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2018/09/28

意外と知らない?源泉徴収とは?

はじめに

社会に出て働いた経験のある方ならば、一度は源泉徴収という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。しかし、何らかの会社に所属して働いている方でも源泉徴収が実際にどういったものかを理解している方も少ないのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、社会人でも意外と知らない源泉徴収について解説します。源泉徴収そのものの仕組みはもちろん、実際に手続きする上での注意点も併せて紹介します。フリーランスとして、あるいは個人経営者として今後働く際の参考にしてもらえれば幸いです。

1章:源泉徴収の仕組み

源泉徴収という言葉を聞いたことはあるけど、実際の手続きや仕組みはあまり知らないという方は社会人の中でも意外と多いものです。それもそのはず、会社に所属して働くサラリーマンの方では、会社の経理担当が代行してくれるからに他なりません。
それでは何故そうした仕組みが必要とされるのでしょうか。

1ー1 源泉徴収は何の税金にあたるか

国および地方自治体が公共事業を行う際に必要となるのが財源ですが、それを支えているのが様々なモノやサービスに課される税金です。税金にも様々な種類があり、源泉徴収に関わる税金としては「所得税」が挙げられます。この所得税とは国民一人あたりの所得にそれぞれ課される税金のことを指しており、その税率はその人の所得次第で変動します。
例えば総所得が100万円以下であれば以下のような計算式になります。

源泉徴収額=(所得額)×10.21%

また総所得が100万円以上ある方であれば、上記の計算式よりも高い税率が課されることになります。

源泉徴収額=(所得額)×20.42%

源泉徴収の金額を決める計算式そのものは簡単なものですが、この税率の中には「復興特別所得税」というものが含まれることを皆さんはご存知でしょうか。
この復興特別所得税とは平成23年に正式に発表された、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」に基づく期間限定で設けられた特殊な税率のことを指します。平成25年の元旦から平成49年の大晦日までの間、国民に本来課されてきた所得税と併せてこの復興特別所得税が課されるようになっています。

ちなみに、所得税100万円以下では上記の税率のうち0.21%が、100万円以上の場合では0.42%がこれに該当します。震災のために長年にわたり支援金を確保するためのものではありますが、国民一人ひとりの生活に負担が響かないよう最低限度に留められていることは知っておいてもいいかもしれません。

1ー2 源泉徴収が制度化された理由について

さて、話は元に戻りますが、源泉徴収とはそもそも国民から所得税を徴収するために始められた制度です。日本の所得税に関しては自分の所得額に応じた税金の金額を計算した上で納税する、「申告納税制度」が基本的には採用されています。しかし全国民が個人的に所得税を納めるとなると、以下のような問題点が浮上してしまいます。

①納税者の仕事次第では、税務署の対応時間内に納税できない可能性がある
②所得税の計算方法を間違える恐れがある
③安定的な税収を確保するのが難しい

まず①についてですが、税務署もまた役所のように営業時間が決まっています。その限られた時間内で国民全員の手続きを滞りなく完了させることが、いかに難しいことであるかは想像に難くありません。
次に②についてですが、復興特別所得税を鑑みても分かるように、税金に関する法律もまたその都度細かく内容が改訂されているのが現状です。そのため国民全員が現時点での税制度を把握しておくことは非常に困難であり、正しい計算方法を知らない方が納税した場合では所得税の過不足および申告漏れが発生する可能性は否めません。
さらに所得税に関しては、1〜12月にわたるその年度の所得額を計算し、翌年1〜3月の間に納税を行うのが原則となります。そうなると1〜3月以外の月では所得税による税収がなくなるのと同義であり、そのような偏りのある税収では国や地方自治体における公共事業のための費用が不足することになってしまいます。

