借り入れ

2018/06/20

黒字倒産に陥らないための鉄則9選

 

 

はじめに

会社が倒産すると聞くと「借金を多く抱えすぎた」、あるいは「赤字になった」という理由を思い浮かべる方が大半を占めるのではないでしょうか。
しかし実際には「黒字倒産」と言って、会社としての利益は黒字の状態でもやむなく倒産してしまうケースが中にはあります。
会社としての利益自体は問題ないのになぜ会社が潰れてしまうのか、皆さんはその理由をご存知でしょうか。

この記事では黒字倒産に陥らないための鉄則9選と題して、黒字倒産を未然に防ぐための対策を紹介します。
会社の資金繰りに失敗してしまうと自ら立ち上げた会社がなくなってしまうだけでなく、自己破産に追い込まれ家族や家、自分自身の資産までも失ってしまうリスクが高くなります。
特に資金繰りは会社の根幹をなすとも言えるものです。
黒字倒産の概要について知らない方もこの記事で勉強しておき、自身の会社の経営を健全化できるように努める必要があります。

 

 

 

1章:黒字倒産とは何か

この章ではまず黒字倒産の概要をそもそも知らない方向けに、黒字倒産とは具体的に何なのかということを解説していきます。
冒頭でも言った通り黒字倒産とは資金繰りに関する問題なのですが、実際にはどのような問題が起こってこのような事態に陥るのでしょうか。

 

1ー1黒字倒産は資金繰りのショートが原因

黒字倒産について知識を深める前に、まず知っておきたいこととして会社としての損益と実際のお金の動きとは現実には連動していないということです。
会社の利益と損失の両方が記載される損益通算書は、会社として計上した利益と損失とが情報として記録される一方で注意点も一つあります。
それは損益通算書には実質的なお金の収支が明記されないということです。

どういうことかと言うと、実際にやり取りされるお金についてはキャッシュフロー計算書という書類が別に用意されることになり、こちらの書類に会社の経営に関連するお金の実際の収支が記録されていきます。

 

1ー2 会社の資金繰りを怠るとどうなるか

会社を健全に経営する意味でも会社としての損益とお金の実際の動きとが連動していないことは理解したとして、会社の資金繰りを怠ると何が起こるのでしょうか。
その具体例を挙げると以下のようになります。

 

・従業員への給料の支払いが滞る

・会社としての信用がなくなる

・銀行が融資してくれなくなる

・会社の成長に投資できない など

 

お金の流れをきちんと把握せず資金繰りを行なっていると次第に資金繰りが滞るようになります。
そうなれば納めるべき税金や借金、家賃などが支払えないだけでなく、資金繰りに困っていることを他の会社や銀行に知られてしまえば取引先を失ったり融資を受けられないことにもつながります。
もちろん従業員への給料の支払いが滞れば不満が募り、退職する人数が増えてしまったらそれはそれで実質的な経営の部分で人手不足になってしまいます。

 

1ー3 資金の支払いと受け取りにはギャップがある

そもそも資金繰りを徹底すべき理由の一つに、資金の支払いと受け取りにはギャップが存在することが挙げられます。
会社を経営するための資金は基本的に以下のような構成で成り立っています。

 

運転資金=売上債権+在庫-仕入債務

 

基本的に会社としてのお金の流れとしてはまず資金の支払いが先に来ます。
例えば製造業では仕入れ代金(仕入債務)とその商品を管理する倉庫の家賃、その他の維持管理費などが先に発生します。
そして実際に現場で働いている従業員への給料や販売店舗への販売手数料や管理費の支払いが続き、最後に売掛金として商品の売上金(売上債権)を会社が受け取ります。

こうしたお金の動きのズレにより黒字経営であっても資金繰りがショートすることがしばしばあり、会社の経営に携わるのならばこうした側面があることをしっかりと把握しておく必要があります。
特に会社の成長を図る時期ほど投資資金としての支払いが一時的に多くなり、結果として資金繰りに困る事態に陥りやすくなるので要注意です。

 

黒字倒産しないためにはお金の管理を行き届かせる必要がありますが、それと同時に在庫管理にも最新の注意を払う必要があります。
在庫とはそもそも売れて初めて収入源となるものであって、売れるまではそこにかかった仕入れ代金でさえ会計上では支出として記録されません。
そのため在庫を多く抱える会社ほど書類上では黒字化が進んでいくため、在庫の適正管理も黒字倒産を未然に防ぐことに役立ちます。
詳しい内容については次章で改めて解説します。

