債務整理

2018/04/20

個人再生におけるメリット・デメリット

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個人再生とは

 

個人再生とは、借金が積み重なって、返済の目処が立たなくなった場合に、裁判所を通して借金を減額してもらう債務整理の1つです。

債務整理には全部で4つの方法があり、それぞれ特徴が異なります。

4種類の債務整理とそれぞれの内容

個人再生の内容

個人再生は、債務者が裁判所に個人再生の申し立てをすることで、債務の5分の1を免責にしてもらい、長期の分割払いで返済していく制度です。

裁判所から認可が下りた場合、債務者の債務は減額され、返却期間が新たに設けられます。減額された債務を払い終えると全ての債務がなくなります

自己破産の内容

自己破産は、債務者が裁判所に自己破産の申し立てをすることで、債務の全額を免責にしてもらう方法です。裁判所から認可が下りた場合、債務者の債務は全てなくなります。

自己破産後は、貯金や、価値のある所有物が資産として没収されることがあります。

多額の借金があり、全く返済の目処が立たないという時の最後の手段として考えましょう

任意整理の内容

任意整理は、弁護士・司法書士が債権者と和解交渉を行い、債務を減額してもらう方法です。取引開始時に設定した金利を引き下げて、再計算することで借金を減額する仕組みになっています。

任意整理においては裁判所に直接申し立てをする必要はありません。その特徴から4種類の債務整理の中でも任意整理を選択する人はとても多いです。

特定調停の内容

特定調停は、現時点で借金の返済が滞ることはないがいずれ滞ることが予想される場合に、債務者が裁判所に特定調停の申し立てをすることで、債務を減額してもらう方法です。

特定調停では、債務者と債権者の間に簡易裁判所が仲介することによって、取引開始時に設定した金利を引き下げて、再計算することで借金を減額する仕組みになっています。任意整理と債務の減額する仕組みは同じですが、この方法では債務者が裁判所に申し立てをする必要があります。

しかし、弁護士・司法書士に依頼することなく債務者本人が手続きを行うことができるため費用は安く済みます

個人再生の7つのメリット

債務が大幅に減額される

個人再生では債務の5分の1まで減額することができます。同じ債務整理である任意整理・特定調停ではここまで大幅な減額をすることは中々できません。

例えば500万円の借金があった場合には100万円まで借金を減額することができます。その100万円は期間内に分割払いなどを利用して返却することができるので、減額後の定期的な収入が見込める場合には大きな負担となることはないでしょう。

資産を手放すことなく申請することができる

自己破産の場合、債務の全てを免責にすることと引き換えに、住宅や車などの資産を没収されてしまいます。しかし、個人再生の場合は、資産を手放す必要はありません

債務者が財産を持っているかどうかは返済額に考慮されますが、資産自体を手放すことはありません。

自己破産と違って、返済後に家や車がなくて生活に困ることはないでしょう。

職業を制限されることがない

自己破産の場合は借金を全て返済するまで、一部の職業が制限されることになります。主に信用やお金に関わる職業(弁護士や警備員など)に就く際は気をつけなければなりません。

しかし、個人再生の場合は職業の制限は一切なく、安心して職業を選ぶことができます

手続き後は債権者からの強制執行がなくなる

個人再生の申し立てをしてからは、債権者からの強制執行(給料の差し押さえなど)を中止することができますただし、個人再生の「申し立て」時点では裁判所が必要と判断した場合にのみ差し押さえを中止することができるので、申し立てをしてすぐに差し押さえが中止されるわけではないことを注意しましょう。

また、差し押さえの「中止」のみでは給料の差し押さえ分を手取りとして受け取ることができず、職場に留保されることとなります。差し押さえの「取り消し」が認可された場合に、留保された分の給料を受け取ることができます。

