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2019/09/27

限界利益が会社の利益の追い風になる?その基礎知識をおさらい

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はじめに

会社を経営する上では会社の利益を追求するため、さまざまな努力を継続して行う必要があります。会社の収支を細かく把握するために行う会計処理もそのうちの一つです。特に限界利益を計算することで損益分岐点を活用することができ、この損益分岐点は会社の経費削減にも役立つ考え方です。
この記事ではそんな限界利益の計算方法や、損益分岐点の活用方法について解説します。また関連記事として以下の記事もおすすめです。

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1.限界利益と営業利益の違い

この章ではまず限界利益と営業利益の違いについて解説していきます。自社の利益を最大限追求するためには、限界利益という概念について理解を深める必要があります。営業利益と限界利益とでは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

1-1.限界利益とは

会社が利益を上げるためには固定費と変動費という費用がかかってきますが、そのうちの変動費のみを差し引いた後に残る利益のことを「限界利益」と呼びます。限界利益の計算方法については以下のようになります。

限界利益=売上高-変動費

変動費が具体的にどういった費用のことを指すのかについては、後ほど詳しく紹介します。

1-2.営業利益とは

対する営業利益とは、その売上高を作るのにかかった全ての費用を差し引いた金額のことを指します。具体的な計算方法は以下のようになります。

営業利益=売上高-(固定費+変動費)

限界利益では変動費のみ差し引くのに対して、営業利益では固定費と変動費の両方を差し引くことになる点が違ってきます
特に変動費のみを差し引いた限界利益をあらかじめ算出しておくことで、後述する損益分岐点を活用することができます。

2.限界利益率とは何か

限界利益と似た響きの言葉として「限界利益率」という言葉がありますが、これは以下の計算方法で算出することができます。

限界利益率=売上÷限界利益

限界利益は売上高から変動費のみを差し引いた金額そのものを指すのに対して、限界利益率は売上高のうち何割を限界利益が占めているのか、「売上高比率」という割合を算出するのに利用されます。限界利益および限界利益率を把握することで、会社にとってどの事業が売上高に貢献しているのか、あるいは負担となっているのかについての判断材料を得ることができます。これによりその事業を引き続き育成すべきか、もしくは早々に撤退すべきかなどを検討しやすくなります。

例えば限界利益および限界利益率ともに黒字である事業については、会社にとって最も貢献度の高い事業であるため継続的に運用していくことで利益を上げることができます。あるいは営業利益で赤字が出てなおかつ限界利益や限界利益率では黒字という場合には、固定費部分の負担を賄えるだけの利益を上げられれば、営業利益を黒字化することもできるかもしれません。

そして限界利益自体が赤字の場合には、事業拡大のために投資を行ったところで赤字が回復する見込みはあまりないかもしれません。限界利益が赤字の場合には変動費を削減して改善に努めない限りは、事業から撤退する方が会社にとっての損失が少なく済む可能性があります。

3.固定費と変動費の違い

限界利益と営業利益の違いの部分で、固定費と変動費という言葉が出てきました。固定費と変動費では具体的にどのような違いがあるのでしょうか。以下でそれぞれの内容を確認してみましょう。

3-1.固定費の種類

会社の売上高にかかわらず金額一律で発生する費用のことを「固定費」と呼びます。そのため会社を維持するのに最低限必要な費用であると言い換えることもできます。そんな固定費としては具体的に以下のようなものがあります。

・人件費
・土地代
・物件の家賃
・水道光熱費
・設備の減価償却費
・労務費 など

3-2.変動費の種類

その一方で「変動費」とは、売上高の増減に伴い比例して変動する費用のことを指します。具体的には以下のようなものがあります。

・原料費
・材料費
・仕入原価
・販売手数料
・外注費 など

3-3.会計基準は主に2種類ある

変動費と固定費の具体例を上述しましたが、実はこれらの費用の分類は会社によってまちまちです。というのも変動費と固定費は「管理会計」の区分なので、会社独自に決定することができるからです。

管理会計:会社の意思決定および経営管理を行うために必要となる。会社独自の基準が採用されるため、厳密には各社で内容が異なることが多い。
財務会計:株主や金融機関、税務署など外部への報告を行うためにある。法律で内容が定められた会計基準であるため、各社で内容が同一になっている。

4.損益分岐点とは何か

上述した限界利益との関連性が深くなおかつ経営管理する上で欠かせないのが、「損益分岐点」という考え方です。
損益分岐点は管理会計上の指標の一つであり、損益分岐点を計算するためにはまず固定費と変動費をあらかじめ明確にしておく必要があります。その具体的な計算方法は以下のようになります。

