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2019/08/30

知らなきゃ損!フリーランスがインボイス制度で直面する問題とは

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はじめに

今年の9月30日で消費税8%の期間は終了し、10月1日から新たに消費税10%の時代へと突入します。この増税により私たちの生活は一変します。例えば普段の生活で必要最低限なければならない食料品については軽減税率制度が設けられることになります。また会社と会社間、会社と個人間での取引で利用する請求書の記載事項が変更され、その保管方法が2029年まで段階的に変わることが予定されています。

特にフリーランスとして働く方であれば今回の増税に関連して、「インボイス制度」について熟知しておかなければ思わぬ損を被ることにもなりかねません。この記事ではフリーランスの方であれば確実に押さえておきたい、インボイス制度の概要や問題点、その対策について解説します。

1.インボイス制度の概要

この記事を読む方の多くが、恐らくはインボイス制度とはどういった制度であるのかを詳しく知らないかもしれません。あるいはインボイス制度について大まかには知っていても、その制度によりフリーランスとして働く方がどのような影響を受けるのかまでは知らない場合もあるでしょう。

この章では具体的な問題点や対策について話を進める前に、まずはインボイス制度の概要として基礎知識に関する内容から解説していきます。

そもそもインボイス制度とはどういった制度のことを通称しているか、皆さんはご存知でしょうか。インボイス制度とは正式名称を「適格請求書等保存方式」と言います。つまりフリーランスの方であればクライアントから仕事を受けその対価として報酬を求める時に、クライアント側に提出する請求書の記載内容がインボイス制度の導入により変更されることを意味しています。

例えば軽減税率の対象品目に該当する商品およびサービスについては、その旨を請求書に記載しなければなりません。インボイス制度の前段階である区分記載等請求書保存方式の場合では、請求書の内容に不備があった場合には受け取り側である会社で追記することができます。しかしインボイス制度になって以降は追記することができず、内容に不備があった場合には取引相手に対して請求書の再発行を依頼しなければならなくなります。

そしてインボイス制度最大の変更点として、免税事業者はインボイスを発行できないということです。基本的に全然年度の売上が1,000万円以下のフリーランスの方については免税事業者という区分になり、たとえクライアントから消費税を支払われたとしても納税を免除されることになっています。つまり売上1,000万円以下のフリーランスとして働く場合ではインボイスを発行できないために、クライアント側で仕入税額控除を受けられないことにもつながります。こうなると仕事を発注するクライアント側が損をすることになり、フリーランスの方の仕事量や報酬の金額に悪影響を及ぼすことが懸念されます。

2.インボイス制度によってフリーランスの仕事が減る?

前章の内容を読んで予想のついた方もいるでしょうが、つまるところ免税事業者であるフリーランスの方に仕事を発注するクライアントが減る可能性が既にあるということです。インボイス発行事業者である会社あるいはフリーランスの方に仕事を発注すればその分、クライアントが仕入税額控除を受けられるため負担が軽減できるのです。

クライアント側としても仕入税額控除を受けられる相手に仕事を発注した方が得なので、例えばインボイス発行事業者である会社に仕事を発注するようになるかもしれません。あるいはフリーランスの方が仕事を探すため登録しているクラウドソーシング業者が一括で仕事を受注し、厳選したフリーランスの方だけに仕事を発注するかもしれません。

このようにインボイス制度の導入によりフリーランスの方が仕事を得る機会が減るだけでなく、よりスキルのあるフリーランスの方だけが稼げる構図が出来上がってきます。そうなれば駆け出し、あるいはスキルがそれほどないフリーランスの方は仕事が確実に減る将来がやって来ます。免税事業者としての立場を理解してなお現状維持をするフリーランスの方の場合では、報酬額の減額を承諾してようやく仕事にありつけることにもなりかねません。

報酬額を減額すればこれまで通り仕事があるにせよ、クライアントがいつその意向を変えるとも分かりません。クライアントの心変わりに怯えながら仕事を請け負うことを良しとするのか、それともスキルを磨いて免税事業者でも仕事を任せてもらえる人材へと成長するのかという二択がまず迫られます。

3.インボイス制度への対策とは

インボイス制度の導入でフリーランスの方の働き方が変わることについて前述しましたが、それでは具体的にどのような対策がとれるのでしょうか。

まず一つ目の方法としては、仕事量が減ることも想定して現状維持する方法です。この方法であれば今まで通り消費税を支払う必要はありません。

二つ目の方法として、売上1,000万円以下でもインボイス発行事業者としての登録手続きを済ませるという方法も考えられます。ただし消費税の課税事業者として登録されることになるため、以降は消費税の申告と納税をしなければならなくなります。またインボイスを発行できればクライアントが不利益を被ることもなくなるため、仕事量が減る心配はないかもしれません。

