借り入れ

2018/08/31

要点を押さえて法的効力を発揮!適切な借用書の作成方法とは

はじめに

親子や親族といった親しい間柄だからと、お金の貸し借りをする際に口約束のみで済ませてしまう方もいるかもしれません。
貸した相手がよほど信用のおける人間であればいいですが、お金が絡むと何かとトラブルに発展しやすいことは理解しておくべきです。
特に親しい間柄であればこそ、後々のトラブルを回避する意味でも借用書の作成が望まれます。
そこで今回の記事では、適切な借用書の作成方法について解説します。
借用書をこれまで作成したことのない方であれば、どのような内容で作るべきか悩むのも当然の話です。
ここでは借用書の作成方法について簡単に解説しているので、作成する際の指針になれば幸いです。

1章:借用書はなぜ必要か

冒頭でも触れたように、お金の絡む問題ほどトラブルに発展しやすいものです。
親しい間柄でもお金の貸し借りでは借用書を用意しておくことで、以下のようなメリットがあります。

・債権者と債務者の認識を統一できる
・条件や金額の一方的な改ざんを防止する
・親族間でも贈与とみなされずに済む

上記の内容について補足すると、まずお金の貸し手のことを債権者、借り手のことを債務者と呼びます。
そして親族間で口約束によるお金の貸し借りをしてしまうと、仮に裁判を起こした際に借用ではなく贈与とみなされてしまう可能性が高いです。
そうなると債権者であるあなたがお金の貸し損になってしまうため、親族間であっても借用書はきちんと作成しておくべきなのです。

2章:借用書の種類とは

一般的に「借用書」と呼ばれる書類にも実は種類があり、それには「借用書」と「金銭消費貸借契約書」、さらには「債務承認弁済契約書」があります。
以下でそれぞれ具体的に見ていきましょう。

2ー1 借用書

一般的に借用書と呼ばれる書類ですが、この場合だと債権者のみが署名し、かつ債務者が保管することになります。
そのため債務者が紛失あるいは改ざんするリスクが高く、作成するのはあまりおすすめできません。

2ー2 金銭消費貸借契約書

借用書と効果は同じですが、こちらの場合では債権者と債務者の双方とで署名・捺印した後に、それぞれで一通ずつ保管しておくことができます。
両者の合意を書面に記録できるだけでなく、仮にどちらかが紛失や改ざんをした場合でも、一通ずつ保管してあるのでもう片方の人間が当時の契約内容を確認することができます。
書面とお金の受け渡しを同時に行う、あるいは先に書面を作成してから後日お金を受け渡す場合では、この契約書を作成しておくと無難です。

2ー3 債務承認弁済契約書

また、お金を受け渡した後から書面を用意することもあるかもしれません。
そうした場合であれば、金銭消費貸借契約書ではなく債務承認弁済契約書という名称に変えて作成しなければなりません。
この書面を作成する場合では、債務者が現状借りている債務の存在を認識し、改めて書面上で返済を約束する形になってきます。
そのため書面の文言が金銭消費貸借契約書の場合と微妙に異なってしまいます。
ただ債務者が後日書面を交わすことに応じるとも限らないので、なるべくならば金銭消費貸借契約書で済ませる方がより安全です。

上記の内容を踏まえても、個人で借用書を作成する際には金銭消費貸借契約書を用意して取り交わすことが最善策と言えるでしょう。
また、以下の記事ではこの金銭消費貸借契約書のことを便宜上、「借用書」と表記するのであらかじめご了承願います。
借用書自体は個人でも作成可能ですが、個人で作成したものを「私文書」と呼び、公的機関が作成した「公文書」と区別しています。
それぞれの効力についてはまた別の章で解説します。

3章:借用書の必要項目とは

いよいよ借用書を自作する段階になると、どのような内容を盛り込めばいいのか分からないという方ももちろんいるでしょう。
ここでは必要事項と追加できる項目について簡単にまとめてみました。

3ー1 基本6項目

まず借用書を作成するにあたり、必ず記載しておかなければならない項目としては以下のようなものがあります。

・借用書の作成日付
可能であれば、お金を受け渡した日付と同日にしておくのが無難かもしれません。和暦、西暦のどちらでも構いませんが、混合しないよう注意してください。

・債権者の氏名・捺印・住所
パソコンで入力することも可能ですが、お互いが了承したことを示す意味でも手書きがいいでしょう。

・債務者の氏名・捺印・住所
債務者が返済することに同意したことを示す証拠になるので、必ず手書きで書くように促しましょう。

・貸し借りした金額
一般的によく使うアラビア数字だと後から改ざんされる可能性もあるので、借用書に書く数字については大字(漢数字)を使用するようにしてください。

・お金を受け渡した日付
手渡しで済ませると公的な記録が残らないため、お金の受け渡し方法としてはなるべくであれば銀行振込で対応するべきです。

・返済方法・返済期日
漠然とした内容では意味がないので「○年○月○日」や「月○回」というように、日付を明確に示すような文言に設定しましょう。

返済方法について未記入の場合だと、「持参」での返済となってしまいます。
銀行振込を指定する場合であれば銀行名や指定口座とともに、振込手数料をどちらが負担するかについても取り決めておくと後々のトラブルを回避しやすくなります。

