ファクタリング

2018/03/15

ファクタリングと手形の違いってなに?

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はじめに

 

企業経営で頭を悩ませることの一つは「資金調達」ではないでしょうか?

昨今、資金調達の手段として注目されているのが、未回収の売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらい、現金を調達する「ファクタリング」です。

このファンタリングという資金調達で気になるのが「手形との違い」。

 

ファクタリングと手形による取引の違いと、それぞれのメリット・デメリットについて紹介します。

 

一章:ファクタリングと手形の違い

 

本章では、「売掛金を先に現金化できる」という一見似たスタイルの取引となる「約束手形の手形割引」と「ファクタリング」の違いについて解説します。

 

昔からある伝統的な資金調達のスタイルである「約束手形」が、そもそもどういう仕組みで、どう言った名目・経緯で現金化できるのか。また近年は手形取引が避けられている理由は何かと言った背景とともに、「ファクタリング」との仕組みの違いを伝えます。

さらに「ファクタリング」は、なぜ手形のように時間がかからず、金融機関による融資のような観点の審査はなく、スムーズに資金調達ができるのか、の疑問にも応えます。

「手形」と「ファクタリング」は、申し込みをして審査を経て、手数料が引かれて売掛金を早期に現金化できるという取引のフローや似ていますが、契約内容、契約先、審査基準などが大きく異なります。

「銀行融資を断られたのに、ファクタリングですぐに資金調達ができた」とよく聞かれるように、その納得の理由もわかります。売掛金さえあって取引先の信用状況に問題がなければ、スムーズに資金調達できる方法がファクタリングです。

「約束手形」と「ファクタリング」の違いによって起こる影響と、審査の違い、現金化できるまでの期間の違い、そして財務上の扱いの違いについても紹介することで、状況に応じてどちらが向いているかの判断がしやすい情報として紹介します。

 

 

1-1 約束手形を用いた資金調達

日本国内の企業取引で「手形」と言われるのは、通常「約束手形」を指しています。古くから行なわれている約束手形による取引は、一体どのような仕組みなのでしょうか。

 

「約束手形」とは、特定の期日に特定の金額を支払うことを「金融機関を通して確約」した有価証券です。

開発・製造をメインとするメーカーや、大量の在庫を事前に仕入れしなければならない小売業、また請け負ってから完成まで長期間の建設業などは、受注から納品までのスパンが長く、順調な経営状態であっても入金されるまでの資金繰りに悩まされることも少なくありません。

そういった場合に、支払いを3ヶ月後、半年後に回せる「約束手形」なら、売掛金を得た後まで支払いを伸ばすことができます。

手形を受け取った企業が、約束の期日以降に金融機関に手形を持っていくと、約束されていた額の現金を受け取ることができる仕組みです。

ところが手形を受け取った方も、入金されるのが「3ヶ月後」「半年後」では資金的な企業体力が持ちません。そのため、この約束手形を担保に金融機関から融資を受けることで、即資金を受け取れる「手形割引」という制度があります。

この手形割引を利用するためには、「手形の信頼性」及び「手形を受け取る側の企業の信頼性」に対して、金融機関の審査があります。審査に通らなかった場合は、割引ですぐに資金を得ることはできません。

審査に通り、手形割引を利用する場合は、もちろん金融機関からの借り入れとなるため、利息が発生します。

手形割引率の相場は、メガバンクで年利約1.5〜3.5%、地方銀行・信用金庫等で年利約2.5〜5.0%。

利息は差し引かれますが「資金が先になるよりは…」と、手形割引を利用するケースも多く見られます。

 

金融機関で割引を受けられない場合に、民間の手形割引専門会社を利用する手段もありますが、専門会社の利息は高く20%を超えることもあるため、あまりお勧めできません。

 

1-2 ファクタリングを用いた資金調達

日本経済と企業を支え続けてきた「約束手形」という制度ですが、審査や換金に時間がかかることやリスキーな面もあり、「もっとフレキシブルに効率的に売掛金を現金化させられたら…」という潜在ニーズがありました。

 

そこで誕生したのが、昨今話題となっている「ファクタリング」です

 

「ファクタリング」とは未回収の売掛債務をファクタリング会社に売却することで、ファクタリング会社から現金を受け取る仕組みです。

金融機関の「手形割引」との違いは、時間がかからずスピーディーに現金化できること。

また手形割引のような借り入れではなく、「売掛債務の売却」となるので負債が残らないことが特徴です。

 

またファクタリングには「2社間取引」と「3社間取引」があります。

「3社間取引」では、自社、ファクタリング会社と、売掛先も含めた3社の合意によって行われる取引。「2社間取引」は、売掛先に対しては信用調査のみで通知が行かず、自社とファクタリング会社のみで行われる取引です。

 

二章:ファクタリングと手形、メリット・デメリット

 

話題の「ファクタリング」と昔ながらのトラディショナルな資金調達である「約束手形の割引手形」。それぞれのメリット・デメリットについて紹介します。前章で二つの違いを紹介しましたが、本来はどちらがいい、悪いというわけではなく、資金調達の方法としてそれぞれに特色があり、経営状態、財務状況、借入状況、業種の特徴などによって「手形」か「ファクタリング」か、それぞれの企業で向き不向きがあります。

 

