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2019/08/30
軽減税率制度に伴う請求書の正しい書き方と保管方法の変遷とは
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はじめに
今年の10月1日には消費税が8%から10%へと引き上げられる予定ですが、一部の商品については軽減税率の適用が決定されています。消費者層にとって生活の根幹をなす飲食料品が主な対象物となっていますが、軽減税率が適用される商品を取り扱う会社や店舗については、それらの商品に関する請求書の新しい書き方について知識を身につける必要があります。
この記事では軽減税率制度に伴う請求書の正しい書き方と、請求書の今後の保管方法の変遷について解説します。この記事が軽減税率制度について準備を進める方の参考になれば幸いです。
1.軽減税率制度の概要
この記事を読んでいる方の多くが、直前にまで迫った軽減税率制度について準備を進めていることと思います。ただ一部の方については、軽減税率そのものについてあまり知らないということもあるかもしれません。この章ではまず、軽減税率制度の基礎知識をおさらいするところから始めてみましょう。
1-1.軽減税率の対象物
国税庁が事前に発表している情報によると、軽減税率制度の対象となるのは以下の物に限られます。
・飲食料品
・宅配およびテイクアウト形式の飲食料品
・有料老人ホームなどで提供する飲食料品
・週2回以上発行される新聞
基本的には酒類を除く、一般的な食べ物や飲み物が対象物として含まれると思っておけばいいでしょう。また宅配やテイクアウトについては軽減税率であるものの、ケータリングや外食については対象外であることには十分注意しておきたいところです。
医薬品および医薬部外品については口から摂取するものであっても飲食料品ではないため、これも軽減税率の対象外となります。
軽減税率制度の対象となる物については、はっきりと分かる線引きがあることが分かります。日常的に利用頻度の高い飲食料品が主な対象物である一方、あくまで贅沢の一環ととらえやすい外食やケータリングについてはこれに該当しません。
ここまで明確な線引きがあれば、会社や店舗の関係者の方でも間違えるはずがないのではないかと思われるかもしれません。ただし軽減税率制度に該当する物とそうでない物とが、請求書の書面上で常に分かれているとは限らないものです。中には8%と10%の商品が混在する請求書というのもあっておかしくはありません。
そうした事態にも間違わず対応できるよう、軽減税率制度の対象物を取り扱う関係者の方の場合では十分な知識を身につけておく必要があります。
1-2.軽減税率の導入で請求書が変わる
軽減税率制度そのものはそれほど難解な制度ではないのですが、それに関する請求書の取り扱いが現行制度よりも少しややこしくなってしまうことは確かです。
例えば飲食料品を取り扱う店舗として真っ先に思い浮かべやすい、飲食店を例にして考えてみましょう。飲食店では軽減税率の対象物である飲食料品を取り扱うことはもちろんですが、対象外である酒類を取り扱うことも多くなってきます。そうなると軽減税率が適用される飲食料品と、その対象外である酒類を一緒に仕入れることもあるかもしれません。
ただ仕入れた商品の種類が少ない場合には一枚の請求書にまとめられますし、商品を受け取った側で消費税の計算を分けて行わなければなりません。そのため軽減税率制度が導入されてからは、請求書の保管には「区分記載請求書等保存方法」が適用されることになります。
軽減税率制度が始まることで請求書の保管方法が変わってくる訳ですが、具体的にどのような点で変わってくるのでしょうか。それについては次章で詳しく解説していきます。
2.請求書の保管方法の変遷とは
消費税の増税とともに実施されることになる軽減税率制度ですが、それにより請求書の保管方法についても変更点がありました。この章では請求書の保管方法の変遷とともに、それぞれの場合における変更点についても順に紹介します。
2-1.請求書の保管方法の今後
10月1日に行われる消費税の引き上げとそれに伴う軽減税率制度の導入に伴い、請求書の保管方法は現行制度から区分記載請求書等保管方法へと変更されることになります。そして4年後の2023年には、区分記載請求書等保管方法から「適格請求書等保管方法」へと変更されることがすでに決定しています。
この適格請求書等保管方法は通称、「インボイス制度」とも呼ばれます。そのため飲食料品を取り扱う会社や店舗関係者の方は、区分記載請求書と適格請求書という、二段階での変化に対応できなくてはなりません。
2-2.区分記載請求書に関する変更点
請求書の保管方法として段階を踏むことについて前述しましたが、それではそれぞれの段階でどのような変化があるのでしょうか。ここでまず先に、2019年10月から2023年9月まで適用される区分記載請求書に関する変更点について確認しておきましょう。
①請求書に追加で加える項目がある
