はじめに
これまでは会社に就職して定年まで働くというのが主流でしたが、時代が変わり国の制度も変わったために起業して働く若者が昔よりも増えてきました。自ら起業して自分の好きな業種や仕事内容をして働くことでお金を稼ぐ生き方が、徐々にではありますが若者の間で定着しつつあります。
そこで今回の記事では、若者が起業する際に頼るべき資金調達先について解説します。国の制度が変わりライフスタイルも変わったことで、若者でも起業しやすい環境が整った訳ですが、どこから資金調達すればいいのか悩む方も多いことと思います。この記事では起業する方に向けて、若者が主に利用しやすい資金調達先について挙げてみました。
1章:若者はなぜ起業するのか
これまでであれば同じ会社にできるだけ長く勤めて定年を迎えるという働き方が主流でしたが、現在では国や地方自治体が経済を発展させるためにと起業家に向けた公的援助を大々的に行うようになりました。すると20〜30代の間にも起業する若者が増え、今では自ら起業して働くという海外のものに近いライフスタイルを選ぶ若者の姿も定着してきました。中には10代のうちから起業する学生もいるほどで、起業するタイミングが早ければ早いほど将来のための資金を稼ぎやすくなっているのです。
また、最近では若者が起業する姿に感化されたシニア世代でも起業家が増えており、定年を迎える前に自分のやりたい仕事を手に入れようとする方も実際にいます。これもひとえに、国が実施する起業家に対する公的援助の賜物なのですが、詳しくは後ほど解説するのでここではその種類や内容については割愛します。
これまでは自分自身に資金がなければ起業できない状態でしたが、公的援助が充実してかつ起業して働くというライフスタイルが浸透してきた今であればこそ、若者のうちから起業して働くという選択肢も選びやすくなっています。
ただ実際に起業して働いたことがない方にとっては、自分が得られるメリットがあるのかという点が気になるところです。次章では若者が起業する具体的なメリットについて解説していきます。
2章:若者が起業するメリットとは
若者が起業することでいくつかのメリットが受けられるのですが、具体的な内容としては以下のものが挙げられます。
2ー1 支援体制が整っている
前章でも述べたように、今では国や地方自治体が起業する若者への支援体制を整えた状態にあります。公的援助の具体例としてよく聞く日本政策金融公庫以外でも、最近ではインターネットを介して資金調達に役立てるクラウドファンディングという方法も主流になりつつあります。国や地方自治体、さらには一般市民が起業家を支援する環境が整ってきたために、これからは若者でも起業しやすい風潮があると言えるでしょう。
2ー2 独創的なアイデアが浮かびやすい
昔に比べてインターネットが普及したことにより、様々な情報を一挙に収集できるような時代になりました。既存の業種や仕事内容に付加価値を見出し起業することもできれば、誰も今までに挑戦したことのないような業種や仕事内容で自らが先駆者となることもできます。老化現象により思考が徐々に凝り固まる前だからこそ、若者は独創的なアイデアが浮かびやすいと言えます。そのアイデア一つで起業して成功を収める若者というのも少なくないもので、目まぐるしく変遷する時代だからこそ若者の方が柔軟に動きやすく、従来の形にとらわれることなく自分自身のやりたい仕事で働くことができます。
2ー3 自分のことだけに専念できる
例えばシニア世代のように、若者よりも年齢が上の世代が起業しようとした場合、親がいればいずれは介護しなければならず、軌道に乗る前に頓挫させられることもあるかもしれません。あるいは自分の体にガタが来て病気になり、せっかく起業したばかりでも思うように働けず悔しい思いをさせられることもあるはずです。
その一方で、若者の場合では親の介護や加齢による心身の不調のようなトラブルが起きにくく、自分を縛るしがらみに頭を悩ませることなく自分がやりたい仕事だけに専念することができます。自分のことだけに専念して生きられるのも人によっては短い時間だけであるために、若者のうちから起業して駆け出しの頃ほど集中して取り組んだ方が結果的に、努力が実を結びやすいものです。
