ファクタリング
2020/03/26
新型コロナの影響で不況に悩むイベント会社の現状とその対策とは
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はじめに
昨年の12月以降に中国の武漢市から始まり世界的に大流行している新型コロナの影響は、国内外のさまざまな場所で見られるようになりました。特に政府によってイベント自粛、さらには大規模イベントの中止が呼びかけられたことにより、イベント会社はかなりの大打撃を受けている真っ最中と言えます。そんなイベント会社では実際に、会社の資金繰りが危うくなった結果として倒産してしまうケースも出てきています。新型コロナが猛威を振るい見通しが立たない現状であればこそ、会社として生き残るための大きな決断を迫られていると言えそうです。
この記事では新型コロナの悪影響に晒され続けるイベント会社の現状と、その対策について順に解説します。
1.新型コロナの影響下にあるイベント会社の未曾有の「不況」とは
中国の武漢市から端を発して今では世界中に蔓延するまでになった新型コロナウイルスですが、特効薬の未だ見つからない感染症の大流行により、さまざまな業界が悪影響を受けています。中でも大多数の人々が集まるイベントを開催するイベント会社は顕著に悪影響を受けた業界の一つと言っていいでしょう。
この章ではまずイベント会社の現状について把握するために、各イベント会社の具体例とともにその実態を見ていきましょう。
1-1.日本での新型コロナに関する動向とは
2019年12月以降に武漢市で発生した新型コロナが日本に入ってきたのは、翌年の2020年1月のことでした。15日に武漢市に渡航歴のある患者から新型コロナが発見されて以降、国内においても次々と患者が発見されるようになりました。
そんな状況から今年の2月には新型コロナが「指定感染症」として国から指定され、感染が確認された時点で強制的に入院を勧告できるなど、国全体として新型コロナに対応せざるを得ない状況へと発展するに至ります。また国内だけでなく海外でもマスクの買い占めによる慢性的な不足が問題視されており、国内では対策としてマスクの転売に対して罰金を課すという政令が閣議決定されました。
国として新型コロナに全面的に対応していく動きが日夜報道されていますが、こうした状況がいつ頃収束するのか、その先行きは未だ見えません。
1-2.ライブハウスでの集団感染のその後とは
今年の2月26日には政府によって大規模イベントの自粛要請が示された訳ですが、これにより各イベント会社は非常に困惑させられることになります。イベント中止ではなくあくまで「自粛」要請をされたことで、実質的な判断は現場に委ねられる形となりました。
仮にイベント中止となればチケットの販売分については払い戻し対応が必要になるだけでなく、借りていた会場には使用料を、出演者には違約金を別途支払う必要性が出てきます。大企業ともなれば話は別ですが、中小企業の場合ではその損害分を補填できるだけの資金的な余裕がないことの方が多いと考えられます。
損害分を支払えない中小企業ではイベントを中止する訳にもいかず、結果的に開催せざるを得ない状況へと追い込まれてしまいがちです。
そんな中で大阪府では計4カ所のライブハウスで集団感染が発生しており、今回の件だけで80人以上の感染者が出たとされています。3月19日時点でライブハウス経由での感染者が出なくなったことで、大阪府としては事態が収束したと判断したようです。
ただし現場となったライブハウスについては実際に再開の目処が立っておらず、収益はないながらも支出だけが毎月のようにかさんでしまう状況が続いています。小規模のライブハウスでは数ヶ月保つかどうかという部分もあり、現場からは政府に支援を求める声も上がっています。
1-3.集客イベント自粛の悪影響とは
新型コロナが国内で蔓延した影響により、3月2日には小中高校の全国一斉休校が実施されました。これにより開催予定だった卒業式が中止される事態に発展します。また同時期に開催予定だった企業イベントやコンサートなども中止される運びとなり、これによりイベント機材の貸し出しを行うイベント会社もまた大打撃を受けることになりました。
加えて厳密にはイベント会社ではないものの、集客イベントを行い収益を確保するリフォーム会社もまた新型コロナの蔓延により各種イベントを中止および延期しています。というのも国民全体でイベントへの参加を自粛する風潮が高まった今、会社としてイベント開催を宣言することで会社そのものの見識を疑われることにもなりかねません。
そうなると今後の会社のイメージダウンにつながることから、イベント業界のみならず集客イベントを自粛する会社が増えているのが現状です。
2.新型コロナへの対応策とは
ここまでイベント会社の窮状について具体例を挙げて見てきましたが、何の対策も打たないまま耐え抜ける企業というのもかなり少ないはずです。そうなると経営を維持するためにも何とか対策を講じる必要がある訳ですが、この章では次に新型コロナへの対応策としていくつか紹介していきます。
2-1.新型コロナウイルス感染症特別貸付・特別利子補給制度
新型コロナの蔓延により収益が激減したというイベント会社は数多いため、そうした場合に利用可能な資金調達法として「新型コロナウイルス感染症特別貸付・特別利子補給制度」があります。実際に融資を受けるための条件については下記の通りです。
