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2019/02/28

源泉徴収って何?経営者が知っておくべき基本事項

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はじめに

個人事業主として自分一人で会社を回している場合であれば、自分に給料を払うこともないため給料から所得税を差し引くことを考慮する必要はありません。しかし会社を法人化して従業員を雇った際には、従業員や自分に対する給料を支払いそれに伴い所得税を差し引かなければならなくなります。このあらかじめ差し引く所得税のことを源泉徴収と言いますが、従業員を雇う経営者の方であれば源泉徴収についてある程度の知識を身につけておく必要があります。
この記事では経営者が知っておくべき源泉徴収の知識について、基本的な部分をおさらいしてみましょう。

1.源泉徴収の概要

給料から所得税をあらかじめ差し引くことを源泉徴収であると前述しましたが、これだけ知っていても知識としては不十分です。そこでこの章では源泉徴収の概要として、源泉徴収に関する最低限の知識を確認していきます。

自分の会社で従業員を雇い給料を支払っている場合、経営者は法律上の義務として源泉徴収をしてそれと同時に源泉徴収票を発行しなければなりません。これは法人であろうと個人事業主であろうと、会社で従業員を雇っている場合には確実に実施する必要があります。
そして従業員を雇った場合にはまず、従業員を雇用した日から1ヶ月以内に「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を、会社がある地区を管轄する税務署へと提出しておかなければなりません。例えば個人事業主として開業すると同時に従業員への給料が発生する旨の書類を提出していれば、上記の書類を重複して提出する必要はありません。

税務署での登録が完了していれば後は源泉徴収をして所得税を差し引くことになりますが、源泉徴収している以上は源泉徴収票を発行する必要があります。これは従業員側が以下の手続きをする際に必要となり、未発行のままだと場合によっては税務署からの指導を受けることにもなりかねません。

・確定申告
・助成金や補助金の申請
・住宅ローンなどの審査 など

源泉徴収票は主に所得証明の書類として用いられるため、法律違反にならないためにも源泉徴収したら源泉徴収票を必ず発行するように注意しましょう。

2.源泉徴収する前の準備

従業員や自分への給料から源泉徴収しなければならないことを把握しましたが、給料から源泉徴収する前にはある準備が必要です。それは従業員の給料から源泉徴収する前に、控除が適用されるかどうかを確認しておかなければなりません。例えば以下のような点を確認しておく必要があります。

・控除対象の配偶者がいるか
・扶養親族はいるか
・本業以外の収入があるか など

これらの控除があるかどうかを事前に確認しておかなければ、余分な給料まで課税されてしまい従業員が不利益を被ります。そのため従業員には源泉徴収をする前にあらかじめ「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を年度ごとに提出してもらわなければなりません。

3.給料の源泉徴収の方法とは

各従業員の控除するべき要件を確認したところで、いよいよそれぞれの給料から源泉徴収する段階に入ります。ただしここでも注意点が一つあり、源泉徴収すべき税額は給料の種類によっても計算方式が異なるということです。以下で具体的に確認していきましょう。

3-1.通常の給料の場合

源泉徴収とはそもそも所得税を差し引くための制度であるため、その計算方式の基準を決定しているのは国税庁です。まず毎月のように支払う通常の給料の場合では、国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表(月額表および日額表)」を参照します。
最近では給料計算ソフトを使えば自動的に源泉徴収額を計算してくれるようになりましたが、それでも経営者である以上はある程度の知識を身につけておくに越したことはありません。

まず源泉徴収すべき対象の従業員を「甲」と定めます。あるいは複数の会社から収入を得ている場合や、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を未提出の場合には対象者を「乙」と定めることになります。
そして社会保険料を控除したその金額から、さらに「甲」と「乙」とで別途控除するべき項目を確認してから、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表および日額表)」を参照しながら源泉徴収額を算出していきます。ちなみに交通費については非課税となるため、社会保険料を控除する時点で一緒に除外しておきます。

3-2.賞与の場合

賞与の場合では通常の給料の場合とはまた計算方式が異なり、源泉徴収額を決めるとなると「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を参照して計算する必要があります。
まず先月分の社会保険料を控除した金額を確認し、次に「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」から扶養親族等の人数の列を辿ります。そして該当する「賞与の金額に乗ずべき率」を用いて計算します。

