銀行融資

2019/01/02

運送業で銀行融資を活用するススメ

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はじめに

さまざまな業種の経営者の方が資金調達に頭を悩ませるものですが、運送業もまたその中の一つです。運送業は他の業種よりも設備投資にお金がかかり、業務用で使用する車両も減価償却で都度購入しなければなりません。収益が十分に見込める業種であれば銀行融資の審査を通過するのも容易ですが、運送業ともなると銀行融資を受けるのがなかなか難しいのが現状です。

この記事では運送業で銀行融資を活用するために意識すべき点や、面談時に注意しておきたいポイントについて解説します。記事の後半では運送業の経営者が利用しやすい資金調達についても併せて解説します。競争が激しく比較的融資を受けにくいと考えられる運送業では、どのような点に注意して銀行融資を検討すればいいのでしょうか。

1.運送業が抱かれやすい印象とは

運送業以外の場合についても言えることですが、銀行融資を検討する際にはまず銀行の融資担当者が自分の会社のことをどのように判断するか知るべきです。この章ではまず運送業が一般的に抱かれやすい印象について、順に紹介していきます。

1-1.収益が上がりにくい

トラックなどの車両を用いる運送業は、一昔前までは規制が厳しく業者の数もごく一部に限られていました。しかし近年の規制緩和により運送業に参入する業者が増え、業者間での競争が激しくなっています。ただ業者が増えて競争が激化したところで依頼主が支払うべき料金を高騰させることは難しく、結局のところは収益が上がりにくい部分があります。

1-2.環境配慮の影響でコストがかさみやすい

環境汚染や地球温暖化への影響も懸念され、今後はますます環境への配慮を余儀なくされることが予想されます。環境配慮のための排ガス規制が厳しくなればその分排ガス対策へのコストがかさみやすく、収益が確保しにくい状況に拍車がかかると考えられます。

1-3.法令遵守への対応が厳しくなっている

近年では運送業に限らず法令遵守の気風が高まっています。運送業関連で言えば飲酒運転の他にも、荷物の過積載や駐車違反の取締り強化などが求められているのが現状です。銀行側としても、法令遵守している会社でなければ融資の承認が下りないのも当然の話と言えるでしょう。

1-4.設備費用の負担が大きい

運送業では荷物を輸送するトラックなどの車両の他にも、物流基地や倉庫といった設備費用が大きくかさんできます。

上記の内容でも前述したように設備費用がかさんでくることもあり、運送業では収益が圧迫されやすい状況であることがお分かりいただけるかと思います。銀行側としても収益が十分ではないと判断される会社に対しての融資は慎重にならざるを得ません。運送業の状況が厳しいというイメージはありますが、あなたの会社が収益を確実に上げられていると書類で確認できれば融資の審査でも有利に話を進められます。

運送業ではこうしたイメージが抱かれやすいことから、資金調達が難しい側面もあります。ただし銀子融資に強い専門家の力を借りることで、運送業でも無理なく資金調達できるようになります。

記事の後半では資金調達でお困りの経営者の方に知っておいてほしいお役立ち情報も載せているので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

2.銀行融資を申請する際の注意点とは

運送業は収益が上がりにくい業種であると思われがちなことは前述しました。ただそういった印象が持たれがちではあるものの、銀行融資の申請に際してはより一層の注意を払わなければなりません。

前章の話を踏まえた上で、この章では銀行融資を申請する際の注意点について解説します。

2-1.所用運転資金をきちんと把握する

銀行融資の申請の時になると銀行側は、まず貸借対照表の中から「所用運転資金」を算出しようとします。この所用運転資金とは以下の計算式で算出することができます。

所用運転資金=売掛金+受取手形+在庫-支払手形-買掛金

所用運転資金を把握しておくことで、銀行側は会社が申請する借入希望額の返済可能性を探りやすくなります。この計算式を知っておけば会社側でもいくら程度までであれば借りられそうかを概算ではありますが把握することができます。

2-2.車両の減価償却費は別にして考える

運送業では設備費用がかさむことを前述しましたが、銀行融資を希望する際にも設備費用としての用途で申請されることが多くなってきます。設備費用に関するお金の融資であれば、銀行側はその会社の当期利益を中心に返済能力の有無を確認することになります。

ただ審査自体には当期利益も含めて車両などの減価償却費まで加算されていますが、返済能力に関して見る際にはこの減価償却費は別にして考えられます。この車両などにかかる減価償却費は定期的に買い替えが必要となることは目に見えています。そのため減価償却費は銀行融資の返済分に充てられると考えるよりは、車両などを再度買い替える資金に充てられると想定した方が無難と言えます。

