銀行融資

2018/12/27

ベンチャー企業に最適な資金調達の方法

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はじめに

世間的には未だに浸透していない知識や技術を駆使して事業展開を試みる会社のことを、一般的にはベンチャー企業と呼びます。新規事業を手がけるということは、その分類似する事業を展開する会社が少なく、時間を置かず速やかに会社を成長させられればその分新規市場を独占しやすくかつ収益も上げやすくなります。しかし事業を展開するためにはどうしても多額のお金が不可欠になり、資金調達の方法にはいつも頭を悩まされるものです。

今回の記事ではベンチャー企業に最適な資金調達の方法について解説します。小規模の人数でスピードを以て行動可能なベンチャー企業だからこそ、資金調達の種類との相性を考えて方法を検討する必要があります。ベンチャー企業の経営者として資金調達の方法を探しているのであれば、この記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。

1.ベンチャー企業に最適な資金調達の方法

ベンチャー企業は成長スピードにもよるでしょうが、一般的にはできる限り早く会社を成長させることが成功のカギと言えます。とはいえ、会社としての実績がないために金融機関が実施するプロパー融資の利用はまず難しいでしょう。その一方で、新規事業の内容次第では出資という形で資金調達をすることはできる可能性が高いです。

そのためベンチャー企業については出資が最適な訳ですが、出資と一言で言ってもいくつかの種類があります。この章でそれぞれの特徴について順番に見ていきましょう。

1-1.ベンチャーキャピタル

ベンチャー企業が利用しやすい資金調達の一つとして、まずベンチャーキャピタルが挙げられます。このベンチャーキャピタルとは、将来有望なベンチャー企業に対して専門の会社が資金投資することを指します。ベンチャーキャピタルを専門に手がける会社によっても対象とする会社の条件がそれぞれ違うため、ベンチャーキャピタルから投資を受ける際には各会社の条件を事前に調べておく必要があります。

それではベンチャーキャピタルには実際にどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。まずメリットとしては以下のようなものがあります。

 

①経営的なコンサルティングを受けられる

②株式上場するまで投資してもらえる

③資金の返済の義務がない

 

また、それに対するデメリットとしては以下のようなものがあります。

 

①具体的な事業計画が必要になる

②出資金額によっては経営が掌握されてしまう

 

ベンチャーキャピタルでは返済不要の資金が手に入れられる分、会社のコンサルティング的な部分にまで言及されることがしばしばあります。会社の成長に役立つアドバイスをされることはもちろんですが、ベンチャーキャピタルでは短期間での急成長を遂げさせるべく、かなりハードルの高いことを言われる場合も念頭に置く必要があります。

1-2.エンジェル投資家

ベンチャーキャピタルは、複数人の投資家から集めた資金を専門の会社が運用している形でしたが、その一方でエンジェル投資家は個人で会社に投資してくれることになります。ベンチャーキャピタルでは他人のお金を預かり運用していたために短期間での成果を求められることが多いですが、エンジェル投資家の多くは元経営者です。ビジネスの経験も豊富で人脈も多いことがあるため、特に創業期の会社にとっては良いアドバイスをくれるビジネスパートナーになる可能性が高いです。

そんなエンジェル投資家のメリットは以下のようなものが挙げられます。

 

①資金の返済の義務がない

②事業を成長させるための支援を受けられる

③会社の成長に重きを置いてくれる場合が多い

 

次にエンジェル投資家のデメリットは以下の通りです。

 

①出資金額によっては経営を掌握されてしまう

②投資家との相性次第の部分がある

③エンジェル投資家と出会うことのハードルが高い

 

エンジェル投資家と出会うためにはそういった専門の交流会やイベントなどに参加する必要があります。ただし資金を潤沢に持つエンジェル投資家ともなると出会うこと自体のハードルが高いと言えるでしょう。

ベンチャーキャピタルでは各会社で条件が厳しく定められている一方で、エンジェル投資家はあくまでもその投資家本人との相性が重視されます。たとえベンチャーキャピタルは条件に合致せず投資してもらえない場合であっても、エンジェル投資家に気に入ってもらえれば想定金額よりも多く資金調達できる可能性があります。

1-3.クラウドファンディング

ベンチャー企業が不特定多数の方から資金調達するのに最適な方法なのが、近年主流になりつつあるクラウドファンディングです。クラウドファンディングにも購入型や株式投資型、融資型などいくつかの種類があります。人の目に留まりやすいPRやリターンを掲げることで、実績のないベンチャー企業であっても資金調達できます。

そんなクラウドファンディングのメリットとしては以下のようなものが挙げられます。

 

①アイデア次第で資金調達できる

②資金調達までの時間が短い

③想定以上の金額を得られることもある

 

