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2018/07/19
債務・借金の時効は、いったい何年?成立させるための条件は?
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時効。時効と聞いて思い浮かべるのは、何でしょうか。よくテレビで時効が何年というニュースを見ることがあるかもしれません。
しかし、実際に時効の意味をご存知でしょうか。
時効とは、「ある出来事から一定の期間が経過したことを主な法律要件として、現在の事実状態が法律上の根拠を有するものか否かを問わず、その事実状態に適合する権利または、法律関係が存在するという扱う制度、または、権利、法律関係が変動したと扱う制度」のことを言います。
実は、時効という一つの言葉でも様々な意味が含まれており、私・公法上だと取得時効や消滅時効、刑事上だと刑の時効や公訴の時効があります。
このように刑の時効だけではないのです。それでは、時効の種類について以下で説明させていただきます
「取得時効」と「消滅時効」
取得時効とは、「他人のものまたは、財産権を一定期間継続して占有、準占有する者にその権利を与える制度」のことです。
また、消滅時効とは、「一定期間、権利が行使されなかった場合にその権利を消滅させる制度」のことです。
このように単に時効という一つの言葉でも、様々な意味合いが含まれているのです。
ここで、お金に関わるのは、消滅時効になります。主に借金をした場合に債務者に行使されるのが、この時効になります。
債権者が一定の期間、債権を行使せずに放っておいた場合、その債権を消滅させてしまうということになります。
つまり、時効が成立した後に債権者が返済を要求したとしても法律上は、借金を返済する義務がなくなってしまうのです。
権利を一定期間行使しないと、行使することができなくなります。
これを消滅時効といいます。債権者が債務者に対して、借金を返済するように請求する権利についても、一定期間行使しないと時効にかかり、債務者が時効を援用すれば、債権者は権利を行使することができなくなります。
過去に貸金業者からお金を借りていたけど、返済しておらず、最近になって住民票を現住所に移転したら請求があったという場合には、有効な方法の一つです。
続いて、消滅時効の時効について説明させていただきます。
借金の消滅時効期間は?
借金は、弁済期、最後の返済から一定期間が経過すると消滅時効が成立します。その期間は、貸主か借主のいずれかが商法上の商人であれば、商事債権(商法522条)として5年となり、いずれも商人でない場合には一般的な債権として10年(民法167条)となります。
従って、消滅時効期間を判断する場合には、貸主か商人であるかどうかが重要になります。
なお、2020年に4月1日に施行される民法改正が行われた後には、商事債権の時効期間を5年と定めている商法522条の規定が削除され、商事債権であるかどうかに関わらず、債権者が権利を行使することができると知ったときから5年、権利を行使することができるときから10年間で時効となります。
債権の種類による消滅時効期間の違い
賃貸業者・消費者金融が貸主である場合
貸主が消費者金融など貸主業者である場合、貸金業者が会社なのか個人なのかで時効期間は異なります。
貸金業者が会社である場合の時効期間は5年、個人である場合の時効期間は、10年になります。
ただし、個人である貸金業者が貸主の場合であっても、商人の営業のための貸金については、商事債権となりますので、時効期間は5年となります。
例えば、個人事業主や会社が個人である貸金業者から事業資金を借り入れたのであれば、資金債権の時効期間は、5年です。
信用金庫が貸主である場合
「信用金庫の行う業務は、営利を目的とするものではないというべきであるから、信用金庫は商法上の商人には当たらないと解するのが相当である」とされており、信用金庫は商人ではないとされています。
よって、信用金庫が貸主で有る貸金の時効期間は、10年になります。
ただし、信用金庫が貸主の場合であっても、商人で有る会員のための賃金については商事債権となりますので、時効期間は5年となります。
例えば、個人事業主や会社が信用金庫から事業資金を借り入れたのであれば、資金債権の時効期間は5年になります。
銀行が貸主である場合
銀行は、会社であり商人となりますので、銀行が貸主である貸金の時効期間は5年になります。
住宅金融支援機構の住宅ローン
住宅金融支援機構は、商人ではありませんので、住宅金融支援機構の住宅ローンの時効期間は、10年になります。
保証協会の求償権
保証協会が主債務者に代わって債務の弁済を行なった場合、主債務者に対して、求償権を取得することになります。
そして、求償権の消滅時効は保証協会が代位弁済をした時点から進行します。
保証協会は商人ではないので、保証協会の求償権の時効期間は、通常の債権と同様に10年の期間となります。
ただし、保証協会が、商人である主債務者の委託に基づいて保障した場合は、求償権は商事債権となり、時効期間は5年となります
求償権とは?
