銀行融資

2019/02/28

銀行融資の審査基準 「信用格付」とは

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はじめに

会社の資金調達の方法として知られる銀行融資ですが、その審査基準として「信用格付」が行われていることをご存知でしょうか。この信用格付を行うことにより会社に順位をつけ融資可能かどうかを判定しています。会社側は審査される側ではありますが、信用格付がどのような基準で行われているのかを詳しく知ることで銀行融資で審査落ちすることを未然に防げる可能性が出てきます。
この記事では銀行融資の審査基準として用いられる信用格付について解説します。またこの記事では「助っ人」の「起業家なら知っておくべき!!銀行が行う格付のカラクリとは!?」の内容を随時抜粋しています。信用格付について知識を深めたい方はそちらの記事も参考にしてみるといいかもしれません。

1.信用格付とは何か

信用格付と聞くとあまりピンとこないかもしれませんが、これはいわゆる信用力を点数化したもののことを指します。例えば学校でテストを行いその点数ごとに在学生に順位をつけるように、銀行もまた会社の信用力を点数化することで順位付けをしています。こうすることで融資するべき優先順位が見やすくなりますし、返済能力の低い会社に誤って融資してしまうリスクを回避することができます。
銀行のような金融機関では会社の信用力を点数化して順位付けするべく、以下のような分類を設けています。

・正常先:財務状況が優良もしくは良好とみなされた会社が分類され、正常先では債務履行の可能性が高いとみなされています。ただ正常先に分類されてはいるものの、債務不履行のリスクが高く場合によってはすぐさま要注意先に下落させられる一歩手前の会社も中には含まれます。10段階での評価で言えば1〜6までが正常先として括られます。

・要注意先:10段階中の7〜8が要注意先として分類され、財務状況に何らかの問題があり債務不履行のリスクが高いため銀行側からの干渉や管理が不可欠とされる会社がこれに該当します。

・不良債権先:10段階のうち9〜10に分類された会社は実質破綻先、もしくは破綻懸念先とも呼ばれます。財務状況に重大な問題を抱えておりかつ経営破綻のリスクも高い会社であると判断されます。既に経営破綻している会社は最も低い格付がなされ、銀行融資が受けられる可能性はほぼ皆無と言っていいでしょう。

銀行側は大まかに上記のような分類をすることで、お金を貸しても問題なく回収できる会社かどうかを判断することになります。銀行から融資を受けるためには正常先の区分に入る必要があります。仮に要注意先に分類されてしまった場合では審査落ちの可能性が高くなってしまいますし、不良債権先に分類されてしまえばどの銀行からも融資を受けられない可能性さえあります
信用格付の概要についてある程度把握したところで、次章ではより具体的な信用格付の内容について解説していきます。

2.信用格付の仕組みとは

銀行の信用格付では主に、「定量分析」と「定性分析」の二つの方法によって点数が決められています。定量分析は数値に表せるもの、定性分析は数値で表せないものという違いがあるため、定量分析の方が比重が大きく重視される傾向にあります。数値である定量分析は客観的な情報として見られるため信憑性がある一方で、定性分析の方は人の評価次第という部分が大きいため評価に重きを置けないという側面もあります。

2-1.定量分析

銀行融資を受けるためには、定量分析で見られる数値が何であるのかを事前に把握しておく必要があります。定量分析では決算書の財務分析が重視され、その分析内容が安全性・収益性・返済能力を判断する要素へとさらに細分化されていきます
具体的には以下のような数値が各要素へと分類されることになります。

・安全性
①当座比率=当座資金(現預金や売掛金などを含む)÷流動負債
②流動比率=流動資産÷流動負債
③自己資本比率=純資産(自己資本)÷総資産
④固定比率=固定資産÷純資産
⑤固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+純資産)

・収益性
①総資産経常利益率(ROA)=経常利益÷総資産
②売上高経常利益率=経常利益÷売上高

・返済能力
①インタレスト・ガバレッジ・レシオ=(営業利益+受取利息配当金)÷(支払利息+手形売却損)
②債務償還年数=有利子負債÷(営業利益+減価償却費

これらの決算数値の計算によって総合的に信用格付が行われる訳ですが、経営者の方がこの計算式を全て正確に覚えておく必要はありません。決算書の数値が重視される傾向にあることを理解しておけばそれで構いません。また売上高や経常利益といった数値から会社の成長性を判断することもあり、いずれにせよ決算書の数値は信用格付にとって非常に重視されています

2-2.定性分析

また数値で表せない評価として定性分析があると前述しましたが、定性分析では以下のようなものが判断材料として確認されます。

・経営者の過去の実績や経営能力
・会社の業歴
・財務の管理能力
・事業展開している業界の成長性
・過去の借り入れや返済状況
・会社独自の技術やサービスの有無
・マスコミで紹介された実績の有無 など

