銀行融資
2019/10/31
イメージだけでメインバンクを決めるのはNG!銀行融資先の選び方とは
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はじめに
一昔前まではメインバンクとの取引に重点を置き、他行の銀行とは積極的に取引すべきではないという考え方が主流でした。しかし時代が変わり審査の手順やスコアリングシステムなどがマニュアル化された現在では、メインバンク一本だけで銀行融資を行なってしまうことで、会社側が多くのデメリットを被るリスクが高くなりました。
この記事では正しいメインバンクの選び方と、メインバンク以外と取引することのメリットについて解説します。特にこの記事では中小企業を対象にして話を進めるので、中小企業の経営者の方におすすめです。
1.銀行の規模と融資先の傾向とは
メインバンクの選び方について触れる前に、この章ではまず各銀行の大まかな規模と融資先を選ぶ際の傾向について紹介しておきます。銀行によっても規模があり優先したがる融資先が異なる訳ですが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
1-1.都市銀行
都市部および地方都市の県庁所在地近辺に支店が配置されることの多いメガバンクは、「都市銀行」と呼ばれています。中でも三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3つについては、特に規模が大きいことから「メガバンク」と呼ばれることもあります。
都市銀行の場合では融資担当者として会社の窓口になる銀行マンが一人で担当する企業数が多く、売上の規模としても30億円前後は必要であると言われています。そのため中小企業がメインバンクとして取引するには不向きであり、融資額が小さい、あるいは財務内容が芳しくなく売上も小さいとなると、丁寧な対応をしてもらえることの方が稀です。都市銀行としても融資額の大きな企業を優先するため、そういった意味でも中小企業がメインバンクとするには不向きと言えそうです。
1-2.地方銀行
本店所在地のある都道府県およびその隣接地域を中心に支店を展開するのが、「地方銀行」と呼ばれる銀行になります。地方銀行でも「第一地方銀行」と「第二地方銀行」とがあり、第一地方銀行は比較的規模の大きい地元の中小企業を、第二地方銀行はそれより規模の小さい中小企業との取引が中心です。第一地方銀行よりも規模の小さい中小企業との取引が中心になる第二地方銀行では、顧客の新規開拓のために積極的な営業活動を行う場合もあり、好条件でお金を借りられる可能性もあります。どちらを選ぶにせよ、中小企業にとって重要な取引先になることには変わりありません。
1-3.信用金庫および信用組合
特定の市町村とその隣接地域のみに限定して支店を展開しているのが、信用金庫および信用組合です。信用金庫と信用組合の違いと言えば、信用組合の方が規模が小さく営業をかける地域がより狭まったイメージです。融資額こそ都市銀行や地方銀行よりも少額であるものの、個人事業主や小規模事業者にも丁寧な対応で応じてくれることが期待できます。事業を始めて間もない中小企業であればこちらもおすすめです。
銀行の規模によっても融資先として選ぶ企業の規模が異なるため、「都市銀行=融資してもらえる金額が大きい」というイメージだけで取引先として選んでしまうのは大きな間違いです。規模の大きい銀行ほど融資額の大きい企業を優先する傾向にあるので、中小企業の場合では地方銀行や信用金庫などを選んでおいた方がより丁寧な対応をしてもらえる可能性が高くなります。
2.メインバンク一本で取引するリスクとは
一昔前であればメインバンク一本だけに絞り取引を継続することが当たり前でしたが、このようなやり方をしていてはメインバンクからの融資が途絶えた時にお金をどこから調達するかという問題で大変頭を悩まされるはずです。中には「メインバンクとの取引がなくなっても、他の銀行を当たればいいだけ」と考える方もいるかもしれませんが、これはこれで問題です。
他の銀行からしても普通はメインバンクから融資を受けるだろうと考えるため、メインバンクからの融資がない状態で新規融資を申し込んできた企業に対してはかなり慎重になります。「メインバンクが融資を断るほどの重大な問題を抱えているのではないか」と疑われることになり、よほどのことがない限りは融資してもらえないと思った方がいいでしょう。
また自社からしたらメインバンクだと思っていても、銀行の融資担当者からすれば数ある担当企業のうちの一つに過ぎません。つまりより融資額の大きい企業が現れればそちらを優先しますし、財務内容が悪くなり赤字経営にもなればあっさりと切り捨てられるリスクも十分考えられます。