2ー4 失敗しても取り返しがつく
これまでの風潮では40代以降に転職するとなると再就職先が思うように決まらず、中年以降では心機一転仕事を変えようとしても潰しがきかないことがよくありました。仮に若いうちに起業した末にその会社が失敗に終わったとしても、若者であれば取り返しがつくものです。また、その失敗した経験を活かして新たな仕事に挑戦することもできます。若者のうちに起業することで軌道転換もしやすいですし、人生を棒に振るような事態にはなりにくいと考えられます。
2ー5 自由に自分の時間を使える
会社に就職して雇われて働く場合には好きなタイミングで休みを取るのも一苦労で、思うように休めないといったことにもなりやすいです。
しかし、自ら起業して会社の経営者になれば、自分が休みたいタイミングできちんと休めるようになり、その分自由な時間の使い方をすることができます。自分の時間が確保できれば趣味に費やしたり家族との時間を大切にできますし、なるべくストレスを軽減しながら快適に働くことにつながっていきます。未だに過労死が多く嫌々ながら仕事するサラリーマンが多い時代だからこそ、いっそ起業して自由な生き方を選ぶ方が気楽なのかもしれません。
ここで挙げたメリットはほんの一例で、自分が実際に起業した上で実感できる別のメリットというのもおそらくあるはずです。これらのメリットを確認した上で起業への意識が高まったのであれば、次章以降で起業するために必要な具体的な情報を頭に入れていきましょう。
3章:若者が頼るべき資金調達先とは
会社に縛られない自由な生き方に憧れて起業することは良いことですが、先立つ物がなければ会社を設立することもままなりません。この章ではタイトルにもなっている、若者が起業する際に頼るべき資金調達先について解説していきます。
3ー1 日本政策金融公庫
日本国内でも公的援助を行う機関は数多くありますが、その中でもまず融資先として頼りたいのが日本政策金融公庫です。日本政策金融公庫では起業したいと考える若者を支援するべく、以下のような制度を実施しています。
①新規開業資金
新規で起業する方や起業して7年以内の方であれば、新規開業資金を利用することができます。これについては使用目的によって金額が異なり、運転資金は4,800万円まで、設備資金では7,200万円まで融資を受けることができます。
②女性、若者/シニア起業家支援資金
これも起業家を支援する制度ではあるのですが、申請者についていくつかの条件が設けられています。具体的には女性や30歳までの若者、あるいは55歳以上の壮年以降の方のみが利用可能となっています。金額については①の時と同様で、運転資金では4,800万円まで、設備資金では7,200万円まで融資を受けることができます。
③中小企業経営力強化資金
日本政策金融公庫が指定する外部専門家から、種々のアドバイスを受けている場合に利用可能な制度となります。金額については上記の制度同様で運転資金では4,800万円まで、設備資金では7,200万円まで融資を受けることができます。
④新創業融資制度
起業時点から受けられる融資の一種であり、3,000万円を限度額としており1.21〜2.85%という低金利で融資を受けられます。
⑤再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)
これは少し特殊な場合に利用できる制度で、過去に廃業歴のある方が新たに起業する際に利用できます。その前提がある状況で新たに起業する方や起業して7年以内の方が対象で、運転資金は4,800万円まで、設備資金では7,200万円まで融資を受けることができます。
起業して間もない会社では金融機関から融資を断られる可能性もかなり高い一方で、日本政策金融公庫であれば融資を受けられる可能性が比較的高いと言えるでしょう。日本政策金融公庫の中でも新創業融資制度は審査基準が厳しいため、申請したからといって必ずしも融資を受けられる訳ではありません。
ただ、後述する消費者金融よりかは低金利で融資を受けられるため、検討する価値は十分あると言えるでしょう。
3ー2 クラウドファンディング