以上のような理由があるために、日本では個人の所得税に関する納税を会社が代行して実施しているという訳です。
こと所得税に関しては前年度の総所得額に基づき、月々の給料から差し引く金額を計算しています。個人に代わり源泉徴収の支払いをしてくれる会社のことを「源泉徴収義務者」と呼び、この制度が存在することで所得税は毎月定期的に納税されるという仕組みが出来上がりました。

1ー3 源泉徴収される収入の種類

個人の所得に応じて源泉徴収されるという仕組みを理解したところで、次の話題に移りましょう。
前項では源泉徴収の大まかな仕組みについて解説しましたが、実際には日本国民の仕事の全てにおいて源泉徴収が実施される訳ではありません。ここで源泉徴収が行われる主な収入の種類について紹介しておきます。

①弁護士、公認会計士、司法書士などに支払われる報酬
②社会保険診療報酬支払基金による診療報酬
③芸能人や芸能プロダクション宛に支払われる報酬
④プロのスポーツ選手やモデルなどに支払われる報酬
⑤広告宣伝に関する報酬
⑥馬主に支払われる賞金
⑦宴会などで接待するコンパニオンなどへの報酬
⑧多岐にわたる業務に関する契約金
⑨原稿料やデザイン料、講演料などの報酬

上記については源泉徴収するよう義務付けられていますが、これ以外でも源泉徴収される収入の種類は色々とあります。ただし場合によっては源泉徴収を必要としない収入も実は存在します。納税の義務を怠らないためにも自身の仕事がどの種類の収入に該当するかを事前に確かめ、源泉徴収の有無を把握しておくことが大切です。
この章では源泉徴収の概要をざっくりとおさらいしましたが、次章ではより踏み込んだ内容を確認していきます。

2章:源泉徴収の手続き

自身で働き所得を得る国民の義務として源泉徴収を行うことが重要であることは分かりましたが、肝心の具体的な手続きについて知らなければ個人で手続きを済ませることはかなりハードルが高いように思えてしまうことでしょう。
この章では源泉徴収する上で必要とされる具体的な手続きの順序とその内容について解説していきます。

2ー1 源泉徴収の有無を確認する

前章でも述べたように、源泉徴収の対象となる収入には具体的な決まりが存在します。源泉徴収されるべき主な収入の種類についてはインターネットで調べても確認できるので、自身の仕事は源泉徴収が必要なのか否かを事前に確認しておくことをおすすめします。
また個人間での収入のやり取りだからといって源泉徴収の対象にならないとは限らないので、その点は十分注意しましょう。

2ー2 源泉徴収の金額を計算する

源泉徴収の対象となることが判断できたら、次は源泉徴収の金額がいくらになるかを実際に計算していきます。所得税の税率が100万円を境にしてそれぞれ異なることは前述した通りですが、もう一点注意しておきたいポイントがあります。それが消費税の取り扱いについてです。
一般的な方法であれば、消費税も含めた所得額に税率をかけることで源泉徴収の金額を計算することになります。ただし、給料明細においてその月の総所得額と消費税とが明確に区別されている場合に限り、例外的にですが消費税を除く所得額に対して源泉徴収の金額を計算することができるようになります。

しかし、これはあくまでも例外的な措置であるため、消費税の課税対象外とされる取引以外については原則として消費税を含めた所得額を明記しなくてはいけません。ただ源泉徴収額についてだけ見ると、消費税を区分した場合の方が納税額を若干ですが抑えられるため、自身が経理担当者であればなるべく消費税を区分した給料明細を作成するに越したことはありません。

2ー3 源泉徴収の支払い期日

源泉徴収が毎月定期的に納税するための仕組みであることは前述しましたが、税務署への納税の期日としては源泉徴収した翌月10日と決まっています。大規模な会社であれば社員全員の源泉徴収額を納めることは苦もないことであるかのように思われるかもしれませんが、反対に小規模経営している会社ともなると毎月納税する時間や手間に追われてしまうことでしょう。
そうした小規模の会社を経営する方に知っておいてほしいのが、「源泉所得税の納期の特例」についてです。

