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2020/01/29

ソーシャルビジネスで適切な資金調達を行うための基礎知識とは

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はじめに

一般的な会社では自社の利益を追求して経営しているのに対し、ソーシャルビジネスを営む会社では社会問題の解決に重点を置いて経営しています。現状の日本では子育て支援の不足や高齢者の介護問題、継続的な環境保護などさまざまな社会問題が露呈していることは周知の事実です。そんな現状が前提にあればこそ、行政だけでは対応しきれない問題や分野に特化して経営しているソーシャルビジネスへの注目が徐々に高まっています。
この記事ではそんなソーシャルビジネスを取り上げ、その概要や適切な資金調達方法について詳しく紹介します。

1.ソーシャルビジネスの概要

ソーシャルビジネスの資金調達方法について紹介する前に、この章ではまずソーシャルビジネスそのものの基礎知識について確認しておきましょう。

1-1.ソーシャルビジネスの定義とは

冒頭でも前述したように、ソーシャルビジネスは国内および世界的に重要視される社会問題について、事業の継続を通して解決しようとする取り組みのことを指します。一般的な会社では自社の利益を追求しますが、ソーシャルビジネスでは社会問題の解決を重視するため、一般企業よりも社会貢献性の高いビジネスを行なっている点が特徴的です。
ここで経済産業省の「ソーシャルビジネス研究会」から、ソーシャルビジネスの定義について以下に引用しておきましょう。
①社会性:現在解決がもとめられる社会的課題に取り組むことを事業活動のミッションとすること
②事業性:ミッションをビジネスの形に表し、継続的に事業活動を進めていくこと
③革新性:新しい社会的商品・サービスや、それを提供するための仕組みを開発したり、活用したりすること。また、その活動が社会に広がることを通して、新しい社会的価値を創出すること
上記三つの要素を全て満たしたものをソーシャルビジネスと定義しているようです。ソーシャルビジネスの定義については上記の通りですが、組織形態については特に言及されていません。つまりビジネスの目的や規模に見合った組織形態であれば、株式会社やNPO法人などさまざまな組織形態の中から自由に選択できるということです。

1-2.一般企業との違い

一般的との違いについて一言で言えば、根本的な目的が大きく異なる点が挙げられます。もちろん一般企業であっても社会貢献性の高い取り組みを行なっている例は多数ありますが、これはあくまでも本業である事業で継続的に利益が上がっていることが前提となります。また社会貢献性の高い取り組みを行う目的が社会問題の解決ではなく、自社ブランドのイメージアップを狙っている場合があることは否定できない事実です。
しかしその点ソーシャルビジネスでは社会問題の解決を第一に考えているため、会社組織として事業を展開している場合であっても、利益を追求するあまり本来の目的を逸脱した事業に手を出すことはほぼないと考えられます。

1-3.ソーシャルビジネスが見据える社会問題とは

ここまでソーシャルビジネスの定義や一般企業との違いについて解説してきましたが、この記事を読む方の中にも、ソーシャルビジネスで言うところの社会問題の範囲について詳しく知りたいという方もいるかもしれません。ソーシャルビジネスで取り上げられる社会問題の内容についてはさまざまありますが、大まかには以下のような内容となります。
・高齢者の介護および生活支援
・子育て家庭の支援
・過疎地域の活性化
・女性の社会進出支援
・障がい者支援
・継続的な環境保護 など
この他にも考えられる社会問題は多数ありますが、行政が主体となる取り組みやボランティア、寄付などといった従来の方法では根本解決に至らなかった問題に焦点を当てて事業を展開するのがソーシャルビジネスととらえていいでしょう。

2.ソーシャルビジネスが抱える課題とは

ソーシャルビジネスそのものの社会貢献性の高さやその可能性については注目度が高まっているものの、国内におけるソーシャルビジネスの現状はなかなかに厳しいものがあります。この章では次に、ソーシャルビジネスが抱える課題について簡単に紹介しておきましょう。

2-1.ソーシャルビジネスの市場規模

ソーシャルビジネスの市場規模については、2018年に内閣府が「社会的事業に対する資金提供実態に関する調査」という調査を行なっています。同調査によればソーシャルビジネスへの投資規模は1,000万円から3,000万円の範囲が中心とされており、ベンチャー企業が獲得する資金調達額と比較してもかなり少額であると言わざるを得ません。
もちろん国内でもソーシャルビジネスへの支援を行う組織は存在しており、その具体例としては「一般財団法人KIBOW」や「社会的投資推進財団(SIIF)」などが挙げられます。とはいえ日本ではソーシャルビジネスに対して多額の融資や投資を行う金融機関および投資家が少ないことから、適切な資金調達の方法について知識を深め実践していくことが望まれます