債権者が債務整理を拒絶しても利用できる

債務整理をする場合、債権者と交渉しなければなりません。任意整理や特定調停の場合、債権者が債務整理を拒否し、交渉に応じてくれないこともあります。

しかし、個人再生の場合は債権者からの拒否を心配することはありません。

個人再生は裁判所を通して行う手続きであるため、債権者の意見によって個人再生を止めることはできません。ただし、例外として債権者の異議の申し立てにより再生計画案が認可されない場合もあります。

個人再生には「小規模個人再生手続き」と「給与所得者等再生手続き」があります。

給与所得者等再生の場合、債権者の意見は手続きに反映されないためそのような心配はありません。

小規模個人再生の場合、過半数の債権者が再生計画案に異議を申し立てた場合、再生手続きが不認可になってしまいます

大口の債権者を抱えて小規模個人再生を行う場合は、反対される恐れはないか弁護士としっかりと相談しましょう。

借金の理由による制限が一切ない

自己破産の場合、借金の原因を言及され、その原因がギャンブルや無駄な浪費であった場合は不認可となり、免責を受けられないケースが出てきます。しかし、個人再生の場合は借金がいかなる理由によるものであっても免責を受けることができます

借金の理由が気にかかる場合には個人再生の仕組みは大きなメリットとなります。

過払金が見つかることもある

個人再生の際に、任意整理のように債権額の再計算を行います。この手続きの中で過払金が見つかることがあります見つかった過払金は過払い請求をして依頼者に返金をすることになります。

本来、過払い請求は弁護士や司法書士を雇って行うものですが、個人再生による債権額の再計算の中で過払金を見つけられる可能性があります。

個人再生の5つのデメリット

個人再生の利用条件がクリアできない場合もある

個人再生を利用するためには2つの条件があります。

 

1つ目は債務総額が5000万円以下であることです5000万円を超える多額の借金がある場合には個人再生を利用することはできません。自己破産の場合は借金の限度額に制限がないため、いくら借金をしようと全てを帳消しにすることができます。

個人再生を利用したい場合は、借金が5000万円以内であるかどうかを必ず確かめる必要があります。

 

2つ目は継続的または反復的した収入が見込めることです。何らかの職業に従事していて、それを継続的に続けることができると裁判所から認められる必要があります。

例えば、サラリーマンや公務員の場合には裁判所からの認可が降りやすいですが、アルバイトや無職の場合は裁判所からの認可が降りない恐れがあります。

定職についていない方にとってはこちらの条件は厳しい条件となります。

資金の借り入れを長期間に渡って利用することができない

個人再生手続を行った場合、その返済額を全額返済するまでは資金の借入を利用することができません。いわゆるブラックリスト扱いとなります。

例えば、ブラックリストとなると、住宅ローンやビジネスローンはもちろん、クレジットカードの発行等も利用することができません

書類作り・手続きが非常に難しい

個人再生をするにあたり、裁判所に申し立てをして、再生計画案を認可してもらう必要があります。しかし、再生計画案を認可してもらうには多くの書類を、法律要件に沿うように的確に準備していく必要があります。また、用意する書類の種類は決まっているわけではなく、個人のケースによって必要書類が増える場合が多いです。

自分はなんの書類が必要なのか過不足なく判断していくことは非常に困難となる上に、もし手続に失敗してしまった場合には強制的に自己破産へと移行することもあります。

法律の知識がない素人にとって、これらを個人で進めていくのは大きなリスクを伴うので、出来るだけ弁護士や司法書士を雇い、的確に手続きを進めていくことが良いでしょう。

費用が高い

個人再生をする際、総額で50万円ほどの費用が予想されます弁護士や司法書士の費用だけでなく、裁判所に納めるものや必要な書類を作成するにあたって払わざるを得ない費用など、決して安くはありません。個人再生をする上で、自分のケースが費用に見合うものになるのかしっかりと判断しましょう。

国が発行する「官報」という機関紙に名前が掲載されてしまう

個人再生・自己破産を利用すると、「官報」という機関紙に住所・名前が掲載されてしまいます。

「官報」とは国や特殊法人の報告や資料を一般市民へ向けて情報開示するための政府発行の機関紙です。それを読んでいる一般人はあまりいませんが、悪徳業者などに目をつけられることもあるので注意が必要です。

保証人はどうすれば良いのか?