この制度では給料を支払う従業員が10人未満の会社が対象であり、この制度が適用されることにより支払い回数を年二回にまで抑えることができます。具体的には1〜6月までの源泉徴収額は翌月7月10日まで、7〜12月までの源泉徴収額は来年の1月10まで支払い期間が猶予されることになります。
ただしこの納期の特例についてはいくつか注意事項もあります。以下で簡単にですが確認しておきます。

①納期の特例の適用は申請した月の翌月から
②従業員が10人を上回った時点で、税務署に別途届け出る必要がある
③納期の特例は一部の収入に対してのみ有効である

納期の特例を利用できる条件に合致していれば、金銭的および事務的な負担を減らす意味でも活用してみるといいでしょう。

2ー4 所得税の納税方法

所得税自体は国が定めた税金であるため、納税する際には「所得税徴収高計算書」という納税書に必要事項を記載しておかなければなりません。この書類を源泉徴収額とともに持参し銀行あるいは税務署のどちらかで納税するのですが、ここでも一点注意すべきことがあります。
源泉徴収の対象となる収入にもいくつか種類があるように、源泉徴収額を記載する所得税徴収高計算書にもその収入の種類によってフォーマットがそれぞれ違っています。一般的な給料や資格者報酬に関しては「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」を、それ以外の報酬の場合であれば「報酬・料金等の所得税徴収高計算書」をそれぞれ使い分ける必要があります。現時点では源泉徴収を行う立場ではない方であれば、頭の片隅にでも源泉徴収専用の納税書にも種類があることを知識として残しておくくらいでいいでしょう。

2ー5 源泉徴収における書類業務

源泉徴収を実際に経験したことのない方であれば納税した時点で手続きは終わりかのように感じるかもしれませんが、納税しただけの状態であれば実際には書類業務が未だ残っています。
源泉徴収額の納税が毎月の業務であるとすれば、書類業務としては以下の三点の書類を作成しなければなりません。

①源泉徴収票
②支払調書
③法定調書合計表

まず①についてですが、一年間の源泉徴収額が記載されたものを指します。これはあくまでも一年間の給料に対する源泉徴収額が記載されるため、年末調整を終えた際の金額も含めてのものとなります。
それに対して②では、特定の取引先に対して年間で5万円以上の報酬を支払った際にこれを作成しなければなりません。②に関しては基本的に二部作成するのが通例であり、一部は税務署に、もう一部は報酬の支払い先である取引先に渡します。
最後に③についてですが、これはあくまでも略称で、正式名称を「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」と言います。③の内容は以下に挙げる複数の書類によって構成されています。

⑴給与所得の源泉徴収票合計表
⑵退職所得の源泉徴収票合計表
⑶不動産の使用料などの支払調書合計表
⑷不動産などの譲受に関する対価の支払調書合計表
⑸不動産などの売買もしくは貸付のあっせんに関する手数料の支払調書合計表
⑹報酬や賞金、契約金などの支払調書合計表

これらの書類に関しては、源泉徴収の実務を実質的に終えた年の翌年1月にまとめて作成する運びとなります。
ただし一点注意点があるとすれば、報酬の支払いを行う会社だからといって必ずしも支払調書を渡してもらえるとは限りません。会社としての源泉徴収に関する情報や金額を書類化する際には、情報の把握漏れがないように日頃からこまめに記録に残していくことが大切です。

まとめ

いかがでしょうか。源泉徴収の実務自体は対象の有無を確認するところから始まり、その金額分を徴収した上で納付するまでの流れは毎月同じです。
ルーティンのように毎月数をこなしていけば、最初は時間がかかるでしょうがいずれは苦もなくこなせるようになることでしょう。また、税金を滞納すると延滞税として過剰分まで税金を支払わなければならなくなるため、計算漏れがないか十分に確認してから納付するようにしましょう。

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