助成金

2019/05/31

支援金や奨励金と同様に活用したい働き方改革奨励金とは

 

はじめに

会社を経営する方であれば会社の資金調達に奔走することがしばしばあるはずです。ただ会社の経営のことを考えれば融資を利用するのは最低限度に留め、なるべくならば返済義務のない資金を集めたいと考えるのも当然の話です。国内であれば条件さえ満たせば利用できるお金として支援金や奨励金などといったお金が各種ありますが、名称がそれぞれ異なるようにその内容にも違いが存在するのでしょうか。

この記事では支援金や奨励金といったお金の違いや、最近になって創設された働き方改革奨励金について解説します。またこの記事ではお金の名称による違いを比較検討するために、「意外と知らない助成金と補助金の違い 」(http://shikin-master.com/borrowing/290/)の内容を参考にしています。会社が返済義務なしで利用できるお金の知識を身につけるためにも、ぜひこの記事に目を通してみることをおすすめします。

1.名前の違いによる違いはあるのか

冒頭でも支援金や奨励金といったお金について触れましたが、国内で利用できる返済義務なしのお金にはさまざまな種類があります。例えば支援金や奨励金もそうですし、補助金や助成金といった名称でも用意されています。ここまで読んだ方の中には「それぞれのお金は何か制度の違いがあるのだろうか」と気になった方もいるかもしれません。

結論から言えば、これらのお金については根本的な仕組みは同じであるとみなしてまず問題ありません。細かな部分では微妙な違いもあるのですが、中小企業の会社であればよく聞くのが補助金や助成金といった名称だと思います。それではまず補助金と助成金の違いについて簡単に触れておきましょう。

1-1.補助金

補助金については基本的に公募形式で募集されており、その期間中でなければ申請できないのが特徴的です。また補助金の場合では募集要件を満たす場合であっても審査に通らない可能性があります。もちろん審査に落ちてしまうとその補助金は受給することができません。

補助金の場合では「設備投資や開発研究費など事業活性化につながる活動に対しての援助」としての意味合いがあります。日本経済の発展に寄与する場合に贈られる褒賞金というイメージがぴったりかもしれません。

1-2.助成金

助成金については公募期間が特に定まっておらず、一年を通していつでも申請することができます。また助成金では募集要件を全て満たす場合には、原則として全ての会社で受給することができます。ただし会社が社会保険や雇用保険などにきちんと加入していないと、助成金の申請を断られることもあるとされています。これらの保険は強制加入なので申請する際にはきちんと加入できているか、事前に確認しておくことが必要です。

助成金の場合では雇用関係のものが多い傾向にありますが、「従業員の教育や正社員化・育児休業の活用・有給休暇の増加・残業時間の削減など様々な労働環境の整備」を目的としています。つまり会社の努力により国民の社会福祉が向上するようにという意味合いがあります。

補助金と助成金とを合わせると国内に1,000種類以上の制度が存在するとも言われています。ただ一会社の経営者がこれらの制度を全て網羅するのは至難の業であるため、補助金や助成金について詳しく知りたい方は資金調達の方法に強い士業の専門家に依頼することをおすすめします。

これらの名称以外でも返済義務のないお金は他にもあります。大まかにはそれほど違いがないため、ここでは微妙な違いについて簡単に確認しておきましょう。

1-3.奨励金および支援金

奨励金については雇用環境の整備や継続雇用制度の導入など、国が会社に対して望む制度の導入を奨励するために用意されています。支援金についても同様の意味合いが込められていると考えていいでしょう。

こうしたお金の名称そのものはそれぞれの場合で違いますが、名称が目的別に名付けられていると考えればより理解しやすいかもしれません。これらのお金については国や地方自治体などが出資しているため、自社のある地域ではどういったお金が利用可能なのか知りたい方は一度インターネットで調べてみるのもおすすめです。

そして最近では働き方改革が謳われるようになりましたが、その働き方改革を後押しするものとして「働き方改革奨励金」というのが創設されたことを皆さんはご存知でしょうか。これは従業員がより働きやすい社内環境を整備させるために用意されたものなのですが、詳しくは次章で解説します。

2.会社にとって一石二鳥な働き方改革奨励金とは

会社にとっての恒久的な課題として資金調達があるように、もう一つ挙げられるのが人材確保についてです。いくら会社として利益を追求しようとしても従業員に十分な教育が施せない、あるいは雇用してもすぐに辞めてしまうような状況では会社の人材を最大限に活用できているとは言い難い部分があります。そんな人材不足の状況を打破できる可能性のある対策を実施できて、なおかつ返済義務のない資金を確保できる方法が一つだけあります。それが最近になって創設された働き方改革奨励金です。