 

 

2章:黒字倒産に陥らないための鉄則とは

黒字倒産とは収入が支出を上回った状態にもかかわらず倒産することを意味すると理解したところで、この章では本題である黒字倒産に陥らないための鉄則について解説していきます。
会社の経営が一見順調に見えても資金繰りの点で失敗すると黒字倒産のリスクが高くなることは分かりましたが、それでは具体的にどのようにして黒字倒産を未然に防ぐべきなのでしょうか。
その鉄則9選について簡単にまとめてみると、以下のようなものが挙げられます。

 

2ー1 キャッシュフローに着目した経営を目指す

前章でも実際のお金の流れについて知る資料としてキャッシュフロー計算書というものがあることに言及しましたが、損益通算書を重視して経営していると実際のお金の流れに疎くなり結果として資金繰りに失敗してしまうこともないとは言い切れません。
それを回避する意味でもキャッシュフローに着目した経営を目指すことで、実質的なお金のみで事業活動の内容や方針を決定することができます。

それではキャッシュフロー計算書で計上される「キャッシュ」とは、具体的にどのようなお金のことを指すのでしょうか。

 

・現金

・短期間のうちに現金化できる預金(普通預金、当座預金、通知預金など)

・手形や公社債、投資信託といった短期間で現金化できるもの

・簡単に換金可能でかつ価値の変動が少ないもの など

 

キャッシュフロー計算書に記載されるお金の動きは常に客観的なものであり、誰が見ても「いつ・どこで」キャッシュが会社から支払われ、「いつ・どこから」会社にキャッシュが入ってきたかが一目で分かるようになっています。

その一方で損益通算書は会計上のルールや処理方法が限定されていないために、各社の見解次第で数値が微妙に変動してしまいます。
キャッシュフローのように比較検討しやすい資料とは言いにくいため、損益通算書のみを頼りにするような経営のやり方には少なからずリスクを伴います。

 

キャッシュフロー計算書が4半期ごとに作成される過去のお金の収支表だとすれば、現時点でのお金の収支を記録するものとして資金繰り表があります。
これは現在進行形で動くお金のやり取りが記録される書類となるため、日常的に内容が更新されるだけでなく将来的な資金繰りについても検討するための材料になりうるものです。

現在の預金残高は売上の何ヶ月分に相当するか、在庫は適正に管理できているか、借入金の返済が営業収支を上回っていないかなど、資金繰り表は会社の健全経営を考える際に非常に役立ちます。
損益通算書で現状での経営状態を把握しているのであれば、すぐさまキャッシュフロー計算書および資金繰り表の活用を検討するといいでしょう。

 

2ー2 在庫管理を徹底する

この記事でも在庫が黒字化を進行させることは何度か前述しましたが、もしも損益通算書で売上金が多い割に現金が少ないといった場合には在庫の適正量を見直してみるのも一つの方法です。
在庫が過剰になると倉庫や販売代理店での維持管理費が高くつくだけでなく、新たな商品を仕入れることもままならなくなります。

特に流行性のある商品ではその時期を過ぎると価値が激減してしまうものもあるので、在庫を一掃する意味でも売り尽くしセールを適宜実施する必要があるかもしれません。
在庫の適正管理を目指すのであれば棚卸を定期的に実施するようにし、どうしても売り切れなかった商品については損金として計上して処分するという方法もあります。

 

また在庫の回転率が悪いと財務分析上での評価が悪くなってしまうため、銀行からの融資を希望した際に不利に働くケースも実際にあります。
在庫の適正量を見極めることも安定的な経営をする上では不可欠です。

 

2ー3 貸し倒れ対策をする

あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、黒字倒産を引き起こす要因として覚えておいてほしいのがこの「貸し倒れ」です。
貸し倒れとは別の会社に貸し付けた貸付金や売掛金を回収できなくなった状態のことを指しますが、この貸し倒れが実際に起こってしまうと自身の会社の経営が黒字の状態であっても資金繰りが連動して苦しくなり、あまつさえ同じく倒産してしまうことにもなりかねません。

貸し倒れは一気に事態が悪化するのではなく、まずは支払いの延滞が発生しその期間が長くなり、結果として貸し倒れが発覚するというのが一般的な流れです。

 