本章では審査基準、結果までの時間、取引機関、資金の扱いなど、多彩な観点からそれぞれのメリット・デメリットを紹介。ファクタリングのメリットを活かせて、デメリットがそれほどクリティカルではない状況であれば、ファクタリング向きと言えます。

 

「大手からの受託で売掛金は大きいのに、目先の運転資金が心配」といった企業に代表されるように、「ファクタリングに向いている会社」のポイントも検証していきます。

 

 

2-1 ファクタリングのメリット

ファクタリングのメリットは、売掛金をスピーディーにスムーズに現金化できることです。

売掛が発生してからの支払いサイトが長い業種では、資金繰りの面で大きなメリットになります。

 

さらに審査に通りやすいこともメリットです。金融機関の手形割引だと「融資の審査」という形になり、経営状態などが重視されますが、ファクタリングは融資ではないため、審査の観点が異なります。

ファクタリング会社で行われる審査は「売掛債務の信頼性」に重きを置かれています。つまり「自社と取引先で交わされた売掛が真実」であれば、経営状態に関わらず審査に通りやすくなっています。

 

また融資ではないため担保も不要です。

手形が最もリスキーなのは、売掛先の倒産や経営状態の悪化で回収できなくなることですが、償還請求権なしの債権譲渡を行うファクタリング会社であれば、このリスクを回避することもできます。

 

ファクタリングであれば、経営上も「負債」という形にはならないため、金融機関などに対して企業としての信用も上げられます。

 

 

2-2 ファクタリングのデメリット

いいこと尽くめに感じるファクタリングですが、どんな点がデメリットとして挙げられるのでしょうか。

 

まずファクタリングでは手数料が高いことがデメリットとなります。

売掛先にも合意を得る「3社間取引」の手数料は約1%~5%と金融機関と大きな開きはないのですが、「2社間取引」の場合は売掛先に知られないというメリットの代わりに手数料が約10%~30%と高額になります。

 

さらにファクタリングには、月商以上の資金調達はできないという上限もあります。

 

また「3社間取引」では売掛先となる取引先企業の合意も必要になります。取引先が合意しない場合はファクタリングを利用できませんし、合意を得たとしても取引先から「資金がショートしそうなのか…」とマイナスイメージを持たれるリスクもあります。

 

 

2-3 手形のメリット

「手形割引」のメリットは、こうしたファクタリングのデメリットをほぼ払拭できる点にあります。

先にあげたように利息が低く抑えられること。特にメガバンクでは年利約1.5〜3.5%と、ビジネスローンの年利に比べても利用しやすい利息になっています。

また金融機関からの審査による融資という形になるため、取引先や外部に「資金繰りに困っている」ということが知られずに済むこともメリットとして挙げられます。

 

 

2-4 手形のデメリット

デメリットは何と言っても売掛先の不渡りリスクです。

もし手形に記載された期日に、売掛先の倒産や資金難で用意できなかった場合は「不渡り」となって回収ができなくなることもあります。

 

ファクタリングは「売掛債権の譲渡」なので、その後、売掛先が不渡りとなっても自社にリスクはありませんが、「手形割引」は売掛債権を担保に金融機関から融資を受けるため、不渡りになると負債だけが残ってしまうという大きなリスクがあります。

もともと資金繰りにゆとりがなくて早めの現金化を行ったのに、「手形割引」で不渡りとなったら経営の危機に陥ってしまう可能性も少なくありません。

 

さらに審査に時間がかかること。経営状態を見られることから、借り入れが多かったり、売り上げが下がっていたりすると審査に通らないこともあります。

金融機関からの融資になるので、担保が必要になる場合も。また経営上は「金融機関からの借り入れ」という形になり、企業評価に影響することもあります。

 

まとめ

約束手形を早く現金化する手段として、金融機関での「割引手形」、ファクタリング会社の「ファクタリング」と二つの方法のメリット、デメリットを紹介しました。

 

今日、「約束手形」による取引は敬遠されつつあります。

相手が大企業であるから…長年の慣習などの理由で行っていることはあっても、新規の取引で「約束手形」が歓迎されることは少なくなりました。

一部上場企業でも存続が危うい現代、手形による取引はリスクが高いと言えます。

ですが、そうは言っても「どうしてもその仕事を受注したい」といった場合は、手形であっても条件を飲まざるを得ないケースもあります。

健全な経営をしていても、外注先が多い大きなプロジェクトで支払いサイトが長い場合は、スピーディーな現金化による資金調達が経営の鍵となります。

 

そこで活用したいのがファクタリング。3社間取引であれば、手数料も金融機関の並みに抑えることが可能です。

「取引先に知られる」というリスクもありますが、実は「約束手形」は売掛先に取ってもリスクがあります。

もし万が一、期日に売掛金が用意できずに不渡りを出してしまったら…全金融機関に通知され、様々なペナルティが課せられます。

上場企業では上場廃止となり、世間にも大きなネガティブイメージを与えるため、手形を出す方の取引先にもリスキーなのです。

 

自社にも売掛先にもメリットがあるので、「3社間取引」によるファクタリングの活用も視野に入れたいところですね。

メリットとデメリットを理解しても、いざ決断するとなると足踏みしてしまう方も多いでしょう。独断に不安がある、専門家の意見を聞きたい方は、ぜひ資金調達マスターの無料相談サービスをご利用ください。 

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