2-2.ソーシャルビジネスの根本的な課題とは

社会貢献性の高さから社会にとってなくてはならない存在として考えられるソーシャルビジネスですが、継続的に事業を行う上でもいくつかの課題が存在します。具体的な内容としては以下の通りです。
人材が不足しがち
ソーシャルビジネスにおいても人材の確保は重要であるものの、その社会問題について共感して動ける人材の確保が難しいという側面があります。またソーシャルビジネスに取り組む会社では一般企業よりも福利厚生がやや劣る部分もあるため、その点も人材不足を深刻化させる要因となっているようです。
従業員の教育にかける資金が乏しい
ソーシャルビジネスに取り組む組織の多くが小規模な人数で会社を経営しているため、既存の従業員の教育に対して割ける資金が乏しいという現状があります。ただこの点については働き方改革での副業を容認する流れに乗ることで、IT企業などで活躍する人材をWワーカーとして受け入れている組織も増えているのも事実です。この点については徐々に改善されていく可能性があると考えられます。
継続的な資金調達をしなければならない
ソーシャルビジネスを主体として会社を経営している場合では、会社の利益を黒字化させることがなかなか難しい部分もあります。そのため適切な資金調達の方法を選択して継続していくことが必須です。

3.ソーシャルビジネスを行うための適切な資金調達方法とは

ここまでソーシャルビジネスの基礎知識について解説してきましたが、ソーシャルビジネスの根本的な課題でもある継続的な資金調達の方法としてはどのようなものがあるのでしょうか。この章では最後に、ソーシャルビジネスを行うために不可欠となる資金調達の方法について順に紹介しておきます。

3-1.融資

社会問題の解決と会社経営の継続を両立させるための資金調達として、まずかかせないのが融資です。融資の借り入れ先としては日本政策金融公庫銀行などの金融機関が挙げられます。
融資を受ける上では何より事業計画が最重要視されるため、申請をするにあたってはソーシャルビジネスの肝となる事業計画を綿密に練る必要があります。
例えばソーシャルビジネスに取り組む組織としてどのようなビジネスモデルを構築したいのか、どのような商品およびサービスを提供して社会問題の解決を図るのか、融資で得た資金はどのような部分で利用する予定なのか、など。融資を受けても毎月のように返済を続けられなければ意味はないので、採算性のある事業計画を事前に立てておく必要があります。
また融資を受けられた場合であればその事実が会社の実績となるため、以降の融資が受けやすくなるというメリットも得られます。

3-2.助成金および補助金

融資の場合では返済することが必須である一方で、国や地方自治体が実施する助成金補助金であれば原則返済は不要です。助成金の場合では要件に合致していれば誰でも受給できるのに対し、補助金の場合では申請しても抽選で漏れてしまう可能性があるという点で微妙な違いがあります。ただ融資のように返済について考慮する必要はないため、手に入れた資金については最大限活用できます。
また助成金や補助金については随時情報が更新される可能性があるため、利用を検討する上ではこまめに情報収集することが望まれます

3-3.クラウドファンディング

近年ではクラウドファンディングによる資金調達も主流化してきたため、ソーシャルビジネスを行う場合でもクラウドファンディングを活用することは有用です。
クラウドファンディングの場合ではインターネットを介して不特定多数の支援者から資金提供を受けられる可能性があり、場合によっては多額の資金調達もできます。ただしクラウドファンディングでは支援者を集めるために魅力的なリターン(返礼品)を用意したり、独創的なアイデアを魅力的に発信できなければ資金調達が難しい側面もあります。また最初のうちから希望額を高くしすぎると失敗するリスクも高くなることは、事前に知っておいた方がいいかもしれません。
ソーシャルビジネスを継続的に行う上では安定的な資金調達が必須であり、会社として実績ができればより多くの資金調達の方法が選択可能になるはずです。しかし組織を設立してから日が浅いうちは、資金調達そのもののハードルが高いことも事実ではあります。
そのためソーシャルビジネスを始めるにあたっては実践可能な資金調達の方法について情報収集を進めるとともに、なるべくならば複数の資金調達の方法について同時に手続きを行っていくべきでしょう。

まとめ

社会貢献性の高い事業を展開するソーシャルビジネスでは、記事の後半でも前述したように継続的な資金調達が不可欠です。ただ適切な資金の方法について情報を集めて実践することをすべて自力でしていては、成功率が上がりにくい可能性も考えられます。
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