そのため貸付金および売掛金の回収に延滞が出た時点で債務者に働きかけをし、なるべく早期に債権を回収してしまうことが重要となります。
これまで多額の貸し付けを要求してこなかった会社が多額の貸し付けを希望してきた場合には慎重に検討した方がいいかもしれません。

またそうした事態を未然に防ぐ意味でも取引先を複数社に分散し、一社ごとの貸し倒れのリスクを最小限に留める努力も時には必要です。
貸し倒れが実際起こってしまった場合には貸倒損失として計上し、損金をきちんと数値化することも覚えておくといいでしょう。

 

2ー4 経費はなるべく削減する

会社を経営する上では経費が必要不可欠ですが、収入を増やす意味でも経費はなるべく削減することが前提です。

例えば会社の事務所が都心部の一等地にあり家賃が高くつくというのであれば、都心から程近い場所に引っ越し家賃を抑えるという方法もあります。
あるいはリースで機材を利用しているのであれば少しでも安く利用できるプランを検討し、現在契約している会社よりも他社の方が安い場合にはその会社に値引きの交渉をするか、他社に乗り換えるといった方法も有効です。
その経費が本当に必要かどうかを改めて考慮することで、削減の余地があるかもしれません。

 

2ー5 支払い期限を延長してもらう

資金繰りが苦しくなった場合には会社の取引先および銀行まで直接出向き、支払い期限を延長してもらうことも大切です。
感情的に訴えても債権回収の目処が立たない限りは相手も納得しにくいので、支払い期限の延長を交渉する際には経営改善計画書や資金繰り予測表といった資料を持参しておくといいでしょう。
そして返済が困難になった原因を明示した上で返済するための対策をいくつか例示し、それぞれの場合に応じた返済のためのシミュレーションを説明していくのが妥当です。
根拠を伴って理論的に説明できれば交渉の成功率も幾分高くなります。
会社の数値を管理する者として、相手を納得させたいのであればあくまでも客観的な数値を示して具体的に説明することが要求されます。

 

 

2ー6 無理な設備投資は禁物

安定的な黒字経営ができている状況であれば、会社の規模を大きくしたいと考えることも無理からぬ話ではあります。
ただ店舗数を一挙に増やしたりCMを常に流しているとそれだけでも支出が増大し、資金繰りが圧迫されます。
現状の経営にかかる支出をきちんと考慮した上で無理のない設備投資までに留めることも経営者の務めです。

 

2ー7 後払いを活用する

最近では個人向けだけでなく会社向けの後払いシステムも登場したので、支払い期日の近い債務の資金繰りで苦しい場合にはなるべく後払いを活用してみるのもいいでしょう。
ある程度までの金額であれば手数料無料で承ってくれるサービスもあるので、興味があれば一度検索してみることをおすすめします。

 

 

2ー8 給料日の締め日を調整する

会社で働く従業員の給料の支払いも毎月発生するものですが、このサイクルが極端に短いと資金繰りが苦しくなった時点で支払いが滞ることも十分考えられます。
一般的には25〜30日のサイクルに調整すると資金繰りもしやすくなると言われているので、従業員の給料をカットせずに何とかしたいと考えている場合にはまずは給料日の締め日と支払日のサイクルから見直してみるといいでしょう。

 

2ー9 スマホ決済を利用する

国内ではクレジットカードでの決済が主流ですが、最近では若齢層を中心としてスマホ決済の利用率が高まりつつあります。
クレジットカードであれば最長一ヶ月半後の回収にもなりえますが、スマホ決済であれば最短で翌日には売上金が回収できます。
自店舗で商品を販売しているのであればスマホ決済を導入してみると便利かもしれません。

 

 

まとめ

会社の経営において資金繰りが重要だからこそ、黒字経営に見える状態でも一歩間違えると支払いが滞りついには倒産してしまうということにもなりかねません。
この記事で紹介した鉄則も簡単に実践できるものから時間がかかるものまで様々ですが、何も全てを網羅する必要はありません。

自身の会社の状況に合った対策を徐々にでも講じることで書類上の黒字化だけではなく、お金の収支も安定した黒字経営が実現できます。
緊急時になってから慌てないためにも、まずは予備知識として覚えることから始めてみてはいかがでしょうか。

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