損益分岐点=固定費÷(1-変動費÷売上高)
損益分岐点=固定費÷限界利益率

損益分岐点をグラフ化する場合には縦軸に売上高・費用、横軸に生産量・販売数量をとります。そしてグラフ内に売上高と総費用を実線で描き、なおかつ変動費を破線で描きます。すると売上高と総費用がある一点で交わることが分かります。この一点交わった部分こそ、管理会計上で重要な指標となる損益分岐点となります。

さらに損益分岐点から左側は損失が出ている状態、右側が利益が出ている状態と読み取ることができます。限界利益率が大きくなるように収益性を改善できれば、損益分岐点の位置が下に下がるため、損失をより少なく抑えることができます。

この損益分岐点をグラフ化することで、どれだけの販売量または生産量で利益を生み出せるのかが視覚化できます。視覚化することで事業の課題について議論しやすくなるため、非常に便利な考え方です。

5.限界利益の活用法とは

そんな経営管理に役立つ考え方である限界利益ですが、具体的にはどのような活用方法があるのでしょうか。

5-1.事業継続の判断材料になる

限界利益や限界利益率を見ることで、事業継続の判断材料にすることができます。限界利益の時点で赤字の場合には、変動費を改善することで黒字化できる余地はあります。ただし何らかの改善努力をしてなおも限界利益が赤字のままであれば、事業から撤退することも検討した方がいいかもしれません。

限界利益が黒字の場合であれば、事業拡大のために投資することで利益を増大させられる可能性が高くなります。特に変動費や固定費を見直し数値を改善することで、会社にとって貢献度の高い事業へと育成することも可能です。

5-2.競合他社に勝つための価格戦略に役立つ

限界利益を把握すれば、競合他社との価格戦略において役立てることができます。

販売価格自体は製品化にかかった原価や販売手数料などを元にして、どれだけの利益を乗せるかで決定するものです。そのため競合他社の販売価格を考慮した上で、自社の販売力でいくらの商品を売り出せば利益につなげられるかを事前にシュミレーションする必要があります。

また目標価格をあらかじめ設定することで、変動費削減のための戦略を立てたり、最適な生産ロット数の試算や外注先の変更などを検討しやすくなります。

5-3.精度の高い予算を作成できる

会社にとって固定費および変動費は必要な費用であるため、限界利益を把握することで精度の高い予算を作成することができます。

会社が利益を出すためにはどれだけの予算でいくらの売上を獲得できるか、そのためには費用がどの程度かかるかをある程度事前に把握しておく必要があります。これには固定費と変動費の正確な金額を把握しておかなければなりません

また会社として最大限利益を上げるためには、最終的には限界利益の数値を改善する必要が出てきます。どの部分にかける費用を削減するか、あるいはどの事業への投資額を増やして事業育成に励むかを考えることで、有意義な経営計画を立てることにも役立ちます。

5-4.PB商品やNB商品の適正比率を検討しやすくなる

近年はPB(プライベート・ブランド)商品NB(ナショナル・ブランド)商品の両方を販売する会社も増えていますが、両者の違いについては以下のようになります。

・PB商品:メーカーが企画および製造しており、商品として卸や小売業に販売している自社商品のこと。
・NB商品:小売が企画および開発の段階から参画しており、メーカーと共同製作して直接的に販売している他社商品のこと。

PB商品は広告宣伝費や流通費などを安く抑えられるため、NB商品よりも限界利益率が高い点でメリットがあります。ただしPB商品の販売量を伸ばすことで利益率は追求できるものの、小売業では在庫リスクやクレーム対応などのアフターケアに追われるリスクもあります。

PB商品の方が限界利益率が高いもののリスクも少なからずあるため、PB商品とNB商品の限界利益を比較して、適正比率を模索することも時には必要です。

まとめ

限界利益という概念を用いることで、実際にその事業でいくらの利益を生み出せるのかを把握することができます。また営業利益が赤字の場合であっても限界利益の部分で利益を上げられれば、固定費を賄い営業利益の部分でも黒字化を目指すことも可能になります。

ただし固定費をいくら抑えたところで変動費があまりにも大きすぎると、限界利益の部分でなかなか黒字につなげられず、結果的にはその事業から撤退を余儀なくされることもあるかもしれません。利益の最大化を図る上で売上高や変動費、固定費などの要素をいかに改善していくべきか、それを知るために限界利益や損益分岐点という考え方が役に立ちます。会社の利益追求のために必須の考え方となるため、これを機にぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

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