ある人が他人との法律関係で不利益を受け、他方、その不利益の効果として第三者が利益を得た場合に、不利益を受けたものが損害賠償の形でその不利益を第三者から償還請求することのできる権利のことです。
例えば、連帯債務者の一人が債務者に弁済すると、この債務者は、内部負担の定めに従い、他の債務者に対して、求償を行うことができるといった制度を指します。
しかし、この期間がただ経過すればいいのではありません。時効を成立させるためには、時効の主張をする必要があるのです。そのことについては、次の章で説明させていただきます。
時効を成立させるには?
1億円の借金があったとしても、それをなくすことができる。そんなことが実際に可能なのでしょうか。
今までしてきた借金がなくなったとしたら、それは夢のような話ですよね。
この章では、その方法について、説明していきます。
借金には時効が存在するということを前の章でお伝えしました。
しかし、時効といっても、ただ時間が経つのを待てばいいという簡単なことではありません。
法律的に必要な基準を満たしていなければ時効を成立させることはできないのです。
では、時効を成立させるためには、どのような基準を満たせばいいのかについて解説していきます。
時効を成立させる上で、以下の二点が重要になります。
1、返済していない状態を何年か継続すること。
2、時効制度を利用することを貸主に伝えること。
以上の二点が時効を成立させる上で必要不可欠な条件となります。
時効を成立させる上で「時効の援用」を行う必要があります。
時効の援用とは債権者に対して時効が成立したことを主張し、消滅時効を行使するということを意思表示することをいいます。
この手続きをしなければ債権は消滅することなく時効期間が経過したとしてもいつまでも債権者から請求を受けることになるので注意が必要になります。
また、なぜ援用が必要かというと時効制度が債権者の権利をある意味では侵害する行為であるため、時効の利益を受けることを好まない債権者の意思を尊重する必要があるからこの仕組みは存在するのです。
時効が中断されることってあるの?
貸し手が一定期間、権利を行使しないことから、時効は、借り手に認められます。
しかし、貸し手が様々な方法で権利を行使すれば、それまで経過した期間について効力が失われ、時効を中断させることが可能になるのです。
そして、返済を一切することなく5年、10年が経過し、貸主に時効の制度を使うことを伝えたとしても、時効が成立しない場合があります。それは、以下の通りとなります。
- 貸主から請求があった場合
裁判所へ裁判を起こされた場合、今まで経過した時効がリセットされ、振り出しに戻ってしまいます。
そのため、時効までもう少しだと思っていたとしても、裁判を起こされるようなことがあれば、今までの時間は水の泡となってしまいます。
裁判を起こされるようなことがあれば通知が来るのですが、たとえそれを無視したとしても勝手に裁判が行われるのでご注意ください。
また、消費者金融の場合、最初は電話で督促され、それでも反応がないと、郵便での督促となります。
督促の場合だと時効がリセットされないため、6か月以内に裁判を起こさないといけない規定になっています。
そのため貸主は、裁判を起こすか、差し押さえをするかの選択を余儀なくされます。
- 債務の承認があった場合
借りた人が自分の借り入れの事実を認めた場合、時効がリセットされます。
これを「債務の承認」と言います。債務者は、たった一円でも返済をすることがあれば、債務の承認をしたことになるので注意が必要です。
たとえ、5年、10年の期間が経過していたとしても、消滅時効の援用前に一円でも返済すると時効がリセットされてしまうのです。
消費者金融などの金融機関は、少額の返済を求めてくることがあるのはこのためです。
まとめ
今まで借金の時効を成立させることを記述してきましたが、現実的に借金の時効が成立することは、ほとんどありません。
様々な制約に縛られながら、5年、10年の期間を耐え抜いたとしても、途中で見つかってしまうか、精神的に耐えられないケースがほとんどになります。
たとえ時効が成立したとしても、周りの人から借金をしているというレッテルが付きまとい、時効後も自分自身を苦しめる日々が続くことでしょう。
しかも、戦っている相手は借金回収のプロです。もちろん、借金が返済されずに時効が成立するというリスクを分かった上で、お金を貸しています。
そのため、様々な方法を駆使して、借金の返済を迫ってくることでしょう。
つまり、お金を貸して貰ったら、返すという人間として当たり前のことを借りる前から考え、慎重にお金の管理をしていけば、返済は可能になります。
お金を借りる際は、自分に合った金額を借り、計画を立てて返済していくことが借金から抜け出けだす唯一の方法です。
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