賞与の場合の方が通常の給料の場合よりも計算の手順が少ないため、理解するのは容易かもしれません。

3-3.退職金の場合

上記の二つはまだ分かりやすい部分もありますが、退職金の源泉徴収額の計算方式はそれらよりも若干ややこしくなってきます。

退職金の場合では「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の計算方法」を確認して計算することになります。年度ごとに内容が微妙に更新される可能性もあるので、年度が変わった時点で常に最新の計算方式を確認しておくのが無難でしょう。
まず退職金の源泉徴収額を決定する前に、退職金における控除額から計算しなければなりません。これは勤続年数によって計算式が異なり、具体的には以下のようになります。

・20年以下の場合:40万円×勤続年数
・20年以上の場合:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

またこの退職金の控除額を決める上では以下の注意点も存在します。

①勤続日数の端数が一日でもある場合には、勤続年数に「1年」を加算する
②障碍者となったことが退職の直接的な原因の場合、算出した金額に100万円を上乗せする形で退職金の控除額を決定する
③上記の計算式によって出た金額が80万円未満の場合では、退職金の控除額は80万円に変更する

上記の方法で退職金から控除した金額をさらに2分の1にした金額を、「課税退職所得金額」として算出します。そして「退職所得の源泉徴収税額の速算表」を確認し、先程の課税退職所得金額に応じた所得税率および控除額を確認したら、ここでようやく退職金の源泉徴収額を計算することができます。
またこの方法で計算した所得税額については端数処理をせず、そのまま適用することも覚えておくといいでしょう。

4.源泉徴収した税金の納付方法

会社側で従業員の源泉徴収を完了したら、この徴収した金額を管轄の税務署まで納付しなければなりません。納付期限は翌月10日までとなっており、基本的には毎月納付する必要があります。
ただし従業員の人数が10人未満の会社では納期の特例の承認を税務署から受けることで、年2回にまとめて納付することができるようになります。特例が認められた場合であれば1〜6月分を7月10日までに、7〜12月分を翌年の1月10日までに納付すれば問題ありません。従業員数が10人未満の会社では納付の特例を申請しておくと余分な手間を省くことができます。

5.源泉徴収することの意味

ここまでは経営者として知っておきたい源泉徴収そのものの知識について解説してきましたが、最後に予備知識として源泉徴収すること自体の意味について紹介しておきます。
源泉徴収とは国民の三大義務である納税の義務に関する制度となりますが、何故会社側で従業員全員の所得税を徴収する必要があるのでしょうか。具体的には以下の理由があるとされています。

5-1.労働者の手間が省ける

源泉徴収では会社側が一括して所得税を徴収しているため、労働者個人で管轄の税務署に所得税を納付する必要はありません。これにより労働者の手間が大幅に省けるため、労働者個人の負担を減らす意味でも源泉徴収は役立っています。また源泉徴収があることで従業員の所得税が滞納することもなくなります。

5-2.国が安定的な税収を得られる

国の財政には国民から徴収された税金が利用されていることは周知の事実ですが、国としても税収が安定的に入ってこなければ何らかの政策に資金を割くことができません。源泉徴収という制度が存在するからこそ、所得税が毎月のように入ってくる仕組みが確立されています。安定的な税収を得られるということはすなわち国の政策の資金源が枯渇しないことにもつながります。国にとっても源泉徴収の制度があることはプラスの効果をもたらしています。

6.源泉徴収票の発行について

記事の前半でも源泉徴収票の発行について言及しましたが、最後に源泉徴収票を発行するタイミングについて触れておきます。

源泉徴収票は1年間の源泉徴収額が決定する毎年12月、あるいは翌年の1月に発行することになります。基本的には年末調整時に発行することになるので、年末調整を終えたらその時点ですぐに各従業員へ渡すようにしましょう。年度途中で退職した場合には退職した時点で作成し後日渡すことになります。
また従業員以外にも士業の方やフリーランスの方に給料を支払っている場合では、「支払調書」を別途作成する必要があります。年間での支払いが5万円を超過する場合では支払調書を作成して税務署まで提出する必要がある一方で、雇用している士業の方やフリーランスの方に別途発行する法的な義務は存在しません。

現実的には発行している会社も多いのですが、発行するかどうかはその会社次第と言えるでしょう。

まとめ

源泉徴収額の計算は毎月のように発生する訳ですが、年末調整時に不足があった場合にはその従業員自身が所得税を納めなければならず負担がかかってしまいます。普段は会計ソフトで源泉徴収額を算出していても、時には手入力で計算しなければならない場面もあるかもしれません。
会社を経営する以上は税金の納付をきっちりと行っておくことで、ひいては金融機関からの信用度が上がります。源泉徴収のルールは今後変更される可能性もあるので、年度ごとに最新の情報を入手しておくことが大切です。