2-1.働き方改革奨励金の目的

働き方改革奨励金を用意しているかどうかは会社のある各都道府県で確認しないといけませんが、ここでは東京都で導入されている「働き方改革宣言奨励金」を例にして解説していきます。

この奨励金は主に働き方改革を推進するために創設されたものですが、以下のような目的を持っています。

「企業等に対し、働き方・休み方の改善に係る経費を助成することにより、企業等の働き方改革を推進することを目的としています。

※「働き方・休み方の改善」とは、従業員の長時間労働の削減及び年次有給休暇等の取得促進に向け、目標及び取組内容を定め、全社的に働き方・休み方の改善に取り組むことをいいます。」

こうした働き方改革を社内で行うことで、従業員の福利厚生を充実させる役割があります。従業員の福利厚生の向上に努めれば自ずと社内環境の整備にも貢献できるため、従業員の定着率が悪いことに悩んでいる会社は取り入れてみることでその傾向が変わることもあるかもしれません。

2-2.働き方改革奨励金の奨励事業

働き方改革奨励金では必須となる奨励事業が主に2種類あります。以下でその詳しい内容を抜粋しておきます。

A 働き方改革宣言事業【必須】 

雇用する正社員の働き方・休み方について、次の1から4のすべての取組事項を実施

1 長時間労働の削減、年次有給休暇等の取得促進に向けた問題点の抽出

2 原因分析及び対策の方向の検討

3 目標及び取組内容の設定(働き方改革宣言書の作成)

4 社内周知

B 制度整備事業

次の①②いずれも実施

①【働き方の改善】または【休み方の改善】に定める制度について労使協定を締結する。

②締結した協定を踏まえ、制度内容を就業規則等に明文化する。

*平成30年度からの変更点

○対象事業者が中小企業のみになりました。

○制度整備事業の対象に「柔軟に取得できる夏季休暇制度」を新設しました。」

AとBともに全ての項目に該当しなければならないため、条件面でのハードルが高いと感じられるかもしれません。しかし働き方改革に取り組むことで、自社の従業員の定着率を向上させられる可能性もあります。重複しますが特に従業員の定着率が悪いと感じる会社ほど率先して取り組むことで、よりよい社内環境を整備できるでしょう。

2-3.働き方改革奨励金の奨励額

この働き方改革奨励金の奨励額については、Aの場合とBの場合とで金額がそれぞれ以下のように異なります。

 A 働き方改革宣言事業  30万円

 B 制度整備事業

①【働き方の改善】に掲げる制度等を1つ以上整備   10万円(※)

②【休み方の改善】に掲げる制度等を1つ以上整備   10万円

③【働き方の改善】及び【休み方の改善】に掲げる制度等をいずれも1つ以上整備し、

合計5つ以上整備した場合  10万円

※テレワーク制度または在宅勤務制度を導入した場合に10万円が加算されます。

(テレワーク制度と在宅勤務制度を両方導入した場合でも加算額は10万円)

これらの奨励額を合算すれば分かるかと思いますが、AとBどちらの条件も満たした場合であれば最大70万円もの奨励金が受給できることになりかなりお得です。しかもこの奨励金については返済義務がないため、受給できた時点で会社の成長のために最大限投資することも可能です。

融資や借り入れの場合ではどうしても返済原資が必要になり、結局のところは借りたお金を自由に使いにくい場合があります。その点、働き方改革奨励金であれば奨励金の一種であるため、そうした心配も不要です。

2-4.働き方改革奨励金の対象事業者

今回紹介した東京都の働き方改革宣言奨励金の対象事業者は以下の通りです。

①都内で事業を行う中小企業である

②都内で勤務する従業員が常時2人以上いる

③その従業員を6ヶ月以上継続して雇用している

④申請時に就業規則を作成し、労働基準監督署にすでに届け出を終えている など

これ以外にも要件はありますが、それほど無理難題を吹っかけられる内容のものでもありません。東京で事業を行なっている中小企業の経営者で興味のある方はぜひ、この機会に条件を調べた上で申請してみることをおすすめします。

 

まとめ

会社の経営者であれば金策として融資を利用する機会も多いでしょうが、返済義務のない支援金や奨励金などを利用するだけでも会社の資金繰りがかなり改善されます。確かに融資の場合に比べれば少額と言わざるを得ませんが、こうしたお金については利用制限が設けられておらず申請自体はいくつ行っても構わない側面もあります。

特に今回紹介した働き方改革奨励金については資金調達と人材確保の両面で役立つ制度であるため、活用しない手はありません。これらの制度は会社にとっても非常に有用なものが多いので、自社だけでどの制度なら利用できるか判断できない場合にはあえて専門家に依頼してみるというのも一つの選択肢でしょう。