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2018/08/31

入金ズレが起こる理由とその対処法とは

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はじめに

企業を経営する上でかかせないお金は収支だけを見ていれば良いものではなく、実際に企業のお金が出入りするタイミングは経費や売上として計上されたタイミングよりもズレていることが多々あります。
収支が計上されたそのタイミングに実際のお金が動けば分かりやすいですが、企業を経営する中でも特に注意したいのが入金ズレについてです。
そこで今回の記事では、入金ズレが起こる理由とその対処法について解説します。入金ズレが起こる理由をきちんと理解しておけば、それに対してどのように対処すればいいのかが分かるようになります。
企業の経営にとって生命線とも言えるお金の流れについて、この記事を読んで知識を深めてみましょう。

1章:入金ズレが起こる理由とは

この章ではまず入金ズレが起こる理由について解説していきます。
企業の経営においても実際のお金が動いていることは確かですが、売上が確定と入金のタイミングとでは時間的なズレがあるものです。
いったい何故なのでしょうか。

1ー1 お金の動きにはズレがある

一般的な家庭をイメージすれば分かりやすいですが、支出もそうですがこと収入に関しては当月働いた分の給料がその月に入るということは滅多にありません。
例えば「月末締めの翌25日払い」という給料スタイルの仕事で働くサラリーマンの方であれば、その月の末日が給料の締め日となり、当月働いた分についてはその翌月25日に支払われることになります。
これを企業に置き換えれば、例えば当月の末日に売上が確定したとしても、支払い期日が翌月の25日に設定されていればその売上が実際に企業へと支払われるまでにはずいぶんとズレが生じてきます。
こうした企業でよくある入金ズレは、そもそも企業同士の取引が「掛取引」で行われることに理由があります。

この掛取引ではある商品およびサービスそのものが先に取引され、それに伴う対価が後から支払われるのが一般的です。
例えば売上として計上される「売掛金」や、経費として計上される「買掛金」がそれに該当します。
こうした掛取引を利用することで企業側としては取引先へ支払うお金を準備するための猶予期間を十分に設けることができる一方で、売掛金として貰えるはずのお金が入金されるまでにかなりのズレが生じてしまいます。
会計上の収支と実際のお金の流れとで時間的なズレが出ることで、企業の経営にも少なからずマイナスの影響が発生します。
その影響がカバーできる程度のものであればいいですが、場合によっては収支上では黒字でも実際の資金繰りが上手くいかず企業が倒産してしまうこともあります。
それが「黒字倒産」と呼ばれる状態です。

1ー2 売上が黒字でも倒産する?

一般的なイメージとして、会計上の収支が赤字になると企業は倒産するということを想像する方が多いのではないでしょうか。
しかし、倒産した企業の中には会計上では収支が黒字であるにもかかわらず、実際の資金繰りの部分で失敗してしまうところもあるほどです。
収支の部分が黒字であったとしても実際のお金の流れに関して、買掛金として支払う金額が一時的に不足している、あるいは売掛金が遅れるなどの不測の事態はしばしば発生します。
そうした際に対処できるだけの余剰金があればそのお金を崩して充てるだけで事足りますが、特に入金ズレが度重なると企業としてもまかないきれず、結果的に資金繰りがショートしてしまう事態にも陥りかねません。

会計上では黒字を達成しているからといって実際のお金の流れについて意識を怠ると、取り返しのつかない事態に発展してから対処しなければならなくなります。
それでは具体的にどのような対処が望まれるのでしょうか。次章以降は入金ズレに関する対処法について言及します。

2章:入金ズレを正しく把握するには

入金ズレに対して正しく対処するためには、まずは何より入金ズレがどのようなスパンで発生するかを把握しなければなりません。
そこで実際のお金の流れと収支とのズレを把握するために役立つのが「資金繰り表」です。

この資金繰り表を作成するポイントとしては、会計上の収支に着目するのではなく、あくまでも実際にお金が出入りするタイミングに着目することが大切です。
企業を経営するために必要な運転資金の中から実際にいつ頃出金あるいは入金するかをきちんと表にまとめることで、実際の資金繰りで必要なお金の目処が立つようになります。
ただし一ヶ月分だけでは突然のハプニングが起こった際に対処しきれないことも考慮して、資金繰り表を作成する際には最低でも当月より三ヶ月先の分まで用意しておくことをおすすめします。

この資金繰り表の数値を明記することで、出入金のズレを視覚的に把握しやすくなります。
また表に一度まとめておけば後から見直すことも可能になり、突然のハプニングに見舞われた際にも的確な対処法をしっかりと吟味することができます。
こうした土台をきちんと整えることで、実際のお金の流れについても日頃から意識しやすくなります。
ただ実際のお金の流れについて意識していたところで、何度も言っているようにハプニングが必ずしも起こらないとは限りません。

