ファクタリング
2019/08/30
建設業で手形取引を行う際の注意点とファクタリングの優位性とは
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はじめに
建設業は工事着工から建設物の完成までにかなりの時間を要することから、出来高報酬での支払いが一般的になっています。ただ発注元や元請会社によっては、「報酬を手形で支払いたい」と持ち掛けられる場合もあるでしょう。日本国内で企業同士の取引において度々登場する手形という言葉ですが、皆さんは手形についてどの程度の知識を持っているでしょうか。
この記事では実際に手形取引を行う際の注意点と、同じく建設業での資金調達の方法として知られるファクタリングの優位性について解説します。またこの記事では以下の記事を参考にしています。手形とファクタリングについて比較しながら知識を身につけたいという方は、そちらも確認するといいでしょう。
▼参考記事▼
1.手形取引の概要
手形取引を行う際の注意点について解説する前に、この章ではまず手形取引とはそもそもどういった仕組みであるのかについて触れておきます。
一般的には手形と省略され呼ばれることが多いですが、正式には「約束手形」と言います。この手形とは「特定の支払期日を事前に指定してなおかつ、特定の金額が確実に支払われることを金融機関を通じて確約する有価証券」のことを指します。つまり後払い式の金券という訳です。
発注元の企業や建設業の元請会社においても言えることですが、仕事の報酬を支払うための資金が手元にないタイミングというのも実際にあります。そうした状況で報酬を現金で支払うとなると会社にとっても負担となり、場合によっては一時的な資金ショートに陥るリスクも考えられます。
そこで報酬を支払う側の会社は報酬を支払えるだけの資金が入ってくるタイミングを見越し、その時期に合わせて手形を振り出して取引先に渡してきます。そして手形を受け取った下請会社はその支払期日になった時点で初めて、報酬を受け取ることができるようになります。
手形は報酬の支払い元である会社が支払期日を先送りにするため利用する方法です。そのため手形取引での仕事を請け負った場合には、基本的に1〜4ヶ月程度の支払い期間が設けられることになります。
また性質が類似する有価証券として小切手もありますが、小切手の場合では金融機関に持ち込めば即座に現金化できる点が大きく違います。ここまでの内容だけでも、手形による報酬の支払いではかなりの期間が空いてしまうことが確認できるはずです。
2.手形取引を行う際の注意点とは
前章では手形の主な特徴について述べましたが、実際に手形取引を行うとなるとどのような点に注意するべきなのでしょうか。手形そのものに関する基礎知識を元に、次は手形取引を行う際の注意点についても併せて確認しておきましょう。
2-1.手形の記載事項をよく確認する
一昔前よりも手形取引を選択する会社は減少傾向にあるものの、2016年時点の手形交換高はおよそ420兆円とかなりの高水準を維持しています。だからこそ建設業で働く関係者であれば、なおのこと手形取引の注意点を知っておく必要があります。
手形取引では報酬を支払う側である振出人が受け取り側である名宛人に対して、一定の期間後に報酬の支払いを約束することになります。ただ売掛金の支払いが口約束だけでは心もとないため、売掛金の約束を詳細に明記した物が手形であると言い換えることもできます。
そのため支払い元の会社から手形を受け取った際には、以下の項目が記載されているか事前に確認しておく必要があります。
・「約束手形」という文言
・名宛人の名称
・西暦か和暦入りの支払期日
・支払い先である銀行の所在地
・支払い予定の金額
・支払いを確約する旨の文章
・手形の振出し日および振出し地
・会社名や代表者氏名、振出人の銀行届出印
・消印が押された印紙
振出人である会社の名称や代表者氏名で登録された銀行印と、手形に押印された印鑑とがそれぞれ異なる場合には、そのお金は支払われないことになってしまうので注意が必要です。また支払いを確約する旨の文章についても、「条件付き」などのような文言が別に記載されていないか入念に確認しておく必要があるでしょう。
2-2.支払期日からの猶予が短い
手形取引では支払う側の会社が指定した期日までの期間は割と長いものの、実は支払期日からの猶予というのがかなり短く限定されています。ここで言う支払期日からの猶予とは、支払期日の当日を含めた金融機関の3営業日のことを指します。その期間中に支払先に指定されている金融機関へと取立依頼ができなければ、最悪の場合にはその入金がなくなってしまうことにもなりかねません。
2-3.電子手形であれば紙媒体よりも負担が少ない