2-3.所用運転資金との兼ね合いで融資額を決定する

前項で銀行融資の申請に際しては、所用運転資金をまず算出することを述べました。仮に所用運転資金の金額以内で希望する融資額を決定すれば、銀行側としてもまだ返済できる可能性が高いと判断しやすくなります。

また所用運転資金を上回る金額で融資を申請するとなると話は別です。この時に会社の収益が上がっており黒字が安定的に出ていれば、銀行としても増益による運転資金の追加であることが判明するため融資についても積極的に検討してもらえるはずです。ただし所用運転資金を上回る金額を希望しているにもかかわらず会社の業績が低迷している場合では、運転資金という名目で借りてそれ以外の別の用途で資金を利用するのではないかと推測されます。業績が芳しくない状況で多額の融資を希望するとなると、やはり銀行側としても慎重にならざるを得ません。可能であれば所用運転資金との兼ね合いで、融資額を決定するように心がけるといいでしょう。

銀行融資の申請の際にはこれらの点に注意しつつ、なるべく融資してもらえるように条件を調整することが大切です。銀行融資で希望する金額を重視して申請することも大切ではありますが、融資を受ける中で信頼関係を築いてゆくゆくは追加融資でさらに高額での資金調達につなげることもできるかもしれません。そういった点も視野に入れて融資の条件を決定していくといいでしょう。

次章では銀行融資で重視される、面談時のポイントについても解説していきます。

3.銀行融資の面談時のポイントとは

銀行融資では書類審査以外に重視されるポイントがもう一つあります。それが融資担当者との面談です。この章では面談時で注意しておきたいポイントについて解説します。

3-1.提出書類の内容を入念にチェックしておく

銀行の審査時に必要な提出書類としては、基本的に以下のようになります。

 

・本人確認書類

・損益計算書

・貸借対照表

・事業計画書

・資金繰り表

・登記簿謄本

・印鑑証明書

・納税証明書

・借入申込書

・試算表

 

これらの提出書類の内容にアラがあると、銀行の融資担当者も信頼できない会社であるという判断を下すことになりかねません。融資担当者からの信頼を勝ち取るためにも、銀行側に提出する書類は内容を入念に作り込んでおくことが重要です。また時間があれば提出書類の内容を読み込んでおき、会社の情報を正確に把握しておいた方が面談時の質問に答えやすくなります。

3-2.当日は清潔な服装で臨む

運送業であれば会社指定のユニフォームを着る機会の方が多いでしょうが、面談当日はスーツのような清潔な服装で臨むとより印象が良くなります。ユニフォームで行くこと自体を否定する訳ではありませんが、正装だとそれだけ融資に真剣にだと視覚的に訴えることにも役立ちます。

3-3.誠実な対応を心がける

融資担当者は書類の内容ももちろん細かくチェックしていますが、その上で重視しているのが経営者の人柄です。誠実な対応を面談中に心がけることで、融資担当者の印象を良くすることができます。

誠実な対応と聞くとあまりピンと来ないかもしれませんが、例えば自分が把握していない書類上の数値について質問されたとします。その時に手持ちの書類を確認して答えられれば特に問題ありませんが、場合によっては確認できない情報というのもあるかもしれません。そうした場合であれば、後日調べてから電話連絡する方が根拠もない情報を伝えてしまうよりはよほど誠実と言えます。

銀行融資の面談時ではこういったポイントに注意することで、銀行の融資担当者からの信頼を勝ち取りやすくなります。また銀行融資の面談について不安があれば、専門家に同伴してもらうという選択肢もあります。

4.運送業が利用しやすい資金調達の方法

運送業であっても注意すべきポイントさえ気をつけておけば、銀行から融資を受けられる可能性があることを解説してきました。この章では次に運送業が利用しやすい資金調達の方法について紹介しておきます。

4-1.ファクタリング

運送業では掛金による支払いが多くなりがちで、不測の出費が重なってしまうと運転資金がショートしてしまう事態にもなりかねません。そうした場合であっても売掛債権を所有している時には、ファクタリングで資金調達することができます。

ファクタリングであれば支払いが済んでいない売掛債権をファクタリング会社に売却する形で、1〜2ヶ月先に支払い予定のお金を受け取ることができます。ただファクタリングでは手数料がいくらかとられるため、満額では入らないのでその点だけ注意が必要です。短期間で資金調達できるので、緊急時のつなぎ資金を得るためであればファクタリングは重宝するかもしれません。

ファクタリングのお申し込みはこちら

4-2.日本政策金融公庫

銀行から信頼を得られていない状況では、プロパー融資を利用することはなかなか難しくなってきます。しかしプロパー融資のように低金利でお金を借りられる方法として、日本政策金融公庫の融資制度があります。