この記事のタイトルにもなっている入金ズレが万が一発生した場合、企業としてはどのような対処ができるのでしょうか。
詳しくは次章にて解説します。

3章:入金ズレの対処法とは

会計上の収支と実際の資金繰りとで時間的なズレが生じることは前述しましたが、現実問題として入金ズレが発生した際にはどのような対処法が考えられるのでしょうか。
入金ズレの対処法としては①収入を増やす、②支出を減らすという方法が主に挙げられます。
それでは具体的な部分をそれぞれの項目について見ていきましょう。

3ー1 収入を増やす

入金ズレが発生して資金繰りが危うくなった時、企業としてできることの一つに収入を増やすという方法があります。これには色々なアプローチの仕方がありますが、その一例を挙げれば以下のようなものがあります。

・「未回収金」として計上されている売掛金の回収を急ぐ
売掛金の中でも回収できていないものについては未回収金として計上する場合がありますが、入金ズレが発生した際には別の取引先から貰えるはずのお金を優先的に回収するようその企業に働きかけることができます。

・企業で抱える在庫を処分して現金化する
商品を製造および販売している企業であれば、一部の商品を在庫として自社倉庫に保管している場合が多いはずです。
そうした場合であれば商品をなるべく現金化することで、一時的な入金ズレを補える可能性があります。

・掛取引を利用する取引先に交渉し、売掛金を前倒しで支払ってもらう
前述したように、掛取引を利用している場合では商品およびサービスの提供が先であるため、その売上金が入金されるのは早くても一ヶ月先になることがほとんどです。
入金ズレにより資金繰りがショートしそうな場合であれば、現状で掛取引によって取引を行なっている取引先に交渉し、売掛金の支払いを予定よりも早めてもらうことも検討する余地があります。
ただし売掛金の前倒しを要求すると取引先に悪い印象を持たれかねないので、その点は注意が必要です。

・金融機関から借り入れる
自社だけでどうしても対処しきれない場合には、最終手段として金融機関を頼るのも一つの方法です。
そうは言っても金融機関から借り入れてしまうと金利がつく上に、借入金の返済に別途追われることにもなります。
可能であれば自社資金だけで補てんしたいものです。

3ー2 支出を減らす

そして収支を増やす以外でできることとして、支出を減らすという方法があります。
支出を一気に減らすことは収入を増やす以上に難しく感じるかもしれませんが、複数箇所でこまめに行えばそれなりの金額を削減することができます。
具体的には以下のようなものが挙げられます。

・金融機関に返済の先延ばしを打診する
既に金融機関から借り入れている場合であれば事情を説明し、一時的にでも返済の先延ばしができないかどうかを打診してみるのもいいでしょう。
特に取引が長期間にわたる場合であれば、都合のいいように取り計らってくれる場合があります。

・取引先に買掛金の先延ばしを願い出る
例えば別の企業から仕入れを行なっている企業であれば、その取引先に買掛金の先延ばしを願い出るという方法もあります。
付き合いの長い企業であれば特に問題ない可能性もありますが、付き合いの浅い企業相手に申し出ると資金繰りに難があるという印象を持たれかねません。
今後の関係性も考慮した上で願い出るようにしましょう。

・接待費や残業時間などを削減する
企業側の支出として取引先との接待費や社員に支払う残業代などもありますが、そうしたこまめな部分の支出を抑えるだけでも企業の資金繰りでのマイナスを多少なりと減らすことに役立てられます。
ただ社員に支払うお金を重点的に削減してしまうと、社員のモチベーションが下がるだけでなく退職を後押しする結果にもなりかねません。
社員の給料を減らすよりはまず、残業時間を早く切り上げて電気代や残業代を抑える努力に徹した方が無難です。

・人員を減らす
企業としての収入を増やせない状況でどうしても支出を減らしたい場合であれば、最終手段として人員を減らすという方法もあるにはあります。
ただ余剰な人員を確保している場合であれば構いませんが、企業を経営する上で必要最低限の人数をさらに削減しては、今後の経営が成り立たない可能性も出てきます。
安易に社員を減らす決断をする前に、他の部分で支出を減らせないか模索することから始めるべきでしょう。

まとめ

入金ズレが発生すると当初予定したお金が確保できず、結果的に支払いが滞る可能性が出てきます。
しかし資金繰り表を活用してお金の流れをきちんと把握しつつ、適宜対処していれば倒産するまでには至らないはずです。
企業の経営に携わる方の中でもお金の流れに疎い方もいますが、他人任せの管理では資金繰りの面でいずれガタがきます。
企業の責任者という自覚をしっかり持ち、実際のお金の流れに常にアンテナを張るだけの余裕を持ち合わせることが大切です。

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