国内で昔から取り扱われてきた手形は紙媒体でしたが、2009年11月から徐々に電子手形が浸透しつつあります。この電子手形であれば盗難や紛失のリスクも一切ありませんし、何より金融機関に取り立てをしなくても支払期日になれば自動的に金融機関より入金が行われることになります。また「分割割引・分割譲渡」という取引方法もあり、1,000円以上であれば1円単位から手形の金額のうち一部を現金化することも可能になりました。
紙媒体に比べてずいぶんと便利な電子手形ではありますが、利用する際は法人向けネットバンクおよび電子決済の利用審査を金融機関から事前に受ける必要があります。報酬の受け取り側である会社にとってメリットの多い手形となっているため、手形取引を持ち掛けられた際には電子手形による取引が可能かどうか確認してみるのもおすすめです。
2-4.手形の支払い期間が120日以内であるか
特定建設業者に認定されている会社であれば割引困難な手形での報酬の支払いは禁止されていますが、多くの建設会社が特定建設業者ではないはずです。その場合には報酬の受け取り側である会社が支払期日までの間、当面の資金繰りで不利益を被ることが容易に予想されます。そのため公正取引委員会では2016年12月に、下記のような内容で下請会社へ配慮するよう促しています。
「・下請代金の支払いはできる限り現金で行うこと
・手形割引料のコストを受取人が負担することのないよう、下請代金の額を親事業者と下請業者が十分協議すること
・支払手形サイトは、繊維業90日以内、その他業種120日以内とし、将来的には60日以内とするよう努めること」
そのため建設業については120日以内での報酬の支払いが望ましいとされており、手形を受け取った際には支払期日が120日以内であるかも併せて確認しておいた方がいいでしょう。
3.ファクタリングの優位性とは
ここまで手形に関する内容を主に取り上げてきましたが、実際に手形取引を行った場合であってもその指定された支払期日までに会社の資金繰りが悪化してしまうことがしばしばあります。そこで短期的に資金繰りを改善する方法として近年利用されることが多いのが、売掛債権を現金化するファクタリングという方法です。
この章では最後に、手形取引でのリスクを補いうるファクタリングの優位性について紹介しておきます。
3-1.ファクタリングの概要
この章の冒頭でも触れた通り、ファクタリングとは自社の売掛債権を現金化して資金調達する方法のことを指します。さらに細かく言えば、ファクタリング会社という専門会社に自社の売掛債権をあらかじめ買い取ってもらい、後日その売掛金をファクタリング会社に支払うというのが主な利用の流れです。
手形を受け取った時点で将来的に報酬を受け取れるという約束はあるものの、実際にその支払期日までの間に取引先である振出人の経営状態が悪化しないとも限りません。万が一にも倒産してしまったら、その報酬を受け取ることはまず叶いません。これを「手形の不渡りリスク」と呼びますが、そのリスクを回避する方法としてもファクタリングは適しています。
またファクタリングでは自社とファクタリング会社のみで取引を完結させる2社間ファクタリングか、あるいは取引先も含めた3社間ファクタリングを選択するかでもその利用手数料が大きく変わってくることは事前に知っておくべきでしょう。
3-2.ファクタリングのメリット
ファクタリングのメリットとしては以下の内容が挙げられます。
①融資ではないため担保不要
②審査基準が売掛債権の取引先に重きを置かれる
③自社が赤字経営をしていても利用可能な場合がある
④取引先が後に倒産した場合でも、ファクタリングの資金を返還しなくていい
⑤負債が増える訳ではないので、金融機関からの評価が良くなる
④のメリットについては、償還請求権なしのファクタリング会社をあらかじめ選んでおくことで恩恵に預かることができます。融資の場合とは違い審査基準がそれほど厳しくないため、近年になりファクタリングを利用して資金繰りを改善しようとする建設会社が徐々に増えています。
3-3.ファクタリングのデメリット
対するファクタリングのデメリットとしては以下の内容が挙げられます。
①2社間ファクタリングの利用手数料が約10〜30%と割高
②月商以上の資金調達には適さない
③初回取引に限り買取金額の上限が設定されている
④3社間ファクタリングでは取引先の同意がなければ、ファクタリングを行えない
どのような資金調達の方法にもメリットとデメリットがあるものですが、ファクタリングの場合では選択する方法によっては利用手数料が高くつくこと、ファクタリング会社の利用条件によって何らかの制限を受けることなどが挙げられます。ファクタリングの利用を検討する際にはメリットとデメリットの両側面に十分考慮し、いかに出費を最小限にしながら資金調達に役立てるかを考える必要があるでしょう。
4.ファクタリングと電子売掛債権の違いとは
ここまで手形取引と比較したファクタリングの優位性について解説してきましたが、売掛債権の形式は実は紙媒体だけではありません。実際にデータベースで保存される「電子記録債権」というものもあり、電子記録債権の場合であればパソコンやスマートフォンからでも債権の取引ができます。通称「でんさい」とも呼ばれる電子記録債権は、利用次第では非常に便利な資金調達の方法として重宝するはずです。
