債務整理中はクレジットカードを使える？使えない？その疑問を解決

はじめに

国内で暮らす多くの方は自ら働いて給料を稼いでいることが多いですが、そうした場合であっても時としてお金が不足してしまうことはあるはずです。そうなると大なり小なり借金をしてでも凌がなければならなくなる場合もあります。ただ借金を抱える方の中には、その借金の返済を自力で行うことが難しく、債務整理を検討している方もいるかもしれません。
これまでに一度でも債務整理をしたことがある方であれば、どういったデメリットがあるか分かりますが初めてだと何も分からなくても仕方ありません。例えばクレジットカードを持っている方であれば、「債務整理中もカードを変わらず使えるのだろうか」と疑問に思うはずです。この記事では債務整理中でもクレジットカードを使えるかどうか、実際に債務整理を行う際の注意点や、クレジットカードを新規で作るためのコツについて解説します。

1.債務整理の基礎知識

借金の金額が大きかったり月々の給料にあまり余裕がないといった場合、一部の方では債務整理することを検討するはずです。ただ実際に債務整理を行うとなると、具体的にはどのような方法があるかについて事前に調べておく必要があります。
この章ではまず、そんな債務整理の基礎知識について簡単に確認しておきましょう。

1-1.債務整理の方法4種類

債務整理とは現状ある借金を一部減額する、もしくは免責(支払いの義務をなくす)ための方法となります。借金の金額をいくら減らすかによっても方法がそれぞれ異なりますが、具体的には任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4種類があります。以下でそれぞれ見ていきましょう。

①任意整理
借金の取引開始時までさかのぼり利息を15〜20%まで引き下げて再計算し、利息をカットした元本のみを3年程度で完済する内容で貸金業者と和解するのが任意整理となります。
個人再生や自己破産よりもデメリットが比較的少なく、現状よりも借金の総額を減額できるというメリットがあります。また任意整理以外の方法の場合では裁判所での手続きを踏まなければならない一方で、任意整理の場合では弁護士や司法書士のような代理人を立てない限りは、個人で貸金業者と交渉をすることも可能です。

②特定調停
貸金業者と利用者との仲裁役として簡易裁判所に入ってもらい、現状よりも返済条件が緩和されるように簡易裁判所が支援してくれるのが特定調停となります。
任意整理同様に3年程度で借金を完済できる見込みがなければ利用できませんが、特定調停の場合でも上限金利を再計算してから毎月分割で返済していく流れは変わりありません。ただし特定調停の場合では貸金業者が特定調停に非協力的だったり、各簡易裁判所によって基準がまちまちであるというデメリットがあります。

③個人再生(民事再生)
高価な自己資産を処分せず、なおかつ借金を大幅に減額する方法として個人再生があります。
この場合では借金の総額が5,000万円以下で継続的に返済できる見込みがあることが利用条件となります。借金の1/5程度は減額後も継続的に支払い続けなければならないものの、自己破産のように高価な自己資産を全て処分せずに済むという大きなメリットがあります。

④自己破産
債務整理の方法の中でも、最もデメリットが多いという認識をされがちなのが自己破産です。
自己破産の場合では20万円以上の資産であれば処分しなければならないことは事実ですが、現状抱えている借金を返済する義務が免責されるというメリットがあります。そのため高額の借金を抱えて自転車操業状態になっている、あるいは継続的に収入が入る見込みがない場合に有効です。

1-2.債務整理は個人でできるのか

債務整理を選択する方の多くが、弁護士や司法書士といった専門家に依頼します。ただそうは言ってもそんなお金を支払うことももったいないと感じ、「どうにか個人で債務整理を行いたい」と考える方もいるかもしれません。特に任意整理の場合では裁判所を介さず貸金業者と交渉を進める点から、このように考える方がいても不思議ではありません。
個人で貸金業者と連絡を取り合い債務整理を進めることは決して不可能ではありませんが、やはり専門家に依頼した場合と比べて成功率が低くなることは否めません。また債務整理の場合であれば現時点で過払い金が発生していることもあり、弁護士に依頼している場合であれば過払い金請求をして債務整理を行わずに借金を減額、あるいは完済することもできる可能性があります。
債務整理を仕事や家事のスキマ時間に行うとなると想像以上に時間や手間がかかります。専門家への依頼料として余分な費用を支払わずに済むものの、成功率の低さを考えれば多少費用を支払ってでも専門家に対応してもらった方が無難ではあります。

2.債務整理中はクレジットカードを使える？使えない？

自力で借金を完済できないとなれば、選択肢の一つとして債務整理をすることも検討するはずです。ただ債務整理をするとなると日常生活に支障を来す場合があり、クレジットカードを利用している方であればその影響については事前に知っておくべきでしょう。
この章では次に債務整理中にクレジットカードを使えるかどうか、その気になる部分について解説していきます。