個人再生を利用する場合、保証人が付いている借金がある可能性があります。債務者が個人再生を行なった場合、保証人がついている借金については保証人が全額負担することになります。そのため、保証人がいる場合の個人再生は、必ず迷惑をかけてしまうことを考慮してければなりません。

では、保証人への迷惑をかけないためにはどうすればいいのでしょうか。それを考えるには保証人がどのようなものかを知っておく必要があります。

保証人とは

保証人とは債務者が債務を返済できない場合に代わりに債務を返済する者のことを指します。保証人には「一般的な保証人」と「連帯保証人」という2つのものがあり、連帯保証人には次の3つの権利がありません。

催告の抗弁権

催告の抗弁権とは、債権者が保証人に請求をしてきた場合、一般的な保証人であれば支払いをすることを拒むことができる権利です。しかし、連帯保証人の場合はそういった主張ができないため支払いに応じなくてはいけません。

検索の抗弁権

検索の抗弁権とは、債務者に返済できる資産があるにも関わらず返済を拒否した場合、一般的な保証人であれば、債務者への強制執行などを主張することができる権利です。しかし、連帯保証人の場合はそういった主張ができないため支払いに応じなくてはいけません。

分別の利益

分別の利益とは、保証人が複数いる場合は借金の返済金額は保証人の人数で分割されることを指します。

例えば100万円の借金に2人の保証人がいる場合の負担額は、50万円ずつと計算することができます。

しかし、連帯保証人にはそういった負担の権利がありません。保証人が複数いる場合でも、債権者が連帯保証人に対して借金の全額返済を求めた場合、全額の支払いに応じなければいけません。

保証人への負担を抑えるためには?

保証人が付いている借金がある中で個人再生を行うのなら、保証人への負担を避けることはできません。保証人に一切の迷惑をかけたくないという場合には、個人再生ではなく、任意整理や特定調停の検討が良いでしょう。任意整理の場合は保証人付きの借金を債務整理の対象から外すことができます。

個人再生を避けることができないのであれば、必ず保証人の理解を得た上で手続きを進めましょう。

保証人が債務者の代わりに借金を返済した場合、「求償権」という立て替えた借金を債務者に請求できる権利が適応されます。

保証人の立て替えた借金を一刻も早く返すことが一番の負担軽減となるでしょう

また、保証人との間でトラブルが起きた場合には、弁護士や司法書士に相談し、お互い納得できるようなプランを第三者に提案してもらいましょう。

弁護士以外にどんな相談先があるか?

個人再生を行うにあたって、弁護士などの専門家に相談することが一般的ですが、その費用は少なくありません。

最後に弁護士以外にどんな相談先があるのかご紹介いたします。

役所の借金相談窓口

各地の役所では借金の相談窓口があります。役所なので、相談に無料で対応してくれます。予約制で対応していることが多いので、まずはお近くの役所に確認を取ってから申し込みましょう。しかし、あくまで専門家の意見ではないため的確な答えが返ってくるとは限りません。

金融庁

金融庁では貸金等に関する相談を受け付けています。差し押さえや取り立てなど、債権者との間にトラブルが発生している場合は金融庁に相談しましょう。メールや電話の相談に対応しています。

消費者生活センター

消費者生活センターでは、借金問題に関して電話で相談することができます。強制執行に対しての対処方法などを相談することができるので、借金の取り立てで困っているという方にはお勧めです。電話で相談できるため、まずは手軽に無料の電話相談からはじめてみると良いでしょう。

法テラス

法テラスでは法律の専門的な知識に基づいて、様々な相談をすることができます。法律や制度の知識を教えてもらいながら具体的な返済計画を考えていきたい場合に利用すると良いでしょう。ホームページからメールでの相談も可能です。

 

 

 

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