定性分析では評価する人間の基準に左右される特徴があるため、基本的には平均的な点数しかつけられずどの会社の場合でも点数に大差ないことがインターネット上で噂されています。その真偽を確かめる術はありませんが、会社側が努力しやすいのは数値的な部分であることには変わりありません。
次章では信用格付の評価を上げるための具体的な方法について解説していきます。

3.信用格付で評価を上げるには

信用格付では決算書の数値を用いる定量分析が重視されることを前述しました。つまり信用格付で評価を上げるためには決算書に表れる部分での数値を改善するのが一番手っ取り早いということです
以下では信用格付の評価を上げるための具体的な方法について紹介してみました。自分の会社で取り入れられそうなものがあればさっそく実践してみてはいかがでしょうか。

3-1.負債を減らす

安全性に関する計算式では流動負債という数値が登場しましたが、単純に言えば分母である負債の金額を減らすことで当座比率や流動比率の数値は大きくなります。
そのため複数社からの借り入れを行なっている状況であれば、せめて一社になるまでは銀行融資の申し込みを控えるという選択肢もあります。収益が上がっていても負債が多い状況では銀行も融資を渋ることは目に見えているので、負債額が大きい場合にはその減額から始めてみるといいでしょう。

3-2.自己資本比率を上げる

一般的には自己資本比率が40%以上ある会社は潰れないとも言われており、負債による他者資本よりも自己資本が多い会社の方が返済能力のある会社として見られやすくなります。この自己資本比率を上げるためには営業利益を上げることはもちろん、売掛金の延滞を早めに回収する、あるいはベンチャーキャピタルや株式投資による増資を図るなどでも自己資本を増やすことができます。

3-3.コストを削減する

収益を増やすことでも決算書の数値は改善できますが、支出を抑えることでも改善することは可能です。例えば余分な人件費を削減したり仕入れコストを抑える、オフィスの通信費や光熱費を抑えるなどでも支出を減らすことができます。これだけでも経常利益率は多少なりと改善されます。

3-4.総資産を減らす

自己資本比率を上げるためには純資産を増やすことはもちろんですが、それ以外でも総産を減らす方向からでもアプローチすることができます。例えば不要な在庫を処分したり余分な設備のリースを中断するだけでも総資産を減らすことにつながります。設備投資については新たに購入するのではなくリースで済ませることでバランスシート上の数値も変動してきます。

3-5.高価値商品やサービスの提供にシフトする

会社によっては低価値商品およびサービスの提供を主としているところもあるでしょう。ただその状況では薄利多売になり収益がなかなか上がらないということも想定されるので、信用格付の評価を上げる意味でも高価値商品やサービスの提供へとシフトすることで増益を図りやすくなるかもしれません。

今回は決算書の数値に言及した方法を紹介しましたが、定性分析に重きを置いた方法というのもいくつかあるにはあります。決算書以外の部分でも改善したい場合には、定性分析に着目した方法についても併せて調べてみるといいでしょう。

4.銀行も格付されるって本当?

かつての銀行であれば信用格付のような順位付けもしないままに、資金繰りに困る会社に対する融資を安請け合いしていた時代もありました。しかしそれがバブル崩壊に伴い回収不可能となる案件がいくつも露見してしまったために、それ以降は「早期是正措置」という制度ができて銀行の健全な運営が目指されるようになりました。つまり「身の丈に合った経営をしているかどうかを金融庁が定期的にチェック」しているということです。
銀行が会社を格付する場合には決算書の数値も含めた総合的な観点によるものでしたが、それでは金融庁が銀行を格付する際には何が重視されるのでしょうか。それが銀行自身の自己資本比率なのです。

ただ銀行に関しては自己資本比率の計算方式が少し異なり、具体的には以下の計算式に当てはめる形となります。

銀行の自己資本比率=自己資本÷貸付金

銀行は会社に融資という形でお金を貸し与えますが、融資には回収リスクというものが常に存在します。そのため金融庁としては「貸付金というリスクのあるモノに対して、自分のお金はどの程度あるんですか?」と銀行に対して回答を求めていることになります。
銀行は格付する存在であるとともに格付される側でもあるということです。ちなみに「格付(自己資本比率)が4%未満になると、銀行は営業停止」というルールも存在しており、銀行側としても自己資本比率を高めるために陰ながら努力していることは確かです。

まとめ

銀行融資の審査基準として用いられる信用格付ですが、つまるところ信用格付の評価を上げる努力をすることが会社の収益を上げることにもつながります。
銀行と長期的に付き合うことで資金調達の強い味方を作ることにもなります。信用格付の仕組みを理解した上で、銀行融資の審査に通るための対策を考えてみてはいかがでしょうか。「格付の評価を上げる必要はあるけれど、仕組みの理解が追いつかない「仕組みは理解したが、実際に自分の会社でどう当てはめれば良いのかわからない」といった際には、資金調達マスターの無料相談サービスもご検討ください。あなたの経営に沿ったアドバイスを参考にすることで、審査対策はより有効になるはずです。