3ー2 追加3項目

基本的には上記の項目のみでも作成できますが、以下の3項目を追加で盛り込むことも可能です。

・利息
利息制限法の上限を超える利息を設定してしまうと裁判で超過分が無効になるだけでなく、債務者に後から返還を請求される可能性があります。
トラブルの原因にもなりかねないので、付与するにしても利息は引き上げすぎないことが大切です。

・遅延損害金
こちらも利息制限法で上限が定められているため、上限までの範囲内で利率を設定しておくことができます。
ただし書面に記載していない場合でも、遅延損害金については民事法定利率である年5%の支払いが債務者の義務として存在します。

・期限の利益喪失の条件
これは借用書に定められた次の返済期日まで、債務者が返済を猶予される利益を保証するものです。
ただこの期限の利益については、以下の条件によって喪失してしまう可能性があります。

・債権者が元金および利息の支払いを一度でも滞納させた
・債務者が他の債権者によって、仮差し押さえや仮処分、強制執行を受けている
・債務者が他の債権者に対して、競売や破産、民事再生の申し立てを行なっている
・債務者の持つ手形や小切手が不渡りになった
・債務者が税金の滞納処分を受けている
・債務者が債権者に通知せず引っ越した など

このような条件に合致した際には「当然喪失」として、自動的に期限の利益が喪失することになります。
また、仮にそれ以外の条件を書面上で設定しておけば、その条件に合致した状態でかつ債権者が返済の請求をすることで、「請求喪失」したとして期限の利益が喪失します。
どちらの場合についても期限の利益が喪失した時点で、債権者は債務者に対して一括返済を要求することができます。
当然喪失以外の条件については、双方で相談して決めるといいでしょう。

3ー3 その他の項目

それ以外に追加できる項目として、以下のようなものがあります。

・連帯保証人
債務者が万が一返済できなかった場合の連帯保証人を、借用書で併せて設定しておくことができます。
この場合にも連帯保証人の署名・捺印・住所が手書きで必要になります。

・分割返済
分割返済を認める場合では、さらに以下の項目について明記しておく必要があります。

・一回あたりの返済額
・返済期日
・最終的な返済期限
・合計の返済回数
・分割での利息の設定(元利均等払い、元金均等払い)

分割返済で利息を設定する場合では、上記の二種類から利息の設定基準を選択することができます。
ここでは割愛しますが、分割返済で利息ありにしたい方は一度インターネットで検索してみるといいでしょう。

4章:その他の注意事項とは

借用書の作成方法について大まかに解説してきましたが、その他の注意事項について最後にまとめておきます

4ー1 制限行為能力者との契約はしない

法律的な行為を制限されている人間のことを「制限行為能力者」と呼びますが、以下のような人間との契約は避けるべきです。

・未成年者
・成年被後見人
・被保佐人
・被補助人

これに該当する人間と仮に借用書を交わしたところで、その契約は無効になってしまいます。
未成年者以外では、何らかの依存症の人間が被保佐人に該当する可能性があります。
お金の貸し借りをする前に、まずは制限行為能力者ではないか十分確認するようにしましょう。

4ー2 私文書と公文書の効力について

借用書にも私文書と公文書とがあることは前述しましたが、私文書に法的効力は一切ありません。
裁判時の物的証拠になることはありますが、基本的には債務者との信頼関係のために用意するものと思ってもらえればいいです。
その一方で公文書の一種である「公正証書」では、滞納された場合では裁判を経由せずに差し押さえに移行することができます。
ただし公正証書の作成には一定の金額がかかるため、お金に余裕がある場合だけに作成を限定してもいいでしょう。

4ー3 借用書の作成には収入印紙が必須

借用書を作成する場合でも、1万円以上の金額で作成する場合には収入印紙の貼り付けが必須となります。
ただし債権者のみが原本、債務者および連帯保証人が副本を保管する場合であれば、原本のみに収入印紙を貼り付けるだけで構いません。
この収入印紙を貼り付けていないことが税務署に発覚すると、通常の約3倍の金額の収入印紙代が請求されることになります。
ただ収入印紙がないからといって借用書の効力自体が変わる訳ではないので、貼る貼らないは当人の自由ではあります。

まとめ

いかがでしょうか。細かい部分は省きましたが、借用書の作成方法を大まかに理解できたでしょうか。
借用書の作成は要点さえ押さえればそれほど難しいものではありません。
どうしても見本が欲しいという方はインターネット上に専門家が用意したテンプレートもあるので、そちらを参考に作成してみるといいでしょう。

借用書の作成や資金調達を確実に行うには多くの知識が必要になります。独学も経営の未来を支える大切な学び方ですが、専門家に相談することが正しい知識を身につける何よりの近道です。 

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