これは元々海外から広まった資金調達の方法なのですが、専用サイトを介して不特定多数のユーザーに自分が起業する会社のPRを行うことで、その賛同者から資金を募る方法となります。クラウドファンディングでは独創的かつ魅力的なアイデアをいかにリアルタイムでうまくPRできるかが問われるため、演出の仕方に自信のある方であれば活用しやすい方法ではあります。
3ー3 国による創業補助金
国が実施している創業補助金にはいくつかの種類がありますが、簡単にその内容について確認すると以下のようなものがあります。
①地域需要創造型起業・創業促進補助金
各地域に存在するニーズを満たす可能性のある商品やサービスを提供できる見込みのある会社、あるいは求職者に対して職を与えられる会社への補助金となります。
②第二創業促進補助金
起業する際もしくは親の会社を継承する際に利用できる補助金となります。一般的に創業補助金と称されるものであり、補助金の金額としては100〜200万円あるいは3分の2程度を補助してくれます。この第二創業促進補助金では起業の際以外には廃業時にも利用することができ、廃業のための費用として800万円を受け取ることができます。
③海外需要獲得型起業・創業補助金
海外進出を視野に入れて起業したい場合には海外需要獲得型起業・創業補助金が利用できます。これは起業前にでも利用可能な点が特徴的です。ただ、あくまでも海外進出のために国内事業を展開することを支援する補助金なので、海外でのみ事業を展開したい方が利用できるものではないので注意しましょう。
補助金は融資のように返済義務がないため、そのお金は自由に資金を利用することができます。しかし補助金は審査基準が厳しく、条件にうまく合致しなければ受け取れない場合もあります。
国の補助金についてどういった内容のものがあるのか気になった方は、「中小企業基盤整備機構」の公式ホームページを覗いてみることをおすすめします。
3ー4 ベンチャーキャピタル
最近では未上場企業に対して投資を行い、上場した際に収益を得る投資ファンド会社というものも現れています。こうした会社は、将来性がありなおかつ新事業を手がけるベンチャー会社に投資を行う傾向にあります。自分自身が起業したい会社がそういった基準に該当すればベンチャーキャピタルを利用することも可能ですが、審査基準が厳しいことが多々あり、申請したからといって必ずしも制度を利用できる訳ではありません。
4章:起業時こそノンバンクは頼るべきではない
起業する際の資金調達先にも色々と思いつくところがあるかと思いますが、起業したての時は特に消費者金融のようなノンバンクを頼るべきではないでしょう。ノンバンクは先程紹介した日本政策金融公庫や銀行よりも金利が高く、いくら起業のための資金調達ができたからといって後々になって返済に追われることは目に見えています。
これは銀行が提供するビジネスローンについても言えることですが、起業してから会社が十分に成長するまでは高金利でお金を借りる方法は控えた方がいいかもしれません。そうした高金利のお金を起業資金として使うのであれば、少し時間がかかってでも自分で稼いだお金を起業資金もしくは運転資金として充てることをおすすめします。余裕を見て会社が軌道に乗るまでの一年間分の運転資金が確保できればいいですが、どうしても無理な場合であれば最低3ヶ月分のお金を工面できるように準備しておくことが望ましいです。
まとめ
起業する際にかかるお金を全額実費で工面するのはなかなか難しいかもしれませんが、必要最低限のその一部くらいは自力でまかなえるだけの余剰のお金は準備しておいた方がいいでしょう。この記事で挙げた方法以外にも資金調達する方法は探せば色々とあります。
それぞれの方法のどれを適用するかは、企業のおかれているフェーズや時期的なタイミング、業種、企業の規模など、多くの条件が最適な方法を選べるか否かに関わってきます。
自社が各条件でどれに当てはまるのか、はっきりと答えられない経営者のために、資金調達マスターでは無料でご相談を受け付けています。
資金調達の方法だけでなく、それぞれの調達方法に適した弁護士、税理士、社労士のご紹介も可能ですので、まずはフォームよりお問い合わせください。