基本的にはこの二つの選択肢がありますが、課税事業者として登録した上でフリーランスとしてのスキルを磨き年収1,000万円以上になることを目指すという方法も選択肢に含めていいはずです。

通常の場合であれば免税事業者が課税事業者になる場合には、「消費税課税事業者選択届出書」が必要になります。しかし10%への増税後における特定の期間中であれば、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出するだけで課税事業者に関する届け出は免除されることになっています。

また免税事業者が不利益を被る事態を回避するために、以下のような経過措置が講じられる予定です。

①2023年10月から2026年9月まで:仕入税額相当額の80%が控除される

②2026年10月から2029年9月まで:仕入税額相当額の50%が控除される

2029年10月以降は控除されなくなるため、手続き面を考慮しても課税事業者になる場合にはこの期間中にインボイス発行事業者になるための申請を行っておくことが無難でしょう。

4.フリーランスが利用しやすい資金調達の方法とは

フリーランスとして活動するにあたり、仕事量が減って報酬が減る心配もそうですが、仕事に関する資金調達を自力でしなければならない点もフリーランスならではの苦労と言えます。この章では最後に、フリーランスの方が利用しやすい資金調達の方法について順に紹介していきます。

4-1.日本政策金融公庫

フリーランスとして新規事業を始める、あるいは始めてからまだ間もないという方であれば日本政策金融公庫の融資制度を利用するといいでしょう。日本政策金融公庫は国が100%出資する金融機関であるため、好条件でお金を借りることができます。その具体的なメリットとしては以下のようなものがあります。

・低金利

・無保証かつ無担保で借りられる

・事業に関するアドバイスが受けられる

・返済期間が長く設定されている

・利用実績があると、他の金融機関から融資を受けやすくなる など

フリーランスで働く方でも利用できる資金調達の方法であるため、低金利でお金を借りたいという方におすすめです。

4-2.補助金および助成金

融資の場合ではお金を返済する必要があるため、借りた資金の全額を最大限事業に活用することも難しい部分があります。その点補助金および助成金であれば、受給したお金については返済する必要がありません。

ここで補助金と助成金の違いについて簡単に触れておくと、助成金は要件さえ満たせば誰でも受給できる一方で、補助金は要件を満たし申請したとしても抽選落ちする可能性があります。また補助金や助成金といった制度については年度ごとに募集条件や内容が変更されることがあるため、利用を検討する場合には随時情報収集していかなければなりません。

4-3.保証付融資

フリーランスの方であれば銀行からお金を借りることはなかなかハードルが高いと感じるでしょうが、信用保証協会を通じて保証付融資で申請した場合にはお金を借りやすくなるかもしれません。

信用保証協会では主に個人事業主や中小企業を対象としているため、資本金や従業員に関する条件が別途設けられています。ただし信用保証協会を通して融資を受けている場合には、万が一返済が困難な状況になったとしても信用保証協会がお金を借りている金融機関にあらかじめ弁済してくれることになっています。とはいえ弁済してもらったお金について返済しなくていいという訳ではなく、改めて信用保証協会に返済する必要が出てきます。

4-4.クラウドファンディング

未だ実績のないフリーランスの方でも資金調達しやすい方法として、クラウドファンディングがあります。クラウドファンディングでは不特定多数の支援者から資金調達できる可能性があり、場合によっては希望金額以上の資金が集められることもあります。

クラウドファンディングを利用するためには専用サイトに別途登録しなければならず、各サイトによっても得意とするジャンルが異なります。またクラウドファンディングで資金調達する場合には他のプロジェクトにはない独創的なアイデアと、魅力的なリターンが必要になります。そのため自分のアイデアを発信することに長けている方であれば、希望する金額を調達することも可能になるかもしれません。

ここでは資金調達する方法の一例を紹介しましたが、これ以外にも資金調達の方法はあります。また資金調達と併せて経費削減も視野に入れて支出を抑えることで、資金繰りをより安定的なものにすることができるはずです。

まとめ

インボイス制度の導入でフリーランスの方の仕事量が減るかもしれないという懸念はありますが、フリーランスとして働く以上は日頃からスキルを磨き収入増を目指していきたいものです。課税事業者になれば消費税の申告と納税を別途行わなければなりませんが、仕入税額控除が受けられないことを理由に仕事量が減らされる心配はなくなります。今回の制度変更によってフリーランスとして働く方が一方的に損をしないためにも、適切な知識を身につけ対策を講じていくことが要求されます。