まず区分記載請求書に変更されることにより、請求書に記載する項目が追加されることになります。ここで具体例として、現行制度の請求書の必要項目について見てみましょう。
・発行者の氏名または名称
・取引年月日
・取引内容
・価格
・受領者
これまでであれば上記の項目さえ記載されていれば良かったのですが、区分記載請求書に変更されてからは以下の項目が追加されます。
・軽減税率の対象物であると分かる旨
・税率ごとでの合計金額
これらの追加項目については請求書を発行する側が記載する必要があるものの、まだ法的な義務とまでは定められていません。そのため場合によっては請求書を発行する側が記載し忘れてしまうこともあるかもしれません。
ただそうした場合には請求書を受け取った側で、不足する項目について後から記載することは可能です。
②古い会計ソフトでは対応できない場合がある
現行制度であれば使用できたはずの会計ソフトでも、区分記載請求書に変更された時点で使用できなくなる可能性があります。そもそも古い会計ソフトでは軽減税率である旨を記載する項目が用意されていません。そのため買い替える必要が出てきますが、この場合の買い替えについては国から補助金が支給されることになるので負担は幾分緩和されます。
また総額3万円未満の取引については、帳簿にだけでも軽減税率の対象である旨が記載されていれば特に問題ないとされています。そのため3万円未満の取引を主に行う場合では、請求書に別途記載する機会そのものがあまりない可能性も考えられます。
2-3.適格請求書に関する変更点
そして2023年の10月1日になると、区分記載請求書から適格請求書へと変更されることが予定されています。その最たる変更点としては主に2点が挙げられます。
①請求書の項目がさらに追加される
区分記載請求書でも項目が追加されていましたが、適格請求書になった段階でもさらに項目が追加される予定です。具体的には以下の内容が追加されることになります。
・税率ごとに区分して計算した合計した課税資産の譲渡等の金額(税込および税抜のどちらかで)、その適用税率
・税率ごとに区分して計算した消費税額(消費税および地方消費税の合計金額)
②適格事業者以外から仕入れを行うと、2029年9月30日まで控除が受けられる
適格請求書とは消費税の課税事業者のみが発行できることになっています。そのため免税事業者は適格請求書を発行できないことになっており、これでは取引して商品を受け取る側が仕入税額控除を受けられず損をすることになってしまいます。そしてそうなれば免税事業者と取引を行う会社や店舗は激減することが予想されます。
そのため免税事業者については、以下のような経過措置が設けられることになっています。
・2023年10月から2026年9月まで:仕入税額相当額の80%が控除される
・2026年10月から2029年9月まで:仕入税額相当額の50%が控除される
2029年10月以降は仕入税額控除が受けられなくなるため、免税事業者はその経過期間のうちに適格請求書発行事業者になれるよう手続きを済ませておく必要があります。ただし適格請求書発行事業者になるためには、消費税課税事業者選択届出書を提出して課税事業者にならなければいけません。通常は課税事業者選択届出書を提出した課税期間の翌課税期間から課税事業者へと変更されるため、すぐに適格請求書発行事業者になることはできません。
しかし2023年10月1日を含めた経過期間中に登録した場合に限り、課税事業者に関する届け出なしで課税事業者に変更される優遇措置が設けられることになっています。
区分記載請求書の場合では軽減税率の対象である旨や、税率ごとに区分して計算した税込の総額の記載については受け取った側で追記することができました。しかし適格請求書の場合では受け取った側で追記ができないため、請求書の内容に不備があった場合には発行者に対して再発行を依頼しなければなりません。
2-4.適格請求書が免除される例外
2029年10月以降は適格請求書の発行が義務になりますが、以下のような取引については例外として適格請求書の発行が免除されます。
・自動販売機での販売(3万円未満)
・公共交通機関
・古物営業に携わる者や宅地建物取引業者、再生資源などの買取業者が、適格請求書発行事業者でない者と取引する場合
・入場券などで回収されてしまう物 など
また小売業や飲食業のように不特定多数の人と取引する場合には、適格簡易請求書を交付することが可能です。これはいわゆるレシートのことであり、受領者の氏名が省略できたり、適用税率か消費税率のどちらかを記載していれば構わないとされています。
まとめ
軽減税率制度が適用されるにあたり、請求書を発行するのではなく受け取る側であればそれほど知識を詰め込む必要はないように感じられるかもしれません。ただし正しい知識がなければ請求書記載項目の不備も分からず、いざという時に困りかねません。
請求書の保管方法については特に二段階で変わる部分があるため、きちんと対応するためにもそれ相応の知識を身につけておくことが不可欠と言えるでしょう。