①特別貸付の条件
前年比5%以上減少 等 【一般保証】
1.最近1か月の売上高が前年又は 前々年比5%以上減少 等
※個人事業主(小規模に限る)は, 定性的な説明でも柔軟に対応
② 特別利子補給制度の条件
1.個人事業主(小規模に限る) :要件なし
2.小規模事業者(法人事業者) :売上高▲15%減少
3中小企業者 (上記➀➁を除く事業者):売上高▲20%減少
運転資金もしくは設備資金のどちらでも融資を希望することができ、例えば国民事業であれば6,000万円まで、中小企業では3億円まで借りることも可能です。また運転資金については15年、設備資金には20年まで、いずれの場合も据え置き期間として5年間猶予されることになります。
大口の資金調達に役立てることもできてなおかつ担保も不要で、特別利子補給制度と併用すれば3年間は実質無利子でお金を借りることも可能です。新型コロナ関連で収益が急減したという場合にはぜひ活用したい融資制度の一つと言えるでしょう。
2-2.小規模事業者経営改善資金融資制度
この融資は別名「新型コロナウイルス対策マル経」とも呼ばれ、商工会などから指導を受けている小規模事業者であれば低金利で融資を受けられるというものです。上限額こそ1,000万円と少額ではあるものの、担保や保証人なしでお金を借りられるというメリットがあります。この融資の詳しい条件については下記の通りです。
・小規模事業者
・商工会等の経営指導員による指導を原則6か月以上 受けている
・最近1か月の売上高が前 年又は前々年比5%以上減少 など
またこの融資の場合では最初の3年間は0.31%、4年目以降は1.21%の利子に変動するため可能な限り短期間で返済できる金額に設定しておくのが望ましいでしょう。
2-3.BASEを利用した商品の販売促進
ネットショップ作成サービスを提供するBASE社では、イベント中止が相次ぐ中でイベント商品の販売を支援する取り組みを開始しました。具体的にはネットショップの開設支援やSNSの発信や広告の配信方法、さらには商品の認知度を高めるためのアドバイスなどを行っています。BASE社での募集期間は3月31日までとすでに締め切られてしまっていますが、今後もこのような状況が続くようであれば同様の支援策が打ち出される可能性はあります。
2-4.セーフティネット保証4号、5号
今回の新型コロナの蔓延により、政府はセーフティネット4号を新たに設立し、5号の対象業種をより広げる措置を講じました。これにより資金繰りに苦しむ中小企業でも資金調達しやすくなったと言えますが、そもそもセーフティネット保証とは何のことを指すのでしょうか。
セーフティネット保証とは「経営安定関連保証」とも呼ばれ、経営が不安定になっている中小企業の経営者を支援するべく、信用保証協会が通常とは別枠で債務を保証してくれる制度となっています。
セーフティネット保証を受けるためには各市町村で認定を受ける必要があり、新型コロナについては4号あるいは5号認定を受けることになるはずです。4号の場合では「突発的災害を受けた地域」の場合に該当し、また5号では「業況が悪化している業種」に該当する場合に限りセーフティネット保証を活用できます。
市区町村から認定を受けられた場合であれば、信用保証協会による一般保証とは別枠で4号ならその全額を、5号でも債務の80%を保証してもらえるようになります。また融資の上限額については2億8,000万円までとなっており、場合によっては大口で融資してもらえる可能性も十分考えられます。
今回のセーフティネット保証の条件変更により4号では47都道府県が対象になり、また基準緩和により起業して間もない事業者であっても融資を希望することができるようになりました。4号の対象事業者の条件については下記の通りです。
・指定地域において1年間以上継続して事業を行っていること
・最近1か月間の売上高が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること
また5号の場合では新型コロナ蔓延後にサービス業に属する40業種が新たに加えられ、現在では508種の業種が対象内となりました。具体的な条件については下記の通りです。
・指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間の売上高等※が前年同期比で5%以上減少していること
・指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%以上を占める原油等の仕入価格が20%以上上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていていない中小企業者
セーフティネット保証の認定基準が緩和されたことで、中小企業経営者についても融資のハードルが下がりました。詳しい違いについてはインターネットの情報を参考にしてみるといいでしょう。
まとめ
今回の記事で紹介した資金調達の方法については融資が主となるため、実際に利用を検討する場合には時間になるべく余裕を持って行動するようにしましょう。資金繰りが悪化して経営を立て直せなくなってからでは遅いので、その点は十分注意してください。