この章では次に、ファクタリングとでんさいの違いについて簡単に紹介しておきます。
4-1.でんさいとは何か
電子記録債権という正式名称でもあるでんさいは、いわゆる手形や売掛債権を電子データ化したものです。例えば紙媒体のままでは盗難や紛失のリスクがありますし、さらには管理維持費や印紙代が別途かかることにもなります。
その点でんさいであれば銀行や信用金庫などの「でんさいネット」を通じて利用可能ですし、ネット上での維持管理となるため経費削減にも役立てられます。紙媒体の手形や売掛債権のリスクをなくした新形態の債権、それがでんさいです。
4-2.でんさいを利用するには
でんさいを会社で導入しようとした場合、一般社団法人全国銀行協会が設立した「でんさいネット」に加入する必要があります。基本的にはでんさいを利用可能な金融機関を通して審査を受ける必要がありますが、よほどのことがなければ審査落ちする可能性は低いと言えます。
ただし手形の場合でも同様ですが、支払不能に2回陥った場合であれば2年間の取引停止処分が下されます。この点は注意しましょう。
4-3.でんさいの主な流れ
ここででんさいがどのような流れで形作られ電子データとしてどこに保存されるのか、その概要についても確認しておきます。
①でんさいネットへの加入
前述したように、でんさいを利用したいと考えた場合にはまずでんさいネットへの加入を済ませる必要があります。
②でんさいの発生
取引先の金融機関を通じてでんさいネットにアクセスしたら、その記録原簿に「発生記録」を書き込みます。これにより初めてでんさいが発生します。
③でんさいの譲渡
またでんさいを譲渡したい場合であれば、同じくでんさいネットの記録原簿に「譲渡記録」を残します。この記録を書き込むことででんさいの譲渡を行いますが、でんさいの場合では債権金額を分割しての譲渡も可能です。
④でんさいの決済
でんさいの支払い期日になると、支払い先としてあらかじめ指定されている取引先の銀行口座から、同じく設定済みの自社の銀行口座へと払い込みが自動的に行われます。この払い込みについてもでんさいネット上で「支払等記録」が書き込まれるため、支払いの履歴もまた電子データとして残ります。
また手形の場合では支払われた当日の利用は難しいことが多いですが、でんさいの場合では支払期日の当日からでもお金を下ろして利用することができます。
売掛債権の取引の全てで記録が残されなおかつ紙媒体のようにかさばることもないでんさいは、これだけ見ればメリットの非常に多い取引であると思えます。しかし実際にはいくつかのデメリットも存在し、会社ででんさいを導入する場合にはデメリットも踏まえた上での検討が求められます。
4-4.でんさいのデメリット
でんさいを利用する最大のデメリットと言えば、やはり取引先が債務不履行になると資金回収ができなくなる点が挙げられます。ただ売掛金を予定通り回収できない、支払遅延が起こっているという場合にはファクタリングの利用で資金不足をカバーできるかもしれません。
現にキャッシュフローが一時的にショートしてしまうことで、結果的に黒字倒産してしまう会社もあります。資金繰りが上手くいかず会社ごと倒れてしまってはどうしようもないので、そうなる前にファクタリングを利用して売掛債権の早期回収を図るのも一つの方法です。
4-5.でんさいに保証はあるか
売掛債権を電子データ化したでんさいを利用する上でのもう一つの注意点、それが支払いの保証についてです。でんさいの場合では譲渡する側の会社が保証人となるため、そのでんさいが債務不履行になった場合には譲渡した会社で支払い義務を負わなければなりません。しかしその点ファクタリングでは売掛債権を買い取るファクタリング会社が債権の保証人扱いとなるため、利用会社に支払い義務が発生することはありません。
保証という観点で言えば、でんさいを利用することで財務諸表の数値が悪影響を受けるリスクは十分考えられます。
ただ近年は、各種金融機関で「でんさいファクタリング」というサービスが提供されるようになりました。ファクタリング会社の役割を金融機関が果たしている点で違うものの、基本的にはファクタリングの仕組みとあまり変わりません。つまりでんさいの保証は金融機関が担保してくれるため、でんさいの支払責任を負わずかつ早期回収を図りたい場合にはでんさいファクタリングを利用するというのもいいでしょう。
まとめ
手形の主流が紙媒体から電子媒体へと変遷していく中で、報酬を受け取る側である会社が被る不利益がいくらか軽減されつつあります。ただしそうは言っても、取引先によっては紙媒体での手形を指定されることももちろんあるはずです。
そうした場合にはファクタリングという方法が有効であることを念頭に置き、報酬が支払われるまでの間に資金繰りを悪化させないよう、会社のキャッシュフローを考慮した資金調達を行うことが望まれます。