それに対するデメリットとしては以下のようなものが挙げられます。

 

①必ずしも資金調達できるとは限らない

②支援者に対する何らかのリターンが必要

③手数料が別途かかる

 

クラウドファンディングで資金調達するには専用のサイトに登録して利用する必要があるため、手数料が別途かかってきます。また、設定した期間内に希望する金額が集まるとも限らず、場合によっては想定していたよりも少額でプロジェクトが終わってしまう可能性もあります。

しかし、デメリットを天秤に掛けても、自分のアイデア一つで資金調達できるクラウドファンディングは、ベンチャー企業にとっても比較的挑戦しやすい方法であると言えるでしょう。

1-4.日本政策金融公庫

金融機関の融資の中でも無担保無保証で借りられるとされるプロパー融資は、会社としての実績がない状態でお金を借りることはほぼ無理と言えます。ただ金融機関以外でもプロパー融資を受けられるところがあります。それは政府が100%出資している日本政策金融公庫です。日本政策金融公庫は審査が厳しい部分はあるものの、低金利で融資を受けることができる数少ない公的機関となります。

そんな日本政策金融公庫のメリットとしては以下の通りです。

 

①無担保無保証でもお金を貸してもらえる

②創業前でも申請できる

③申請から融資決定までの時間が比較的短い

④審査を通過すると会社としての信用度が上がる

 

次に日本政策金融公庫のデメリットについても確認しておきます。

 

①自己資金はある程度の水準で必要となる

②事業計画に関する書類は細かく作り込む必要がある

③利用する上での条件がいくつか存在する

 

日本政策金融公庫が実施する融資制度の中でも、新創業融資は創業期の貴重な資金調達の方法となるので、検討してみるといいでしょう。また、融資までの時間が最短2週間と短いのも日本政策金融公庫ならではの魅力と言えます。

1-5.補助金および助成金

日本政策金融公庫以外にも利用しやすい資金調達の方法として、国や地方自治体が実施する補助金および助成金があります。基本的には返済の義務がなく使いやすい制度ではありますが、公募期間が決まっていて入れ替わりが激しいことは知っておかなければなりません。そのため補助金や助成金を利用したい場合には、常に最新の情報をチェックしておく必要があります。

そんな補助金および助成金のメリットとしては以下のようなものが挙げられます。

 

①資金の返済の義務がない

②自由な経営ができる

 

それに対する補助金および助成金のデメリットとしては以下のようなものが挙げられます。

 

①申請できる期間が決まっている

②書類の用意に時間や手間がかかる

 

補助金および助成金を受けるためには労働環境の整備が済んでいることも条件になるため、その辺りが整備途中である場合にはそこから着手していく必要があります。また、補助金や助成金については申請したからといって必ずしも受かるものではありません。仮に審査を通過した場合でも給付されるまでにかなりの時間を要することがあり、物によっては申請から1年後に給付されるという場合もあります。つなぎ資金としては不向きであることは覚えておいた方がいいでしょう。

2.資金調達すると何が変わるか

ここまで資金調達の方法についてそれぞれ紹介しましたが、資金調達するのとしないのとでは何が変わってくるのでしょうか。

まずベンチャー企業の強みと言えば小規模だからこその団結力、新規市場を確立できた際の成長の早さなどが挙げられます。創業期から事業が軌道に乗るまでの期間はどうしても多額のお金が要り用になることも多いため、資金調達の方法をきちんと理解した上で実践していくことは大切です。

しかしここで知っておいてほしいのが、資金調達の方法次第では何らかの制約を受けるということです。例えばベンチャーキャピタルの場合であれば短期間での急成長を求められることが多く、株式上場後の利益が重視されるために無理難題をふっかけられることも少なくありません。また資金調達して事業拡大をする際に新たに従業員を雇った場合にも、古株の従業員と新規の従業員との間に意見が噛み合わず会社としてのまとまりがなくなってしまう可能性もあります。

資金調達をして会社を成長させる上では常に何らかの変化が生じており、その変化の程度を上手くコントロールできなければ会社そのものが機能しなくなってしまうことも実際にあります。競合他社のいないうちに急成長を遂げることを考えるのであれば、変化による一定のリスクがあることを考慮しつつ会社を自分の手で経営していく必要があります。

まとめ

小規模でなおかつ新規事業を手がけるベンチャー企業ならではの良さを、なるべく活かせる資金調達の方法について今回は紹介しました。ただベンチャー企業だからといって必ずしも急成長を目指す必要はなく、小回りの良さを活かしながら着実に時間をかけて成長していくという道ももちろんあります。

資金調達の方法によっては外部からの圧力を受けることも考えられるので、外部からの干渉をどこまで許容するかについても併せて検討してみることをおすすめします。