資金調達先として一箇所にばかり固執してしまうと上記のようなリスクを抱えることになり、企業にとって何のメリットもありません。そうならないためにも、メインバンク以外の取引先というのを複数作っておくに越したことはありません。
3.メインバンク以外と取引するメリットとは
メインバンクとの関係性を考えてそれ以外の取引を作らないという時代は終わり、今では多くの企業が複数の銀行と取引を行なっています。前章ではメインバンクのみに絞るリスクについて触れたので、この章ではメインバンク以外と取引するメリットについて触れておきましょう。
3-1.リスク分散できる
メインバンク一本だけでは万が一の時に資金調達できなくなりますが、メインバンク以外と取引していればリスク分散にも役立ちます。複数の銀行と関係を作っておけば、メインバンクから融資を断られた時でも資金調達できるので非常に便利です。
3-2.返済実績をより多く作れる
銀行は新規融資を希望する企業について慎重に判断する傾向にあります。そのため経営状態が良い時から返済実績を作っておけば、いざという時にも融資してもらえる可能性が高くなります。また多くの返済実績があれば第三者からの評価も向上するため、作っておいて損はありません。
3-3.銀行間で競争させられる
安定的に収益を上げなおかつ返済も滞らないような企業であれば、銀行としても長期的に取引をしておきたいと考えるはずです。銀行側から取引を続けていきたいと思える企業であれば、銀行間で競争させることも可能です。銀行間で競争してくれれば会社としてはより好条件でお金を借りられます。
メインバンク以外にも複数の銀行と取引しておくだけで、上記のようなメリットがあります。ただし銀行はシビアな対応をしてくることが予想されるため、返済実績を作るのであれば経営状態の良い時から地道に行っていくことが肝心です。
4.ノンバンクからお金を借りるメリットデメリット
銀行融資でお金を借りることを前提に解説してきましたが、もちろん銀行融資以外の方法を利用して資金調達していくことも大切です。融資という形に関して言えば、ノンバンクからお金を借りるという方法もあります。この章では最後に、ノンバンクからお金を借りるメリットとデメリットについて解説しておきます。
4-1.ノンバンクからお金を借りるメリット
まずノンバンクからお金を借りるメリットについては以下の通りです。
①審査のハードルが低い
銀行融資では審査に通過すること自体のハードルが高く、審査の時点で何度も失敗してしまう企業も少なくありません。その一方でノンバンクであれば、審査のハードルが低いため審査落ちしてしまう可能性はほぼありません。
②希望額が通りやすい
銀行融資の場合では融資希望額よりも減額されてしまうこともしばしばありますが、その点ノンバンクでは希望額が通りやすい傾向にあります。
③融資までのスピードが早い
銀行融資では審査から融資開始までに最低でも1ヶ月はかかるのに対し、ノンバンクであれば融資までのスピードが早いためつなぎ資金の確保にも便利です。会社によっては最短即日で貸し出してくれるところもあり、スピードに関してはノンバンクの方が優れています。
4-2.ノンバンクからお金を借りるデメリット
それに対してノンバンクからお金を借りるデメリットについては以下の通りです。
①金利が高い
銀行であれば低金利でお金を借りられるというメリットがある一方で、ノンバンクでは金利が割高に設定されています。3〜18%と金利設定にも幅があるため、金利次第では銀行で借りるよりも返済が厳しくなる可能性が高くなります。
②資金繰りが圧迫されやすい
前述した通りノンバンクでは金利設定が割高であるため、場合によっては会社の資金繰りが圧迫されやすくなります。そのためノンバンクを利用する際に高額を借りてしまうことはあまりおすすめできません。
③返済が長引く可能性がある
金利が高いほど元金に戻る割合が少なくなるため、銀行融資と比較するとノンバンクの方が返済が長引く可能性は否めません。返済期間が長引けば余分なお金がかさんでしまうため、その点は事前に理解しておいた方がいいでしょう。
ノンバンクは利便性が高いものの金利が割高であるというデメリットが大きいため、長期的に使う資金調達の方法としては不向きです。ただしスピードの早さという利便性もあるので、短期的な資金調達に留める場合であれば有効です。ノンバンクでお金を借りるのはあくまでも最終手段としてとっておき、日頃は銀行融資やそれ以外の方法で資金調達しておくのが無難です。
まとめ
メインバンクを設定して融資を受けるのもいいですが、それ以外の銀行とも少額程度で並行して取引しておくことで万が一のリスクにも備えやすくなります。銀行融資にかかる時間については以下の記事に詳しくまとめられているため、参考にするといいでしょう。
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