日本政策金融公庫では中小企業を支援することを目的としているため、融資の審査は厳しいものの通過できれば会社としての信頼を向上させることができます。

 

運送業が利用しやすい資金調達の方法は、銀行融資以外でもいくつかあることを紹介しました。資金調達の方法は一つだけを選択するのではなく、複数を活用することでより効率的に資金調達することができます。ただ自力ですべての資金調達の手続きを済ませるとなると膨大な時間や手間がかかるため、頼れる専門家に相談するのも一つの方法です。

.銀行融資の審査を通過するポイントとは

銀行融資を受けるためのハードルが高いことは周知の事実であり、元々の運送業のイメージと相まってなおさら銀行融資を受けにくいことが考えられます。銀行融資を成功させたいと考えるのであれば、銀行融資の審査を通過するためのポイントについて事前に押さえておく必要があります。
この章では次に、銀行融資の審査を通過しやすくするポイントについて確認しておきましょう。

-1.決算書の内容を作り込む

銀行融資では提出資料として決算書を渡すことになりますが、この決算書の内容が不十分だとそれだけで銀行融資の審査に通過しにくくなってしまいます。ただし決算書の内容をよく見せようと過剰に盛り過ぎてしまうのも良くありません。あるいは例えば以下のような内容の決算書を作るのはNGです。
・預金残高を実際よりも多く見せる
・社長貸付金および役員貸付金があるのに、わざとないように見せる
・経営計画書で根拠のない売上予想を立てている など
こうした内容の決算書を仮に作ったとしても、銀行側に嘘がすぐにバレてしまう可能性が高いです。嘘の内容で決算書を作ったことがバレた時点で審査落ちさせられることはほぼ確実になります。そんな無駄な時間を使わないためにも、以下のポイントに則って決算書を作るようにするといいでしょう。
・適正在庫になるよう、不良在庫があれば処分することも視野に入れる
・「仮払金」の科目を多用しすぎない
・社長貸付金および役員貸付金がある場合には、早期に返済を済ませる
・減価償却費は定期的に返済していく など
決算書の内容次第で審査に不利に響くこともあるため、会社の現状をきちんと伝える意味でも粉飾決算を決してしてはいけません。

-2.経営計画書には根拠のある数値を書く

今後の資金調達の予定や売上の推移を示す経営計画書ですが、ここに無根拠な数値を書いてしまってはかえってマイナスの印象を与えてしまいます経営計画書には根拠のある数値を書き、また客観的な根拠があると示せるように添付資料も作っておくとなおいいです

-3.資金使途と返済原資を明確に示す

銀行側としても貸したお金を何に使うのか、また返済できる見込みはあるかという二点について知りたがっています。銀行から融資を受けても滞りなく返済できることを示すために、返済原資をどこから捻出できるかについて資金繰り表を添付しておく必要があります。また資金使途についても、その使い道を明確にする必要があります。

-4.税金や返済は滞納しない

銀行からお金を借りたいと考える場合であれば、まずは今ある税金や借り入れの返済を滞らせるべきではありません。税金や返済を滞納してしまうと銀行側としても「お金を貸しても滞納するだけじゃないか」と思われてしまい、審査で落とされることは容易に想像がつきます。

-5.日本政策金融公庫や信用保証協会でまずは実績を作る

銀行融資では審査を受けること自体のハードルがそもそも高いため、銀行融資を受ける前にまずは日本政策金融公庫や信用保証協会での返済実績を作るところから始めるのもいいでしょう。こうした公的機関では中小企業向けの融資も多く実施しており、初めての融資でも前向きに検討してもらえる可能性が高いです。

-6.消費者金融の利用はなるべく避ける

利便性が高く借りたい時に借りやすい消費者金融ですが、消費者金融からお金を借りていると「そんなに資金繰りが危ない会社なのか」と思われてしまうことにもなりかねません。消費者金融を短期的に利用すること自体は悪いことではありませんが、銀行融資を利用したいと考える場合には消費者金融の返済を先に済ませておくことが重要です。

まとめ

なかなか思うように収益が上がりにくい現状にある運送業であるからこそ、継続的な資金調達ができなければ会社の経営が成り立たなくなってしまう場合も十分考えられます。これまで資金調達の方法についてあまり勉強してこなかったという後悔がある方は、この機会に資金調達の方法について資金調達マスターの記事で勉強してみることをおすすめします。

ただ資金調達に関する記事を読んでなお、会社が現状抱える課題を解決できそうにないと感じる場面もあるかもしれません。あるいは課題の解決策としていくつか案はあるものの、自力で成功させるには少々ハードルが高いということもあるでしょう。

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