2-1.任意整理なら一時的に使える

債務整理の方法の中でも最も手頃な任意整理の場合では、複数ある債務から整理する債務と整理しない債務について自ら決めることができます。ただ整理しないと決めたクレジットカードの場合であっても、一時的に使うことはできるもののいずれは使えなくなってしまいます。これはクレジットカードを発行するカード会社が、利用者の信用情報を随時審査しているからに他なりません。
実際に審査した時点で別の貸金業者やカード会社で任意整理を行なっていることが発覚した場合、その時点でカードの利用停止および強制退会となることは事前に知っておいた方がいいでしょう。
これが例えば個人再生や自己破産の場合であれば、全ての債務が整理対象となるためクレジットカードで借金がある場合にはすぐに使えなくなってしまいます。またクレジットカードのキャッシング枠を頻回利用してなおかつ借金を返済できていない場合でも、そのクレジットカードは利用停止になりやすい傾向にあります。

2-2.債務整理するとカードを新規で作れない

いずれかの方法によって債務整理した場合、信用情報機関に事故情報が登録されてしまうため、一定期間は新規でクレジットカードを作れなくなります。一般的には任意整理で5年、個人再生や自己破産で5〜10年は事故情報が残ると言われています。
ただインターネットを検索していると、債務整理中でもクレジットカードを使える、新規でクレカを作れたといった声を見かけることもあるかもしれません。これは非常に稀な場合ではありますが、少数派として債務整理中であってもクレカを継続的に使えたり新規でクレカを作れる方というのがいます。では実際に債務整理をした後もクレジットカードを使うためにはどうすればいいか、詳しくは次章で解説していきます。

3.債務整理中でもカードを使い続けるためには

債務整理をする場合では借金の減額もしくは免責をするため、借金の大小にかかわらず債務整理をした時点で信用情報機関に事故情報が残されます。ただ債務整理をした後もクレジットカードを使いたい方がいるのは当然の話で、その共通項を真似ることであなた自身もクレジットカードを手放さずに済むかもしれません。

3-1.キャッシング枠を0円にした

カードの審査で債務整理した事実が分かると、同様の事態に発展することを恐れて審査の目が厳しくなりがちです。ただ申し込む時点からキャッシング枠を０円にしておくことで、審査を通過できる可能性を高くすることができます。

3-2.延滞したことが一度もない

特定のクレジットカードを継続的に利用している方であれば、過去に支払いの延滞を起こしたことがないかまで確認されます。例えばクレカの更新時に支払いの延滞記録が数度あったことが判明した場合、クレジットカードの更新ができなくなってしまうことも実際にあるほどです。そのためクレジットカードの支払いに関して一度も延滞したことがないという場合であれば、債務整理中であってもクレカの更新を認めてもらえるかもしれません。

3-3.債務整理してから年数が経過した

これは当然のことではありますが、債務整理してから一定期間が経過すれば特に問題なくクレジットカードを新規で作ることができます。

3-4.審査の甘いカード会社に申し込む

債務整理中でもクレジットカードを作る方法として、審査の甘いカード会社に申し込むという方法はかなり有効です。そのカード会社の審査が甘いかどうかを見極める基準としては、①収入条件が明記されていない、②電話連絡による本人確認が必須ではないことが挙げられます。こうしたカード会社に申し込んでおけば、債務整理中であってもクレジットカードを新規で作れる可能性がかなり高くなります。

ここまで債務整理中でもクレジットカードを使い続けるためのコツについて簡単に触れましたが、一点だけ忘れてはならない注意点というのもあります。それは「過去に債務整理したカード会社は絶対に避ける」ということです。
前述した信用情報機関であれば、一定期間が経てばその事故情報もいずれ消えます。ただしカード会社の場合では社内独自のブラックリストを作成していることが多くなります。つまり債務整理した履歴が半永久的に保存されており、数年後に再度申し込んだところでクレジットカードを新たに作れる可能性は皆無と言っていいでしょう。
また複数のカード会社に申し込んでしまうと、そのことで審査を落とされることにもなりかねません。クレジットカードを新たに申し込む際には審査の甘いカード会社を選び、必ず債務整理したことのあるカード会社は避けるように徹底しましょう。

まとめ

今回は債務整理中にクレジットカードを使えるかどうかという点に着目して解説しましたが、資金調達マスターではこの他にも債務整理に関する記事を掲載しています。債務整理について知識を深めたい、解決策を探りたいという方は時間のある時にでも別の記事も参考にしてみると、きっと新たな発見があるはずです。