安い状況であれば他国から輸入された商品はそれよりも高いため、必然的に中国人は自国の商品を購入する傾向が強まります。かつての中国の技術力では良質な商品を製造することは難しい現状がありましたが、この不正操作された為替レートに囲われるうち中国産業は発展し、ついには国際的な技術力の水準まで追い付くことに成功します。

そうして不正操作された為替レートのせいで中国国内での貿易の結果がふるわず、そのことに業を煮やしたのが世界最大手の貿易大国であるアメリカでした。

1-2.アメリカは中国のやり方に猛反発

2018年10月4日に配信されたペンス副大統領の演説を聴いても分かりますが、アメリカ側は為替レートの部分以外でも中国に対して以下のような不満を抱いているようでした。

①関税

②総量規制

③知的財産の常態的な窃盗

④強制的な技術の供与 など

世界的に発言力のあるアメリカとしては、不正操作された為替レートによって中国が急速な経済成長を経て他国への影響力を増していく様が不快に感じたのかもしれません。言うなれば、世界の覇権を掌握していると思しきアメリカがその座を奪われかねないと危惧したのです。

1-3.貿易戦争のきっかけはアメリカだった

そんな状況を打破するためにアメリカはある措置を講じました。それが中国からの輸入品500億ドルにおよそ25%の追加関税を課すというものでした。

この追加関税を行う理由としては、知的財産権の侵害に対する制裁であるとアメリカ側は発表しています。しかし実態としては、世界的な勢力図の均衡を崩しかねない中国に対する報復的な意味合いが強いと考えられます。

そしてこの追加関税について注目しておきたい部分がもう一点あります。それは課税金額の規模ではなく、課税対象となった品目についてです。これらの品目は実は中国が世界的な製造業大国へと発展していくことを企図した、「中国製造2025」における重点的な品目と合致しています。つまりアメリカ側が中国の目論見を意図的に妨害しようとして追加関税を課したことは一目瞭然でした。

1-4.米中貿易戦争の核心は覇権争いだった

ここまでの内容からも分かるように、今回勃発している米中貿易戦争とは実は単なる追加関税の掛け合いでもなければ、嫌がらせ目的での足の引っ張り合いでもありません。将来性が見込まれ貿易額が高額になるであろうと想定されるハイテク分野における覇権争いの様相こそが、米中貿易戦争の核心とも言うべき問題だったのです。

アメリカ側は知的財産権の侵害に対する制裁や、国内産業の保護などといった理由を掲げて中国と交戦しますが所詮は薄っぺらい大義名分です。世界的な覇権争いに負けるものかと意固地になっている、一種の被害妄想が入り混じった心境であるともとれるかもしれません。またアメリカのトランプ大統領については自身の選挙活動を考慮した政治的アピールであることも考えられ、場合によっては2020年までこの手の動きが慢性的に続くのではないかという声も一部上がっています。

1-5.中国政府の対抗策は

もちろん中国政府としてもアメリカ政府の言い分を鵜呑みにするつもりはなく、アメリカからの輸入品340億ドルに対して25%の追加関税を課す方針を示して徹底抗戦の構えを見せました。アメリカは主にハイテク分野における品目を狙ったのに対し、中国は農産物や水産物、さらには自動車も含め幅広い品目の関税を引き上げました。

ただ中国政府が追加で課税できる輸入額の方が、アメリカが課税できる輸入額よりも明らかに金額が小さいことは確かです。この米中貿易戦争が長期化すれば必然的に中国が時間の経過とともに不利になってしまいます。しかし中国政府としてもアメリカの脅しに屈したくないという大国としてのプライドがありますし、中国を牽引する習近平国家主席が窮地に立たされており慎重な判断を差し迫られている現状であることに変わりありません。

両国ともに退くに退けない事情があるためにこのような貿易戦争にまで発展した訳ですが、一見すると蚊帳の外である日本はどのような影響を受ける恐れがあるのでしょうか。

2.米中貿易の余波で日本の景気が低迷する?

今後アメリカがより多くの品目で追加関税を課すとなると、先進主要国にも数えられる日本もまた深刻な打撃を受けることになります。関税が引き上げられればそれだけ消費者の生活に直接的なダメージを及ぼすことが想定されますし、日本でも1%未満のGDP(国内総生産)の押し下げが起こりうると推定されています。

特に日本の場合では自動車製造業が大打撃を受けることが最も懸念されており、その理由としては2つ挙げられます。

まず1つ目の理由として、中国国内での日系企業による自動車製造規模はかなり大きく、米中貿易戦争の余波で中国経済が悪化した場合にはまず先んじて悪影響が及びやすいと考えられます。次に2つ目の理由として、日本における自動車製造業はアメリカへの輸出依存度が高くアメリカ経済が悪化すれば深刻な影響を受けることは明らかです。

日本が世界に誇れる技術力の1つの完成形として、自動車製造業があります。その自動車製造業が米中貿易戦争によって悪影響を受け、国際的な競争力を下げられれば日本にとってどれだけの痛手になるかは測り知れません。たとえ米中貿易戦争の結末でどちらの国に軍配が上がったとしても、日本が何の影響も受けず現状を維持できるとはまず考えられないというのが識者達の意見の一致となりつつあります。

 

3.米中貿易による世界的な影響とは

米中貿易戦争により日本は甚大な被害を受けるかもしれないことについては解説しましたが、それでは世界的な影響力はいかほどのものなのでしょうか。

デジタルの世界を見れば今後の展開を示唆する状況が出来上がりつつありますが、アメリカのグーグル社が中国の通信機器メーカーであるファーウェイに対する禁輸措置を一時的に実施したことがありました。現在ではその措置も緩和されてはいるものの、インターネット上は世界が二分されたに等しい状況になっています。すなわちアメリカ側の技術で構成された空間と、中国側の技術で構成された空間とでインターネットは二分されているのです。

米中貿易戦争は今後、インターネット世界の二分だけでなく現実の世界をも二分する動きを作り出す恐れがあります。アメリカと中国、そのどちらかに与するよう政治的な圧力がかかり、結果的には世界の国々を巻き込んだ世界貿易大戦が勃発する流れにもなりかねません。

EUについてはアメリカと中国のどちらにもつかず第三勢力としてのポジションを維持できる可能性はありますが、それ以外の国については大なり小なり政治的な圧力がかかることが想定されます。

このような米中貿易摩擦から始まる貿易戦争が起こらなければ、アメリカと中国がしのぎを削り合い世界経済を牽引していくような競合的な存在としての関係性を築くことも望めたかもしれません。しかし現状ではもはやそうした未来予想図は描けませんし、アメリカと中国の関係性がどのように修復もしくは破綻していくのかは今後の動向を見なければ分からないというのが率直な感想でしょうか。

 

まとめ

アメリカにせよ中国にせよ、どちらかの経済が傾くことで日本は深刻な影響を受けることが想定できます。ただ貿易に関する難癖については日本もつけられないとは限らず、日本が自動車製造業で利益を上げ続ける限りそのことで難癖をつけられる懸念は常に付きまとうと考えた方がいいでしょう。

貿易交渉が拗れたら強制的に自国の意向に従わせようとするやり方は反発しか生まないのですが、大統領再選を目論むトランプ大統領からすれば今回の貿易戦争でさえ選挙戦のためのパフォーマンスとして利用